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それでもチェコは戦う

2019-06-10 22:18:43 | 徒然の記
 カレル・バールタ氏著(千野栄一訳)「それでもチェコは戦う」(昭和43年刊 番町書房)を、読了。

 図書館から貰った、廃棄本ですが、知らない世界に目を開かせてもらい、感謝せずにおれない一冊となりました。確かに私は、若かった頃、「ハンガリー動乱」や「チェコ動乱」について、新聞が大きく報道したことを、覚えています。調べてみますと、ハンガリー動乱は、昭和31年(1956)で、チェコ動乱は昭和43年(1968)の出来事です。記憶が正しければ、ハンガリー動乱の時は高校一年生、チェコ動乱の時は、大学を卒業した年だったと思います。

 岩波文庫を大事にし、朝日新聞を立派な新聞と思っていた時ですから、「人道主義者」の一人として、遠いヨーロッパの記事を、眉をひそめて読みました。しかし今は、図書館の廃棄本のお陰で、少しばかり歴史を知り、自分の頭で考えるようになりましたので、感慨深く氏の著書を読みました。

 私は去年の12月、ブレジンスキー氏の「大いなる失敗」(平成2年刊)を読んでいます。氏は、二十世紀最大の失敗が「マルキシズム」だったと言い、ソ連崩壊の必然性を語りました。しかしカレル・バールタ氏は、それより22年前に、同様の指摘をしていました。現実にソ連が崩壊した後なので、ブレジンスキー氏の主張には説得力があり、評価もしましたが、ソ連崩壊前、しかもまだ世界の半分に君臨していた時代に、適切なソ連批判を書いたバールタ氏は、もっと高く評価して良いと思わされました。

 しかもこの本の、出版事情が、私の心を惹きつけました。自由を求めるチェコに、ソ連が戦車で突入したのが、8月21日でしたのに、本はたった3ヶ月後の11月に出版されています。つまり氏は、周辺の安全な国や都市を転々としながら、動乱の中で原稿を書き、航空便で訳者の元へ届けたのです。行く先々のタイプライターを使っているため、同じローマ字でも、ドイツのものとチェコのものは、活字のタイプが違い、大変読みにくかったと、訳者の「まえがき」が付いています。著者自身も、本の初めのところで、次のように書いています。

 「この原稿は、1ページ1ページ、」「日本語への翻訳のため、東京へ送られる。」「原稿全体がどんな形になるのか、私にも正確に分からないし、」「最後に、全部目を通すすべもない。」「どうかこれを、お読みになる際に、」「この不条理な環境を、心に留めておいて頂きたい。」

 私はカレル・バールタ氏も、翻訳者の千野栄一氏も、略歴すら知りません。ネットで検索しても、バルータ氏は「著名なチェコのジャーナリスト」としか、分かりませんでした。出版の事情を知りますと、もうそのようなことは、どうでもよくなり、活字を追いました。私がこんなに興味深く読む本ですから、息子たちにも、残しておきたい「書評」となります。

 面白いデータが、巻末資料にありましたので、これも転記しておきます。「チェコ事件に対する、世界主要国の共産党の態度」と、タイトルが付いています。

 1.   ソ連の軍事介入に賛成した国の共産党
   ブルガリア、ポーランド、東独、ハンガリー、モンゴル、北朝鮮、北ベトナム、キューバ
 2.  ソ連の軍事介入に反対した国の共産党
   ルーマニア、ユーゴ、イタリア、フランス、日本、中共、アルバニア、ニュージーランド

 しかもソ連軍と共に、軍事介入して来たのは、同じ社会主義の隣国である、ブルガリア、ポーランド、東独、ハンガリーでしたから、チェコスロバキアの国民は、大きなショックを受けました。軍事介入の発端は、ソ連寄りの大統領が交代し、自由経済を志向する新大統領になったことでした。社会主義の基本は、自由を認めない計画経済ですから、これを黙認すれば、体制崩壊につながると、ソ連が危機感を抱いたのです。軍事介入した隣国の政府は、いずれもソ連に取り込まれた、ソ連寄りの政治家が占めていました。

 大国が倒れてしまえば、結果として色々な事実が判明します。社会主義国の盟主として、ソ連は崩壊する寸前まで、私の目には、大国として存在していました。ソ連崩壊の原因は沢山ありますが、ハンガリー動乱とチェコ動乱は、他国への露骨な軍事介入でしたから、自由主義諸国から否定され、嫌悪されました。ここで私は、話を現在に飛ばし、世界を騒がせている中国について考えました。

 多くの国に嫌われ、明日にも崩壊すると非難されつつも、相変わらず居丈高に、横柄に、勝手なことを言いふらしている中国です。アメリカが挑戦してくるのなら、どんな喧嘩でも受けて立つと、元気な将軍が反論しています。しかし私が記憶する限りでは、中国もソ連と同様に、隣国に武力介入し、自分の国に編入しています。チベットと新疆ウイグル( モンゴル)がそれです。ソ連が二度の他国侵入で、崩壊の原因を作ったとすれば、中国は既に二度、他国を侵略していますから、そろそろ崩壊してもおかしくありません。

 チベットと新疆ウイグルが、いつ侵略されたのか、調べてみて驚きました。なんとそれは、ソ連の侵略よりずっと以前になされていたのに、国際社会では、ほとんどニュースになっていません。息子たちに言います。国際社会とは、白人社会のことを言うのだと、父はネットの情報で知りましたが、そんなことはあるまいと、今日まで否定していました。しかし本日、中国の侵略について調べ、ネットの情報の正しさを痛感しました。白人の国々が注目しないことは、世界のニュースにならないと言う、厳然とした事実です。

 ソ連は白人国家ですから、欧米の国々が、常に注視し、自国への革命の波及を警戒し、マルクシズムの浸透を恐れました。第二次大戦後、世界一の覇権国となったアメリカが中心となり、徹底的にソ連と対峙しました。しかし彼らは、アジアには危機感を抱かず、中国に対しては親近感さえ感じていたのです。こんなことは、誰にも言えませんが、私なら言えます。

 「アジアなど、白人社会から見れば、」「三流四流の国の集まりだ。」「何をやろうと、大したことはない。」「われわれがその気になれば、どうにでもなる国ばかりだ。」

 日本の政治家はおろか、政治家も学者も、評論家も、私のような正直は言えません。白人社会に睨まれると、舞台から引き摺り下ろされてしまうからです。私のように、名もない庶民は、失うものがありませんから、いくらでも事実が語れます。もう少しすれば、寿命が尽き、自然と命が無くなるのですから、世間的には、失うものがありません。だから遠慮せず、日本の政治家や学者の代わりに、事実を語る役目があるのかもしれません。

 せっかく、熱が入ろうとしたところですが、スペースが足りなくなりました。残念ながらこれから先は、明日にいたします。(誰に読まれなくとも、息子たちだけには、明日のブログを読んで欲しいと思います。)
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