ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

ガウディの奇跡 - 2

2020-05-23 20:21:51 | 徒然の記

  1. 自分の勤めていた会社への感謝 ( 私個人の歴史 )

 私がスペインで、サグラダファミリア教会を眺めたのは、平成11年の9月でした。氏の本が出版される4年前です。私の会社は、というより、当時の日本の会社は、日頃は従業員をこき使いましたが、一方では大事にしていました。勤続10年、20年、30年、40年と、10年区切りで、永年勤続を祝ってくれました。

 10年、20年は、支店や支社で、支店長や支社長が、社長名の「永年勤続表彰状」を全員の前で渡し、関係する上司たちが、祝いの会食をしてくれました。30年になりますと、全国の該当者が本社へ呼ばれ、社長から感謝状をもらい、晴れやかに懇親会をしてくれました。長く勤めることは、本人の誇りであり、会社からは感謝される、勲章みたいなものでした。「石の上にも三年」という言葉がありましたが、仕事を覚え、お客に頭を下げ、人間関係に苦労しと、一つの会社で「自分磨き」をする難しさを、誰もが知っていたから、そういう表彰が行われていたのだと思います。

 今から考えますと、嘘のような話です。小泉首相と、あの竹中平蔵氏が、正社員はろくに仕事もしないくせに、身分を守られすぎていると難癖をつけ、安い賃金の派遣社員を増やしました。長く勤めるのは立派なことでなく、本人の無能とやる気のなさの証明だと、いつの間にか、とんでもない風潮にしてしまいました。

 「終身雇用」と「年功序列賃金」は、日本の後進性のシンボルだと酷評し、会社の風土を作り変え、挙げ句の果ては、平蔵氏が人材派遣会社の役員になっているのです。息子たちは、平蔵氏が破壊した「株主利益優先会社」しか知りませんので、私の話が、信じられないはずです。

 前置きが長くなりましたが、私がスペイン旅行をしたのは、永年勤続表彰の副賞として、夫婦の「海外旅行券」をもらったからです。現金だったのか、往復の航空券とホテル代だったのか忘れましたが、円高の時代でしたので、楽しい旅でした。

 書評の第一番目に、「会社への感謝」を上げたのは、こういう思い出があるからです。私の年代の人なら、会社は人使いが荒くても、真面目に勤めた社員を、大事にしていた事実を、懐かしむのかもしれません。安倍総理が、経団連に言われるまま、安い労働力を求め、「移民法」を作る時代ですから、「永年勤続表彰」など、昔々の話になります。再び来ない、「私個人の歴史」とタイトルをつけたのは、こんな理由です。

 その代わり有給休暇は、冠婚葬祭以外使わず、週休二日制も人手不足で有名無実でした。遠距離通勤のため、暗いうちに家を出て、残業を終えての退社でしたから、暗くなっての家路でした。それだけにたまの休日は、子供たちとの時間がこの上ない生き甲斐でした。昔と今と一長一短で、どちらが良いと言えないのかもしれず、息子たちは、私の話に興味を示さないのかもしれません。「私の個人の歴史」として、ブログに残せば、それで良いという気もします。

 さて肝心のサグラダファミリア聖堂の、感想です。大きな建築といえば、直線の組み合わせと、私は無意識の内に考えていましたから、建設中の教会を見て、驚きました。火山から流出した溶岩が、自然のままに固まったような、未完成のというより、失敗した建物にしか見えませんでした。

 仰ぎ見る尖塔は、どれも溶岩の塊を滴らせているように、荒々しく、異様でした。ゆっくりと動くクレーンが、何本も稼働しており、建築現場そのものでした。しかし私は、いつしかこの巨大な教会に、圧倒され、心を奪われていました。「百聞は一見に如かず」の言葉通り、多くの人々が魅せられる事実を、この目で確かめました。

 絵でも彫刻でも焼き物でも、私は特に関心がなく、「牛に惹かれて善光寺まいり」よろしく、家内に誘われて出かけています。行けば自分なりに、納得したり感じ入ったりしますが、感動することはほとんどありません。ガウディの名前も教会の名前も、家内に言われて覚えていたに過ぎません。芸術に縁なき衆生とは、私のことですが、サグラダファミリアだけは、感動しました。

 「さらにその奥には、人間ガウディの喜びと苦悩、」「そして、切ない恋が眠っている。」「ガウディに惹かれた人は、意識せずに、」「この奥のものを、感じ取っているのだと思う。」

 北川氏は説明していますが、私には当てはまりません。作者の生い立ちを知ったり、思索の過去を調べなくても、向き合えば感じとるものです。逆に、氏に言いたくなります。

 「本物の芸術が、人を感動させるのは、知識ではありません。」「そこにある普遍の美が、心を動かすのです。」「縁なき衆生でさえ、虜にする力、それが美です。」

 こんなことを言うため、私は好かれのないのだと思いますが、大学の先生なので、氏の方が正しい意見だろうと、これ以上は意地を張りません。

 サグラダ・ファミリア教会に行った、もう一つの目的は、建設現場で働いている日本人に会うことでした。たった一人の日本人として仕事をしている、外尾逸郎氏です。今では芸術工房監督になっているようですが、当時はまだ一般の作業者の一人だったと思います。

 生誕の門にある15体の天使像は、外尾氏の代表作であり、「天使が西洋人という決まりはない」と考え、東洋人の顔をした天使像も盛り込んだ、と言います。外尾氏の彫刻を含む生誕の門は、2005 ( 平成17 ) 年、世界文化遺産に登録され、最も観光客が詰めかける場所となっていると、これは今し方調べたネットの情報です。

 次回は、《 2. 戦前戦後における、日本とスぺインの関係 (  日本の歴史   )  》です。

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16 コメント

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記念品 (ハブグレジュンタのマミー)
2020-05-23 20:55:20
おはようございます。アメリカ中西部は23日朝の6時50分です。私は会社に27年つとめてリストラに会いました。私の会社は5年ごとに粗品をくれました。日本と比べれば本当に粗品。アメリカは優秀な人ほど会社を転々とすると言われています。私は無能だったので27年間しがみついていました。でもしょっちゅうリストラ、解雇なんかはありました。特にクリスマス近くになるとリストラシーズンで、みんな❝会社からパッケージ(退職金)が届くかも❞、なんてよく話していました。小泉と竹下ですか。日本がこんなに風に派遣国となったのは。
スケール感の違い (しゃちくん)
2020-05-23 21:19:15
20代の頃は建築設計事務所に勤めておりましたのでガウディ-に深く傾倒した懐かしさがあります。

サグラダ ファミリアは発注者も設計者も既に亡くなり、未だに完成しない建物としても有名です。
現代社会では考えられないようなスケール感の違いを感じる建築物です。
懐かしい時代でしたね (続強子の部屋)
2020-05-23 21:59:44
今日本の働き方が見直されています。
小泉さん、竹中さん無機質の方でした。
当時人材派遣の会社を作っ女性社長がマスコミにもてはやされました。

夫の会社の社長は、社員と家族のことを考える人でした。早くに亡くなってしまいました。残念です。

夫は亡くなった社長のテープを良く聴いていました。

当時あっさりリストラする幹部が評価「される時代でした。
会社の情報を売り払う社員が出るのも当たり前です


やらせたのは、アメリカです (onecat01)
2020-05-23 22:03:56
 ハブグレジュンタのマミーさん。

 こちらは23日、夜の9時50分ですが、そちらは朝ですか。計算が苦手なので、不思議でなりません。日本の方が、先に日が暮れるのですね。

 日本が世界第二の経済大国となった時から、欧米諸国は、日本経済の仕組みを研究し、解体させ、溜め込んだ利益を吐き出させようとしました。

 日米貿易戦争の激しさを、思い出します。小泉・竹中ラインは、その延長線上にあります。まさにアメリカは大国で、日本も、ソ連も、崩壊させました。

 今度は中国が、日本叩きをしています。大国の狭間で、安全保障を忘れ、経済優先の日本は、当分国際社会で漂う国となるのでしょう。

 子供や孫のため、自分は何ができるのかと、せっせとブログに向かう日々です。もうリストラはありませんが、後は人生の尽きるところを、目指すだけです。呑気なような、寂しいような、不思議な気持ちです。

 コメントを、ありがとうございます。
Unknown (onecat01)
2020-05-23 22:17:19
 しゃちくん殿。

 そうですか、貴方はガウディに傾倒されていましたか。建築事務所に勤務されていたのなら、私みたいないい加減な感激でなく、本物ですね。

 スケールの大きさ、物理的な巨大さと、時間的な長さと、二つの意味ですね。しかしその後、イタリア、イギリス、ホルトガルトを旅し、私の気持ちが変わりました。

 200年、300年かけて、教会や城や、都市を作ると言うのは、西欧では珍しいことでなく、あちこちにありました。破壊されたり、建設したり、戦いに明け暮れた国々では、どうしても時間軸が長くなるのではないかと、それほど感激しなくなりました。

 今の私が心を動かされるのは、2000年以上続く、皇室があると言う事実です。多神教を信じ、柔軟に生きてきたご先祖の、素晴らしさに敬意を表しています。

 余計なことを書きましたが、ご容赦ください。「武漢コロナ」の日々です。体調管理に留意され、どうか無理をなさらないよう・・・

 コメントに感謝いたします。
懐かしい時代 (onecat01)
2020-05-23 22:27:55
 続強子の部屋さま。

 懐かしい時代でした。例外もありましたが、多くの社員は、会社を運命共同体と思っていました。

 裏切ったり、内部告発したり、それで金儲けをしたり、そんなことはありませんでした。予想外の利益が出たときは、社員に「臨時のボーナス」が出たりもしました。

 今の経営陣は、儲けたら自分の報酬にしてしまいます。億単位の報酬が、普通のこととなりました。欧米の真似をして、利益優先の社会になりました。

 一流と言われる会社のトップが、従業員を人間でなく、金で買う労働力としか見ないのですから、これではモラルが低下するはずです。

 どこへどう流れていくのか、見守るしかない私です。コメントに感謝いたします。
Unknown (あやか)
2020-05-24 06:46:20
ブログを拝読しました。、

『企業一家の精神』『年功序列制』は、昭和時代の美風だったんですね。
それをなくしてしまったことが最大の不幸です。

今の日本社会に、幸福感が薄れてしまったのも、『企業一家』の精神がなくなったからです。

しかし、幸いなことに、私がお勤めしていた会社は、まだ、、或る程度『年功序列制・企業一家』の遺風
は、残っていました。
上司は、いつも『年功序列制に甘えていたら、だめだぞ』と、叱咤激励していましたが、
実際は、年功序列制が温存されていましたね。(笑)

多年勤続表彰の制度はありましたし、長い間お勤めしたにもかかわらず『下積み』だった人でも、
定年退職前には『係長待遇(かかりちょうたいぐう)』とか『課長待遇』の肩書きを与えるという
『温情人事』も、有りました。

おそらく、昔の昭和時代のころは、たいていの会社は、そうだったでしょう。

今は、どこの会社も『派遣社員』や『年次契約社員』が過半数で、
『正社員』になること自体、難しい世の中になりました。

挙げ句の果てに、『移民政策』です。
もう、伝統的な日本の企業社会の風土を、故意にブチ壊した人物は
万死に値します!!!!
昭和の美風 (onecat01)
2020-05-24 08:46:56
 あやかさん。

 企業一家、年功序列賃金、終身雇用、こう言うものは、明治時代にはなかつたそうですから、言われる通り、昭和の美風だったんですね。

 明治時代は、西洋に追いつけ、追い越せで、富国強兵、殖産興業でしたが、大正、昭和以降に変化したのでしょうね。

 企業一家、年功序列賃金、終身雇用、やがてこれは、日本株式会社となり、護送船団方式経済となり、ついには世界第二の経済大国日本を作り上げたと、聞いております。

 「もう、伝統的な日本の企業社会の風土を、故意にブチ壊した人物は万死に値します!!!!」

 誠にその通りです。安倍総理だけでなく、小泉、竹中、もっと遡れば、プラザ合意をした宮澤、さらに、竹下、中曽根と、歴代の総理の名前が挙がります。

 自民党の政治家を追い詰めたのは、昔と同じです。欧米列強が、台頭する日本を阻み、無理やり日本の美風を壊すように圧力をかけています。今も昔もですね。

 自国を守る軍隊のない日本は、大国や強国に、なされるがままになってしまいました。ですから、あやかさん。最近の私は、安倍氏の腰砕けばかりを責めるのでなく、もっと中国やアメリカ、あるいは他の強国への警戒心と、自国防衛に目覚めない、私たち庶民にも警鐘乱打したい気持ちです。

 そうなりますと、結論は常に同じところに到達いたします。

   1. 皇室の護持 国の歴史と伝統を守るため
   2. 軍の再建  国の安全保障のため

 コメントを有難うございます。
みなさんへ (ヘイジ)
2020-05-24 11:22:14
私は全く芸術の才能がないためサグラダファミリア等については何も言えませんが、昭和10年~20年代生まれの方たちと私(昭和30年代生まれ、しかも自営業)との「終身雇用」と「年功序列賃金」に対する理解の違いを述べさせてください。

結論を言うと

「昭和10年~20年代生まれの方たちが頑張られたお陰様で、戦後の日本国はGDP実質世界第二位の経済と科学技術力、生活水準を得ることができましたが、それは同時にモノの価値がすぐに陳腐化し、それと共に労働の価値も陳腐化し、逆にカネの価値を増大させた。」

のです。

私は大学卒業以来、自営業を営んでいますが「あんたの本職はなんや?」と聞かれるほど職種を変えてきました。

みなさんから見れば私は落ちこぼれだと感じられるかもしれませんが、それでも必死に家族に様々な迷惑をかけながらも結婚し子供を育て上げました。

自営業者として企業とその従業員の方を見ていると、「同じ仕事は長くは儲からない。」という物理的法則に気づきます。

実はトヨタなどの超大企業等は例外で、例えば富士フィルムや東洋水産のように仕事の内容が全く変わっている大会社もあります。

これは、昭和10年~20年代生まれの方たちの頑張りが技術を発展させ、その技術の発展が産業ロボットを筆頭とする生産性の向上を発展させ、一度、市場に出た商品はすぐに価格が下がり陳腐化させることが原因です。

商品が陳腐化するとそれを生産する企業も陳腐化し利益が下がり、回りまわって労働者の労働も陳腐化してしまうのです。

このような社会状況下では、企業の平均寿命は30年と呼ばれるほど短くなってしまい、「終身雇用」と「年功序列賃金」を守ることは物理的に不可能です。

しかも、労働者=弱者=被害者思想に凝り固まった労働行政が、「仕事をしない正規雇用者」を守るため、労働生産性が下がり続け、安い賃金の派遣社員の増加、それより「正規雇用者も含む現場の仕事をする人たち」を追いつめているのです。

私は、小泉首相と、あの竹中平蔵氏は、表面上の改革をしただけであることを批判しますが、昭和10年~20年代生まれの方たちが頑張られた社会状況はもう永遠に訪れないという現実も指摘したいと思います。
戻らない時代 (onecat01)
2020-05-24 12:31:26
 ヘイジさん。

 真摯なるご意見を、いただきました。懐かしむことと、守ることは同じではありません。貴方のご意見と私の思いは、それほど大きな違いが無いような気もいたします。

 大量生産、大量消費、重厚長大産業の真っ盛りと、私たちが生きていた時代は、そう言う日本でした。松下幸之助氏の言う「水道哲学経営」です。

 安くて良質な品物を、水道の水のように供給すれば、みんなが幸せになる、と言う考え方でした。あなたが言われるように、造った品物は、安く、陳腐化する運命にありました。

 これはまた、人件費の安い国でしか成り立たない事業でもありました。簡単に言いますと、大量生産、大量消費、重厚長大産業は、先進国になるほど採算が合わなくなり、廃れていきます。

 鉄鋼、石油、石油化学、家電産業、自動車産業が、最初は欧米諸国を富ませましたが、安い賃金の日本にとって変わられ、次に韓国に移り、中国へと移りました。

 リストラされた技術者たちが、高給で、韓国や中国へ移っていきました。先進国は、情報通信と金融業へ移行し、賢い企業は業種を変更し、生き残りましたが、多くの大企業が斜陽化しました。

 これはすべて、時代の流れであり、人間の工夫がそうさせるものです。私が苦情を言っていますのは、小泉氏や竹中氏が、あたかも個人の責任でもあるかのように、会社で働く国民の多くを蔑視したところなのです。

 貴方は、昭和10~20年代の人々に気遣いをされますが、有難いと思いつつも、それもまた、時代の流れと割り切ってください。私は、今日の日本を築いたのは、敗戦の荒廃の中で働いた、両親の世代へ感謝しております。

 もっと言えば、大東亜戦争の100年を戦ってきた、ご先祖への感謝につながります。一つの国の中で、国民は順送りに、その務めを果たしているのでは無いかと、今はそう言う理解です。

 貴方や、私の息子たちのように、不安定な世の中で、一つの組織に縛られず、自分の工夫と努力で金銭を手に入れ、家族を養っている人々にも、感謝しています。

 若い人たちのおかげで、私の年金生活が支えられているからです。貴方の言葉を使えば、私の息子たちも、落ちこぼれなのかもしれませんが、貴方同様、本人たちはそう思っておりません。

 親に負担をかけず、独立して、日々の糧を得ているのですし、私は、返って敬意すら抱いています。

 難しい世の中になったと言えば良いのか、いつの時代でもそうだったと、そう考えるべきなのか。私には、分かりません。

 「反日・左翼の人々のように、自分の国を憎んだり、蔑んだりしてはいけない。」と、このことだけが、分かります。

 今後とも、よろしくお願いいたします。コメントに感謝いたします。

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