ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

1994年世界はこう動く - 6

2020-08-04 15:54:42 | 徒然の記

 アメリカの正式国名が「アメリカ合衆国」であるように、ドイツの正式名は「ドイツ連邦共和国」です。ドイツには大統領がいて、各州に首相がいます。したがって連邦共和国の首相は、正式には「連邦首相」と呼ぶのだそうです。参考のため、当時の歴代「連邦首相」を、ネットで調べてみました。

 この本が出版された時、メルケル氏はまだ連邦首相でなく、コール首相の時代です。

  1. ヴィリー・ブラント    1969 ~ 1974 年   ドイツ社会民主党

  2. ヘルムート・シュミット  1974~ 1982 年   ドイツ社会民主党 

  3. ヘルムート・コール    1982 ~ 1998 年   キリスト教民主同盟 

  4. ゲアハルト・シュレーダー 1998 ~ 2005 年   ドイツ社会民主党

  5. アンゲラ・メルケル    2005 ~ 2018 年   キリスト教民主同盟 

  一般的にドイツで首相といえば、連邦首相を指すのだそうですから、以後は単に首相と言います。ここでシュテント氏の、論文へ戻ります。

 「1990年の連邦選挙では、ドイツ人の10人に9人が投票所へ出向いたが、」「最近の世論調査によると、棄権しようと考えている人が、」「3割にも達している。」「既成政党への幻滅感は、地方選挙でも示され、」「伝統的に、ドイツ社会民主党が強いヘッセン州においても、」「44.5%から36%へ後退した。」

 「キリスト教民主同盟を率いるコール首相の元では、汚職の発覚により、」「東ドイツ出身の運輸大臣が辞職し、内務大臣がテロ対策の不祥事で、責任を取って辞任した。」

 「キリスト教民主同盟と連合を組んでいた、自由民主党でも、汚職の発覚で経済大臣が辞任し、」「中心的政治家を失った。」

 「ごく最近、新しい指導者を選出したばかりのドイツ社会民主党も、」「党首エングホルムが、選挙に関する偽証問題で辞任し、」「深刻な打撃をこうむっている。」

 個人名を挙げ、具体的な不祥事がたくさん列挙されていますが、煩雑なので省略いたします。分かったことは、日本も同じようにして、沢山大臣や議員が辞任していますから、政治家のやることはどこも似たようなものだ、ということです。

 「キリスト教民主党にせよ、ドイツ社会民主党にせよ、」「単独ではもちろん、戦後のほとんどの選挙でそうだったように、」「自由民主党と組んだとしても、政権担当に十分な議席は確保できそうにない、」「それが世論調査での、国民の見方である。」

 政権与党であるキリスト教民主党と、ドイツ社会民主党が二大政党です。ドイツでは、自国を否定するおかしな野党が存在しないのですから、自民党が二つに分かれているような状況でないかと、私は想像します。そうしてみますと、ドイツの自由民主党というのは、公明党みたいなもので、政権をとりそうな側にくっつく、蝙蝠政党なのでしょうか。

 「ドイツは、共産主義諸国からの難民や、政治的迫害を恐れ、」「あるいは生活の向上を求める、第三世界の人々を、」「磁石のように引きつけている。」「それはこの国の豊かさのためであり、同時に、」「今なお政治亡命者に対する、寛大な法律が存在しているためである。」

 「旧西ドイツでは、トルコやユーゴスラビア人の外国人労働者に対して、」「歓迎とまではいかなくても、受け入れる姿勢は見せてきた。」「現実問題として、経済を機能させるには、」「こうした出稼ぎ労働者が、必要なのである。」

 平成30年の12月に、移民法と呼ばれる「改正入国管理法 」を、安倍内閣が成立させました。安い労働力を求める経団連の意向を受け、外国人労働者の受け入れを拡大するのが狙いです。日本を崩壊させる悪法だと、私は今でも反対ですが、移民に寛大なドイツは、その時から謎でした。だからシュテント氏の論文は、他人事でありません。

 「だが統一後の情勢は、抜本的に変化した。」「東ドイツ地域の失業率は高く、西ドイツでも、」「統一のツケに、苦々しい思いを抱く住民の中には、」「経済に貢献している外国人労働者であろうと、東欧や第三世界からの政治亡命者であろうと、」「見境なく、排外的な考えを公言する者が多い。」

 「1990年の統一以来、ドイツには100万人を超える外国人が流入した。」「政治亡命を求める者の数は、1992年に44万人、1993年は最初の5ヶ月で、19万人を超えた。」

 失業者が増えるにつれ、外国人を標的にした暴力事件が頻発するようになります。

「実際のところドイツでは、週末ごとに必ずどこかで、」「若者を中心としたスキンヘッドの一団が、在留外国人や一時収容所にいる政治亡命者たちに、」「暴力行為を働いている。」「かってのナチス時代がそうだったように、外国人は身に覚えのない罪を、」「着せられるようになった。」

 若者たちの暴力行為には反対ですが、私は、シュテント氏の意見にも反対です。ドイツ問題の専門家なのでしょうが、専門家ならではの思い込みがあります。ドイツ人のする外国人排斥問題を、即座にナチスと関連づけてしまう思考には、偏見が感じられます。厄介な問題が起こるとナチスを持ち出し、ドイツ人を黙らせてしまうのが、果たして誠実な学者の姿勢なのだろうかと、疑問が生じます。

 そこには、東京裁判史観を持ち出し、「日本だけが悪かった。」「日本だけが間違った戦争をした。」という、わが国の反日・左翼の人々に似た、悪意の思い込みが感じられてなりません。スペースの都合でここで終わりますが、次回はもう少し、ドイツの移民問題について、考えてみようと思います。それは同時に、日本の移民問題を考えることにつながります。 

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4 コメント

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Unknown (あやか)
2020-08-04 20:23:45
今回のブログテ-マは、非常に重要だと思います。

特にドイツの移民労働者問題についての、洞察力のある分析を期待しております。

それにしても、現政権の『事実上の移民政策への転換』には、激しい失望と怒りを感じたものです。
安倍総理は、以前、関西の政治討論番組に出演されたことがあり、
そこでは、はっきりと『私は、移民の受け入れ政策は取りません』と、おっしゃってました。

つまり、安倍総理は、明らかに嘘をついていらっしゃいます。
私が安倍政権に、深い疑念を感じはじめたのは、この時からです。
移民問題 (onecat01)
2020-08-04 20:51:53
 あやかさん。

 ご期待通りのブログとなるのかどうか、自信はありません。

 初めて知ることの多い、シュテント氏の論文なので、考えさせられるところ大です。

 安倍総理への失望のキッカケが、移民法であった点は、貴方と同じです。中国に傾斜する経団連と、中国にぬかずく二階氏と、中国共産党政府の三者に、安倍氏は膝を屈したのだと思います。

 尖閣の領海へ侵入されても、習近平氏を国賓にしようとする外相と、安倍総理は、元へ戻れないところまで、国民と離れてしまったのでしょうか。

 相変わらず、国難の内閣ですが、その後継が石破氏や岸田氏というのですから、さらに国難が続きますね。コロナと自然災害とに、世界も呻吟しています。こんな時にこそ、国民が一つになり、難局に向かうべきなのですが・・・ちょっと先が見えません。
反ナチ思考と東京裁判史観 (HAKASE(jnkt32))
2020-08-04 22:07:35
今晩は。ドイツも我国と同じ様に、多くの大臣、議員が辞任
している下りを拝見して、現状の我政治情勢も、一喜一憂
するのはどうかと思う様になりました。鈍感なのもいけない
とは思いますが、反面 ちょっとした事での過剰反応も慎まないといけません。

今回貴記事で一番留意すべきと思いましたのは、反ナチ
思考と我国の東京裁判史観が何となくでも似ている様に
感じた事です。東京裁判史観は、仰る様に「先の大戦は、
我国だけが悪かった」とする根拠の様なもので、昂じて
「我国は世界唯一の戦犯国家」などと吠ざく大馬鹿者
もいる様です。国家社会主義・ドイツ労働者党ナチスの
軌跡は、それは勿論全肯定できるものではありませんが、
ドイツ人による外国人排斥問題を短絡的にその事と関連
づけようとする動きには、拙者も疑問を感じます。厄介
な事にはナチスの軌跡を持ち出してドイツ人を黙らせる
手法が、本当に東京裁判史観と通底しているなと感じる次第です。

あやかさんが問題にされた、安倍政権による移民法問題。
拙者も勿論芳しいとは思いませんが、一頃は安かった
外国人労働力に飛びついた経団連の圧力に負けたと
いう事でしょうか。事実とすれば、嘘はもとより「日本を
取り戻す」という、命を代償にする位の覚悟がやはりで
きていなかったのかとつい思ってしまいます。これでは
二階幹事長以下の、媚中政財界勢力の統制など不可能でしょう。
総理の統制力 (onecat01)
2020-08-04 23:42:25
 HAKASEさん。

 「現状の我政治情勢も、一喜一憂するのはどうかと思う様になりました。鈍感なのもいけないとは思いますが、」

 おっしゃる通りです。日本ばかりが、つまらない政治をしているのでなく、どこの国も同じと、どっしり構えることが肝心だと、教えられた気がしています。

 「反ナチ思考と、我国の東京裁判史観が、何となくでも似ている様に感じた事です。」

 シュテント氏の論文を読み、紋切り型の責め言葉に、違和感を覚えました。ドイツも日本も、このレッテルを貼られたまま、国際社会で生きなくてならないのだと知りました。敗戦国となるとことは、ここまで情けない立場に置かれるのかと、痛感する次第です。

 最後の移民問題は、観光立国政策の問題でもあります。「武漢コロナ」遮断のため、中国からの入国を止められなかった原因がここにあります。

 「二階幹事長以下の、媚中政財界勢力の統制など不可能でしょう」

 そうは思いつつ、安倍氏が保守を任じ、国民を大切にする政治家であるなら、それこそ、命がけで統制力を振るうべしと、私は期待しようと思います。

 諸般の事情から、困難と見えますが・・・

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