ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

文明の衝突 - 2

2019-10-08 17:36:25 | 徒然の記
 最初に興味を覚えたのは、「はしがき」に書かれた著者の言葉でした。
1.  「文明の衝突は、世界平和の最大の脅威であり、」「文明に依拠した世界秩序こそが、」「世界戦争を防ぐ、最も確実な安全装置だ、ということである。」

2.  「扱うべき、もう1つの大きなテーマは、」「人口増加が、力の安定やバランスに及ぼす、」「極めて大きな、影響についてである。」 
 
 武力の衝突、民族の衝突、イデオロギーの衝突、あるには宗教の衝突と言わず、「文明」の衝突と言い切ったところに、惹かされました。文明といい、文化といい、私たちは何気なく使っていますが、改めて問われると、正確に答えられません。誰もが当たり前と思い、見過ごしているものの中に、素晴らしい発見をするのが天才です。

 なんて不思議なんでしょう。なんという、素晴らしさでしょうと、イギリスの化学者マイケル・ファラデーは、何の変哲も無いロウソクの炎から、子供たちに、化学への興味と好奇心を燃え立たせる傑作を書きました。「ロウソクの科学」という本です。息もつかずに読んだ記憶が、今も残っています。

 子供たちを夢中にさせ、大人さえ虜にする、昆虫の世界を本にしたのは、これもまた天才ファーブルでした。ニュートンにしてもそうです。リンゴが木から落ちるのは、当たり前の話で、何の不思議もありません。しかし彼は、ここから引力という、大変な発見をしました。私たちが何気なく見過ごしているものや、疑問も抱かないものに注目し、そこから世界の不思議や、真理を発見するというのですから、こういうことは、天才にしかできません。

 前置きが長くなりましたが、ハンチントン氏の叙述を読んでいると、そういう気持ちにさせられました。人口増加という問題が、世界の力のバランスや、社会の安定に、大きな影響を及ぼすという、二つ目の意見には、納得させられるものがあります。民意が低く、未開の国ほど人口が増加し、国を一層貧しくしていると、軽蔑することしか知らない私でした。

 貧困も悲惨も意に介さず、子供を産み続ける国民を、武器としている国があろうとは、私は最近まで知りませんでした。増え続ける国民を近隣諸国だけでなく、世界の果てまで移動させ、行き着いた先の国で、自国の文化や文明を浸透させている国、それは中国だけの話でなく、インドも韓国も、多数の移民を送り出す、中近東の国々もその範疇に入ります。

 これからの世界平和を考えるには、文明の衝突と人口問題を念頭に置くべきであると、おそらくこれが氏の結論だと考えます。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は、40年前の本でしたが、「文明の衝突」は、21年前の著作です。反日・左翼と保守の対立する時代から、いつの間にか、人口問題の絡む、「文明の衝突」の時代へと変わりつつあることを、教えられます。

 新聞やテレビや月刊誌は、日々の世界を報道します。捏造が混じっているとしても、多くは事実を伝えています。現在を生きている私たちには、不可欠な情報ですが、氏の著作のような本が教えてくれるのは、100年、500年単位の世界の動きです。日々のめまぐるしい動きと、歴史の大きな流れと、どちらも私たちには大切な知識です。

 人口問題の重要性を、初めて教えてくれたのは、平泉渉氏でした。
昭和4年生まれの氏は、元外務省官僚、元科学技術庁長官、元経済企画庁長官、という経歴の持ち主の、自民党議員でした。氏はまた、鹿島建設の副社長でもあり、鹿島平和研究所の会長として、シアターテレビという動画を作っていました。

 氏は、私の嫌いなハト派議員でしたが、動画での政治談義には、傾聴すべきものがありました。反日・左翼のハト派というより、中立的立場の憂国の士という印象でした。アメリカと中国という二つの大国に挟まれ、国の独立を守るにはどうすれば良いか。これが動画のテーマでしたが、平成21年に亡くなられる直前まで、日本への苦言を呈していました。今でも忘れませんが、氏は国力を測るとき、軍事力や経済力とともに、必ず人口の多さをあげました。氏の頭の中には、人口の大きさが、イコール国力につながるという基準がありました。

 当時は疑問を抱いていましたが、ハンチントン氏の著作を読み、平泉氏の言葉を思い出しました。シアターテレビは平成27年の作成で、「文明の衝突」が平成10年の出版ですから、もしかすると平泉氏は、この本を読んでいたのかもしれません。大きな人口も国力の一つだと、こういう考え方は、繋がっているような気がしてきました。

 少子高齢化社会になりつつある日本は、これからますます国力がなくなるのだと、実感が湧いてきます。さらに安倍内閣が立法化した移民法が、いかに国力を減退させる悪法であるのかも、実感できます。弱まりつつある日本に、大国中国からの移民を、大量に受け入れようというのですから、亡国の政府と、批判せずにおれなくなります。反日・野党を批判するどころの話ではありません。

 しかしこの話は、別の方も取り上げていますから、いったん脇へ置き、私はハンチントン氏の著作へ戻ります。狭量な私に、出来るかできないのか、自信はありませんが、秋の夜長の読書を楽しみたいと思います。

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2 コメント

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着眼の確かさが窺える・・ (HAKASE(jnkt32))
2019-10-08 21:16:53
今回も、拙記事のご見解を有難うございます。拙画像
のご感想も痛み入るものがありました。改めて、守るべ
き何かを教えられた気がする所です。

前回からの貴記事の著者 S・ハンチントン博士は専門
分野という事もあってか、かなり優れた着眼をお持ちと心得ます。

拙者は同氏の著作未読であり、又貴連載も途上の様
ですので詳しくは控えますが「文明の衝突」という題目
だけで考えましても「世界平和の最大の脅威であり、
文明に依拠した世界秩序こそが、世界戦争を防ぐ最も
確実な安全装置だという事である」 「もう一つの大き
なテーマは、人口増加が力の安定やバランスに及ぼ
す極めて大きな影響についてである」

どちらも問題の核心を突いていると思います。前者は
欧米対中東の 宗教対立絡みの大きな軋轢に現れ
ていますし、後者は中国大陸を含むA,A圏で深刻化し
ているのは知られる所です。

特に中国のそれは、少子高齢化から中々に抜け出せ
ぬ我国にとり、大きな脅威となり得るかも知れません。
その覚悟を持って、これからに向き合わないととも思う
所です。次回からも、貴ブログまで勉強に伺います。
どうか宜しくお願い致します。
未来予測 (0necat01)
2019-10-09 08:01:11
HAKASEさん。

 当たるも八卦、あたらぬも八卦と言いますが、学者のする未来予測も、似たようなところがあります。

 私たちを含め多くの人間は、現在を考え、未来を思い、依るべきものを求める習性があります。納得でき、安心できる予測が見つかれば、嬉しくなります。

 マルクス主義もその一つでしたが、ハンチントン氏の上司だったブレジンスキー氏が、「大いなる失敗」という著作で、20世紀最大の失敗がマルクス主義だったと結論づけました。

 「文明の衝突」の面白さは、マルクスのように、何かを断定せず、混沌としたものを、混沌のままに眺め、整理しようとする謙虚さだと思います。

 こういう書の前では、謙虚な学徒になり、話に耳を傾けるのが一番だと思います。貴方もどうぞ、「ねこ庭」で、しばらくハンチントン氏の講義をお聞きください。

 コメントに感謝します。

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