今回も自由民主党と公明党の確執に関する、新聞記事の続きです。自由民主党の議員も言われっぱなしではありません。
「自民に国交相奪還論」「譲らぬ公明 連立火種も」・・7月19日
・ 自民幹部は、地方議員との会合で語気を強めた
⚪︎ 今は自民に国交相経験者がおらず、予算獲得が大変だ。次は絶対に取り返す
・ 自民は麻生内閣の金子一義氏を最後に、現職の国会議員では国交相経験者がゼロ。ベテラン議員が、苛立ちをあらわにする。
⚪︎ 地方の陳情が他党に行くなんて、おかしい。国交族が育たない。
・ 創価学会の高齢化が進み、組織力と集票力が低下している公明党は打ち明ける
⚪︎ 国交相は業界に顔が利き、落ち込んだ票をカバーできる。衆院選を見据え、手放すなんて考えられない。
公明党は連立の当初、厚生労働相や環境相の椅子を手にしましたが、安倍政権以後大田前代表から現在の斎藤氏まで、4人続けて国交相の椅子に座っています。今ではこれが、公明党の指定席になっており、同党が固執する理由を記事が説明しています。
・国交相は建設・運輸業界から陳情を受け、公共事業を差配する権限を握る。
・影響力は絶大で、今月広島で開いた斉藤氏の支援集会には、約250団体、約千人が参加した。
記事の説明はこれだけですが、私は更に海上保安庁と観光庁を管轄していることを理由に加えます。国難の最前線にある尖閣諸島の領海を守っているのが、海上保安庁ですから、日々中国と対峙しています。媚中派の同党が中国へ恩を売っているのか、中国に利用されているのか、そこのところは分かりません。
小泉内閣以来観光立国を宣言した日本は、訪日客を勧誘する専門組織として観光庁を作りましたが、観光客のメインを占めているのが中国人です。航空業界、ホテル業界、小売店業界、全国各地の観光協会は、大挙して来日する中国人観光客を目当にしています。媚中派の同党が中国へ恩を売っているのか、中国に利用されているのか、そこのところは分かりません。
国交省という巨大組織は、いわば利権の集合体ともいうべきものですから、権力の旨みを知った公明党が簡単に離すと思えません。その証拠が次の記事です。
「斉藤国交相の続投要望へ」「公明 衆院選見据えポスト維持」・・7月19日
・山口那津男代表は、記者会見で次のように述べた
⚪︎ 国交相ポストは、党にとってこれからも重要だ。継続を求めていく
⚪︎ たった一つのポストで連立政権を構成し、影響力が行使されるので、効果の大きいところをお願いする姿勢で臨んでいきたい
・公明党幹部は指摘する
⚪︎ 国交相を握っていれば、業界団体による集票が期待できる。斉藤氏の選挙にもプラスだ
公明党は6月末から建設関係者を集め、斉藤氏が立候補する広島3区だけでなく、埼玉14区、愛知16区でも決起集会を続けて開催しているそうです。自民党ではこうした動きを受け、自民党を支えてきた建設・運輸業界が公明党に奪われかねないとして、国交相ポストの獲得を目指しています。
・中東外遊中の岸田首相は、カタールで記者会見に臨んで語った。
⚪︎ 公明党から正式な要望があれば、首相である自分が最終判断する。
懸案である「景気の回復」と「憲法改正」を考え、衆議院の解散を狙っている岸田首相にとって、今一番の障害は政権内を紛糾させる公明党です。平和の党を公称する同党は、「憲法改正」だけでなく防衛費の増額にも反対しますから即答せず、いつものように曖昧で、うやむやな意見を言っています。
しかし岸田首相が密かに公明党との連立解消を考えていることは、すでに次の記事が暗示しています。
「国民民主代表 玉木氏再戦」「連立入り否定 政策は協調」・・9月3日
・ 玉木氏は記者会見で、与野党を問わず政策協調を追求する一方で、自民・公明連立政権への参加を否定し、自身の入閣もないとした。
何でも反対の野党でなく、国民民主党は大事な政策では協調する姿勢を見せ、「憲法改正」についても前向きです。岸田首相の意図しているところが、次の記事でも見えます。
「国民の政権参加見送り」「玉木氏否定 連合内にも異論」・・9月9日
・岸田政権は自民・公明の枠組みに国民民主党を加える、「自公国」連立を見送る。
・玉木氏の再選を受け、自民党内に連立論が浮上したが、国民党内や支援組織の連合内に支持が広がらなかった。
公明党との確執がなければ、自由民主党がこうした話をマスコミに伝えるはずがなく、岸田首相自身が黙っていません。放任しているというのは、連立解消の意思があるからであり、奢った公明党への脅しでないかと私は考えます。
今回でシリーズを終わるつもりでしたが、政界の玉突き現象 ( 公明党との連立解消 ? ) のタイトルの「玉突き現象」の説明が不十分です。申し訳ありませんが、どうか次回も、「ねこ庭」へ足をお運びください。温かい紅茶を用意します。