寝具の情報・ニュースまとめブログ

元・寝具店経営者の視点からふとんの使い方・選び方を発信するブログです。

「エアー01」と「エアーSI(エスアイ)」の選び方。

2014年08月20日 | 敷きふとん(マットレス)

こんにちは、ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、
午前九時現在、気温三十度、湿度六十五%、
気温も高くて湿度も高い、鳥渡厳しい朝でした。

さて、当店は今初夏より写真の様に、
シャッターを「カズ×エアー」仕様にモデルチェンジいたしました。
店内においても、より一層の「エアー」関連商品の充実を図りました。
お蔭さまでお客様より沢山の「エアー」についての、
お問い合わせとご注文を頂戴しております。
ありがとうございます。

そんな「エアー」ショップとも言うべき当店ですが、
一方でより「エアー」の良さを皆様によりご理解いただく為にも、
「エアー」で睡眠する事の是非については、
何時もお客様の状況やご体格などに応じてご案内させていただいております。

しかしそもそも「エアー」は寝心地的には業界でも屈指の商品です。
ならば何故、「エアー」で眠る事に是非があり得るのでしょうか?
ここで重要なのは、
「エアー」の様なそれなりに高額の敷ふとんを候補に入れられる方は、
ご自身の睡眠についてある程度の不安を抱えている(事が多い)、という事です。
それが精神的なものなのか、肉体的なものなのかはともかく、
健康で睡眠に全然不安がない(=関心がない)方は、
最初から「エアー」を選ぶかどうかで余り困りはしない(事が多い)でしょう。

であれば、
例えば健康食を作る方が自分の必要な栄養素を選んで摂ろうと心掛ける様に、
寝具にもその方の状態や状況に必要な寝具と言うものが存在します。
また寝具選びの際にはその方の経てきた睡眠環境履歴も重要です。

という長い前説は置いておきまして、
今回は「エアー」商品群を構成する四つの商品を簡単にご案内します。

「エアー」には大きく分けて二つの種類があります。
最も知名度の高い「01」と、
より寝心地を追求した「SI」です。
「01」と「SI」ともに硬さを二種類ご用意しておりますので、
都合四種類という事になります。

「01」は「エアー」を代表する主力商品です。
噂の三層構造が特色で、
第二層を成している薄いウレタンがスプリングの役目を果たす事で、
体圧分散や寝返りをサポートする仕組みになっています。
寝心地は第二層のスプリング効果の関係で、
やや独特の寝心地となっており、そこもときには人を選びます。
硬さにはベーシックとハードがあり、
ベーシックでもかなり硬い寝心地です。
従ってハードは強烈に硬く、これを選択される際には相当の覚悟が必要です。
なお、その硬さを数字にしますと、
ベーシックが100N、
ハードが120Nです。
これだけを見ますと他社のものと比較してもそう硬いとは想像できないと思いますが、
実際には様々な数字上に表れない諸要素の為に、
数値より数段硬い仕上がりとなっています。

「SI」は「01」の上位機種という位置づけです。
但し商品のコンセプトは同じ「エアー」シリーズであっても、
技術的には違いも大きいかと思います。

この「SI」には、
西川産業の誇る「整圧敷ふとん」というマットレスで培われた技術が投入されていて、
寝心地そのものは「01」に比べてもかなり良いのではないかと思います。
整圧ふとん同様、上からと下からの二方向、縦にスリットが入っており、
これが業界屈指の体圧分散能力を担保しています。
硬さにはやはりレギュラーとハードの二種類があります。
その数値は、
レギュラーが100N、
ハードが115Nです。
「SI」は「01」に比べますと、スリットが入っている関係上、
やや軟らかく感じられます。

さて、硬さについてまとめます。
両者の硬さを順に並べますと、優しい方から順に、
「SIレギュラー」→「01ベーシック」=「SIハード」→「01ハード」
という感じになります。
この中で女性が使う事ができる硬さは事実上「SI」のレギュラーだけかと思います。
「01」のベーシックも大丈夫だった、という方もいらっしゃるかと思いますが、
鳥渡店頭でお勧めする自信はないです。
スポーツをやっている若い世代の女性ならば或いはいける可能性もあるかも知れませんが……。

一方で男性の場合、
「SIレギュラー」は概ね硬すぎるという事はなくお使いいただけるかと思います。
「01ベーシック」や「SIハード」はかなり人を選ぶと思いますが、
硬めが物凄く好きな方、運動をかなり活発にやられている方、若い世代の方、
などならばそれなりに大丈夫かもしれません。

因みに四十代前半で体重七十八キロ、一か月に四十キロジョギングする程度の私(男性)は、
「01」のベーシックも辛かったです
(寝入りばなは無理ではないのですが、四時間くらい眠ると起きたくなる)。

こう考えていきますと、
最近「SI」の売れ行きが良い、というメーカーさんの話は良く分かります。
実際に当店でも、「エアー」を見たい、と言って来てくださるお客様のうち、
三割程度の方が最初から「SI」を指してくださいます。
私はいずれそう遠くないうちに「エアー01」の価格帯かもう少しだけ上のラインに、
現行の「01」よりももう鳥渡優しい寝心地のタイプが登場するのではないか、
と勝手に妄想しているのですが、
「01」が硬すぎるから「SI」にしよう!
という方ばかりでないのは自明なので、やはりそうした想像をしてしまう訳です。

さて、
硬さ的に「SI」が多数派にとって丁度良くて、
寝心地も一層よろしい、
という事であれば、ご予算の問題を置いておけるのならば、
「SI」を選ぶ事はベストなのでしょうか?

ここで実は問題があります。
これは飽くまで私などの経験に基づく体感的なものなのですが、
例えば私の場合、「SI」の寿命は一年です
(「01」の場合は恐らく三、四年くらいと思われます)。
勿論、これは私の主観的な意見です。
恐らくメーカーも一般の販売店さんも、「一年」とは絶対に認めない筈です。
実際、一年使ったところで外観的には何らの損耗も無い様に感ぜられますし、
一見して綺麗なものです。
しかし外観とは裏腹に、
気持ちよく寝入るためのサポート力は一年で摩耗します。
一年経つと非常に寝心地がだらしなくなって、
もう使い始め当初の体圧分散能力は喪われている、と言えます
(因みに経験的には体重六十キロの男性で一年半がいいところです)。

しかしこれはなるほど考えてみれば自明な事であって、
シンプルなブロック状のウレタンを使ってマットレスを作った場合と、
ウレタンにスリットを入れてマットレスを作った場合で、
耐用年数が同じな訳がある筈もない、と気付かされます。

従って実際に「SI」をお勧めする事ができるお客様は、
現在かなり身体を調子悪くされていて、
一年のうちに体調を回復させたい方、
という事になりましょう。要するに重症な方向けです。
或いはとても体重の軽い女性の方もいいと思います。
実際、当店で整圧敷ふとんや「SI」をお求め頂く方の六割はそうした女性の方です。

今回は「エアー」シリーズの簡単な紹介という事で、
機能に簡単に触れながら、硬さと耐用年数とについて書きました。

色々とマイナスな事も書いてしまったかも知れませんが、
最近、積極的にテレビなどの諸媒体で、
スポーツ選手や役者さんなどの力を借りて広告されている、
幾つかの健康マットレスの中で比較すれば、
「エアー」は、
そもそもの性能が格段に高いのではないかと思います。

やはり表面がプロファイルされている(ポコポコしている)加工は、
非常に日本人の体質や日本の気候と相性が良く、
そのメリットは計り知れないものがあります。

そこでやはり大切なのは、
『健康マットレスのラインナップは「エアー」だけでは揃わない』
という事実です。
私は是非、ご体格や体調に合わせて、
「ムアツ」や「エアー」、そして「整圧敷ふとん」
など絡ませた中から適切なのをお選びいただきたいと思います。


なお「エアー」と「ムアツ」の硬さの比較については下記を参照してください。
『西川の「ムアツふとん」と「エアー」の関係』



東京西川 [エアー01] マットレス シングル ベーシック グレー
クリエーター情報なし
AIR



東京西川 [エアーSI] マットレス シングル レギュラー レッド
クリエーター情報なし
AIR



東京西川 [エアーSI-H] マットレス シングル ハード ブルー
クリエーター情報なし
AIR



東京西川 [エアー01] マットレス シングル ネイビー
クリエーター情報なし
AIR

2 コメント

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Unknown (整圧敷き布団に関して)
2015-07-05 12:43:08
初めまして、とても興味深い記事で書き込みをさせて頂きました。
整圧敷き布団の購入を検討しており、情報を集めているのですが、スリットがある為に耐用年数が落ちるであろうというご意見になるほどと思ってしまいました。
メーカーHPでは耐用年数10~13年となっていましたが、作り込まれているが故に以外な所に落とし穴がある様ですね。

そこでお聞きしたいのですが、昭和西川から新しく発表されたスリープスパの構造は耐久性を見た際、従来の物と比較してどのようにお考えでしょうか?よろしくお願いいたします。
Unknown (小松屋店長)
2015-07-26 14:16:29
当ブログをお読みいただき誠にありがとうございます。
「ムアツスリープスパ」について、一使用者としての完全に個人的な思い込みという前提でお答えいたします。

まだ出始めな商品ですので検証はできませんが、三層構造のうちの第二層の、無膜の部分の耐久力が心配かなとは思います。第一層と第三層に比して早めの劣化があり得るかも知れません。
これを要するに、普通のムアツに比べると耐久性は優れていないと思われます。

ただ問題は耐久力よりも使用感そのものにあると感じます。個人的にはムアツの名は冠してほしくなかったです。

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