昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

昔の望遠鏡への興味

2022-01-14 | 天体望遠鏡
 昔の学友と、話す機会があった。一人はテストの答案が返される時に、「チラッと見えたぞ、赤点とっただろう!」などと言ったりする、愉快な友だ。海外への赴任もあり苦労も多かったようだが、今は退職し趣味三昧の生活を送っているという。その一日は、昼前はパチンコ、そして午後はスキーを再開するためにトレーニングを行っているというのだが、その内容が面白い。パチンコ屋では、初めに知り合いに挨拶をしながら出玉の調子を確認するのだが、十人以上いるのでそれだけで時間が掛かり、自分が球を打つのは少しだけなのだそうだ。そしてトレーニングは、神社の階段を、足にウエイトを巻きつけて登るのだという。それを聞いて、星飛雄馬みたいだと皆で笑った。水泳部だった別の友人は、沖縄にダイビングに行くのだと言っていた。それらを聞いて、みんな若いころの趣味を発展させ、楽しんでいるのだと思った。自分が話す番になると、「今でも星を見ているのか」と聞かれる。星好きなのを知られているのは、その頃に長時間を過ごした喫茶店で、よく宇宙の話をしていたからなのだろう。

 これまで、ずっと星を見てきた。いや、街中に住む身なので、ずっと星の事を考えてきた、というのが正しいのかもしれない。当然、道具である望遠鏡にも目が向くことになる。そしてある種の人間は、新しいものにではなく、昔の望遠鏡へ関心が増していく。

 昔の望遠鏡への興味は、三つの種類に分けることが出来るように思う。一つは、過去の銘機が持つ造りの良さや優美な姿への興味だ。特に長焦点屈折鏡は、格好が良いし、金属部品には職人の手業を感じさせるものが多いので、多くの天キチを魅了することになる。二つ目は、子供の頃に手にすることが出来なかった望遠鏡への憧れから来るものだ。望遠鏡は高価なので、この感情を持つ人も多いと思う。また広い意味では、御三家の望遠鏡もこの範疇に含まれるのかもしれない。三つめは、個人の感性をくすぐるもので、これは人それぞれの分野があるのだろう。

 島津の珍しい6cm屈折鏡筒である。先の分類では、三番目であろうか。島津と言えば、かつてサラリーマンであった田中氏が、ノーベル賞を受賞した時はとても嬉しかったのを憶えている。当該鏡筒は、おそらく学校に納入するための製品の一つで、OEMだと思われる。



 小型の木箱に収納されており、太陽投影板や正立プリズムも一緒に入れられている。



 今の基準から見ると、対物レンズの箔はやや大きい部類のようだ。




 接眼部は、梨地塗装である。無垢から削り出された微動ハンドルが美しい。 
 
 このような小型の鏡筒は扱い易く、しかも箱入りで保管もしっかりできるので、生徒向けには最適だと思う。