沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

浦添市と中北組合の広域処理を考える(予告編3)

2015-12-26 11:15:12 | ごみ処理計画

浦添市の公式サイトに12月定例議会の録画がアップされていました。中北組合との広域処理に関する当局の答弁(1:37頃)は平成29年度に中城村と北中城村と協議会を設立する「予定」という答弁でした。

そこで、今日は広域処理に対する浦添市のリスクを考えてみることにします。なお、広域施設は現在の浦添市の施設の隣に整備する予定(中北組合の施設は広域施設が完成したときに廃止する予定)になっています。

浦添市12月定例議会録画(又吉健太郎議員一般質問)

<参考資料>

廃棄物処理基本方針

廃棄物処理施設は、今後、維持管理や更新に係るコストが増大することが見込まれ、かつ、機能面で社会の要請に応えられなくなっていることが懸念される。厳しい財政状況の中で、コスト縮減を図りつつ、必要な廃棄物処理施設を徹底的に活用していくため、いわゆるストックマネジメントの手法を導入し、廃棄物処理施設の計画的かつ効率的な維持管理や更新を推進し、施設の長寿命化・延命化を図る。

循環型社会形成推進交付金Q&A集(環境省)

No1Q:地域計画とはどのようなものか。

No1A:地域計画とは、市町村が循環型社会形成の推進を図るため、廃棄物処理法第5条の2に規定する基本方針に沿って作成するものであり、この計画に基づく施設整備事業に対して循環型社会形成推進交付金が交付される。

No4Q:計画対象地域内の一部の市町村が施設整備を行う予定がない場合、当該市町村は、地域計画の作成者に含まれないのか。

No4A:施設整備を行わない市町村であっても、計画作成者として目標設定に関わり、これを達成するための発生抑制、再生利用等のための各種施策を行うこととなる。

廃棄物処理施設長寿命化Q&A集(環境省)

4頁Q:交付要件において、施設竣工後の経過年数による制限はあるのか。 また、改良後において、何年以上延命化を図らなければならないといった条件はあるのか。

4頁A: 築25年未満の施設については、基幹的設備改良事業後10年以上施設を稼働する こと。

<浦添市のリスク>

(1)中北組合が休止している溶融炉を再稼動して長寿命化を行わない場合は、自主財源により広域施設を整備することになる。

解説:広域処理を行う1市2村が国の補助金を利用して広域施設の整備を行う場合は、事前に国の基本方針に適合する「地域計画」を策定しなければなりません。しかし、中北組合が休止している溶融炉を再稼動して長寿命化を行っていない場合は、国の基本方針に適合しないごみ処理を行っていることになり、国が補助金の交付の要件としている「地域計画」を策定することができないことになります。

(2)中北組合が溶融炉を再稼動して長寿命化を行った場合であっても、そこから10年以上は既存の施設を利用しなければならない。

解説:市町村が国の基本方針に従って焼却施設の長寿命化を行った場合は、そこから10年以上は稼動しなければならない(新しい施設は整備できない)ことになっています。したがって、浦添市としては長寿命化した中北組合の焼却施設が10年を経過するまで待たなければならないことになるので、これから広域施設が完成するまでの15年間くらい(平成29年度に協議会を設立して平成30年度に「地域計画」を策定して平成31年度に長寿命化を行った場合)は老朽化対策を行いながら既存の施設を利用して行くことになります。ちなみに、浦添市の焼却施設は平成24年頃に長寿命化を行っているので、15年後には長寿命化から約18年を経過していることになります。

(3)中北組合の溶融炉が事故や故障等により停止した場合は広域計画が遅れることになる。

解説:溶融炉の経過年数は稼働率100%を前提にしているので、事故や故障等によって一時的に停止するとその分だけ経過年数をクリアする期間が長くなります。 仮に稼働率が70%程度であった場合は経過年数(実際に溶融炉を稼動していた年数)の10年をクリアするまで約15年を要することになるので、広域計画は更に5年遅れることになります。ちなみに、中北組合の溶融炉は他の溶融炉に比べると事故や故障等のリスクが高い特殊な溶融炉(塩分濃度の高い流動床炉の飛灰を単独で処理する燃料式の溶融炉)なので、稼働率100%で10年間無事に利用して行くためには、極めて高度な管理体制を確保する必要があります。

以上により、中北組合が溶融炉を再稼動して焼却炉と一緒に長寿命化を行わない場合は、広域施設の整備に当って浦添市も国の補助金を利用することができなくなるので、広域計画は「白紙撤回」になると考えます。また、中北組合が長寿命化を行った場合であっても浦添市において既存のごみ処理施設の老朽化対策に多大な予算が必要になる場合も「白紙撤回」になると考えます。もちろん、中北組合が溶融炉を再稼動したのに長寿命化ができなかった場合も「白紙撤回」になると考えます。

休止(廃止)している溶融炉の再稼動と長寿命化を考える(2)


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