だらだら日記goo編

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生き方に正解はない

2005-06-17 23:43:35 | アート・文化
いろんな生き方があるそんなことをつくづくと感じる。
ダンカン・フィリップスという人がいる。
この人は裕福だったこともあろうが、美術収集以外の職業には就かなかった。
美というデーモンに魅せられた人の生き方がここにある。
この人のコレクションを公開したのがフィリップス美術館で、その日本展示が森アートセンターギャラリーで始まったのでいってきた。
夜八時に入場したせいか、人も少なくゆったり鑑賞できる。
たった60点しか出品されないが、一つ一つゆっくり見て歩く。
冒頭でエル・グレコとゴヤの「悔悛の聖ペテロ」を並べて展示するなど工夫が凝らされている。
「アートの教科書」と副題が着いているように、印象派のところでは、画面から近づいたり離れたりして、光の効果を感ずると良いとなるほどと思う解説がある。
この展覧会のハイライトはルノアールの「舟遊びの昼食」だ。
フィリップスはこの絵画を当時としては破格の価格で購入し、この絵を観るために世界中から人々が訪れると予言したという。
場面は印象派の島シャトーで中産階級の人々が食事をしている場面だ。
別にこの絵がルノアールの代表作というわけではないだろうが、印象派ブームを考えると彼の予言は当たったといってよい。
そのほかゴッホ、セザンヌ、ピカソ、ロダンなんでもあり、本当にアートの教科書だ。
子どもづれにはいい教育になるかもしれないと思う。
展示を一時間半でゆっくり見て、今度は展望台でやっているロバート・キャパカラー写真展へ。
大戦中、大西洋護送船団で渡英したキャパの生々しい写真だ。
キャパは日本にも着たが1954年の平和な日本をどう思っていたろうか。
キャパは三週間の日本滞在でハノイへと渡りかえらぬ人となる。
戦争に殉じた生き方がそこにはある。
展望台の若者はほとんど写真には関心ないようで夜景をのんびり見ている、それもまた一つの生き方だろう。
展望台から降りて六本木の駅に歩くと外人がわんさか、ほんといろんな生き方がある。
さて、指揮者のジュリーニがなくなったという、この人の生き方も又変わっていた。
ジュリーニについては明日以降もう一つのブログにてかきます。
この展覧会は専用サイトがあって割引券もプリントアウトできるので利用したほうがいいかも。

http://www.phillips-collection.jp/top.html


妖艶の美

2005-06-15 23:16:46 | アート・文化
眼からうろこが落ちる思いだ。
今までは女性の裸体ばかり描くへんてこな画家と思っていたーこの間亡くなった加山又造さんのことだ。
その版画すべてを集めた展覧会が日本橋高島屋で開かれているのでいってみた、午後六時半に入場したので四百円ですむ。
つくづく感じたのは加山が実に研究熱心だということだ。
版画のほとんどの技法をマスターしているのではないか、木版画、リトグラフ、メゾチントは勿論、ドライポイントだのビュランという非常に鋭い線を用いるのだの、絵に効果を与えることに苦心している。
裸婦の絵を描くのも尋常ではない、たとえば福井のMO紙という銀ののりがいい紙を使って妖艶さを与えることに成功している。
この人は現代に浮世絵をよみがえらせようとしたのだという。
そうであれば、裸婦の絵を多く描いたこともよくわかる。
勿論加山は裸婦の絵ばかり描いたのではない。
「玉虫」というメゾチント技法の作品は浜口陽三にも並ぶレベルだ。
「赫」というリトグラフ作品はまことに鮮やかだ。
しかしこの人は上野の烏にも愛着を持っていたようで、1990-2002の藝大カレンダーシリーズにはカラスを良く描いている、まことに面白い。
雁皮刷りなる薄い和紙を使ったすりにもチャレンジしている。
そういう加山の全版画が一堂に会するこの展覧会は観るものをまったくあきさせない。
思わぬ収穫をした展覧会だ。
加山の作品は多摩美大に寄贈され、これから研究が進んでいくだろう。
最後に加山の作品には「E.A」と「処」というサインが認められるがナニを意味しているのだろう。


ボタニカル・アートのゆくえ

2005-06-14 22:22:04 | アート・文化
藝大美術館に「植物画世界の至宝展」を観に行く。
英国王立園芸協会創立200周年を記念しての企画展示だ。
フックストいう人の「新植物誌」が近代の植物画、ボタニカル・アートの始まりとすれば、そこから現代のアートまでを一覧に俯瞰できる展示だ。
初期のたとえば、ウィリアム・フッカーという人の描く植物画はまことに写実的だ、メロンとかモモとかまことにおいしそうだ。
ナポレオン皇帝妃の庇護を受けたルデゥテの作品はまことに大きいし、植民地時代には植民地化された国である「スリランカの素描」もあって時代を感じる展示だ。
時代が下っていくにつれて絵のほうも写実的より分析的の傾向が強まり、蝶が止まっていたり、虫がいたりする植物画も現れる。
ガーデニングの時代、つまり現代になると日本人今井眞利子の作品は根が絡まっているのが面白く、また別の人の作品は幹から花が咲く様子を描く。
藝大の学生か知らないが、展示されている植物画をスケッチしている人もいた。
写真で簡単に植物など撮れる時代だが、人間の描きたいという欲求は変わらないものだと感じる。
たいして見るのに時間もかからない展示で、藝大のコレクション展示へと移動。
柴田是真という明治宮殿の天井画を描いた人だそうだ。
大きな下絵がたくさん展示、描くのに相当苦労したろう。これまた植物画なので企画展示と整合性が取れている。
ついでに同じ大学構内で「日本におけるダダ展」の展示も見る。
村山知義を中心にした展示だ。
まあ三つの展示をいっぺんに見られるから、それはよいが1200円はちと高い。
セゾンカードが特別協賛しているので、カードを見せれば割引とか考えてほしいものだ。
なおこの英国国立園芸協会には日本支部もあるそうだ、興味あるかたはどうぞ。

http://www3.ocn.ne.jp/^rhsj/


素朴なおおらかさ

2005-06-13 16:34:54 | アート・文化
昨日は世田谷美術館に「ゲント美術館名品展」を観に行く、かえって疲れきってそのまま寝てしまったので本日感想を。
近代美術の中のベルギーがテーマだが、ベルギーに限らずバルビゾンとか印象派とか、ゲント美術館の名品を一堂に集めた展示だ。
「近代」も幅広く19C初頭戦後の作品までも含む展示だ。
つくづく感じたのだが、自然を前にしたおおらかな絵が多い。
圧巻はモンティニーの「庭師」とホーネルの「春の田園詩」ではないか。
大型のキャンパスに花々が一面に描かれているのだ、すばらしい!
こういう視点から見るとベルギーの美術がなんとなくわかってくる。
フォーヴィズムもヴラバンツ・フォーヴィズムとしてベルギーで展開されたというがやはり自然とのつながりがある。
コンスタン・ベルメーケという人の「草取りをする女」は女性と大地のつながりをあらわしてもいる。
デ・スメット「ラ・ギンヌ・メゾン」は売春宿を表した作品というが、とてもそうはみえない。
同じ画家の「村祭り」同様おおらかさが根底にある。
そのほか、クールベやらアンソールやらマグリッドやらクノップフやらいろいろ展示される。
しかし会場の都合か、第一章第二章と来て、次に第五章となるとあれという感覚になる。
第三章のバルビゾンと、四章のそれに呼応するベルギーは後回しに展示される。
しかし象徴主義のコーナーは会場を暗くしているなどそれなりに評価できる。
頭蓋骨を持った「マグダラのマリア」などこういう雰囲気で楽しみたい。
カタログもコンパクトだ、あまり場所をとらないのがいい。
用賀の駅から美術館まで歩くが、小川が流れていていつ行っても心地よい。
ただゴミが無造作に捨てられているのは興ざめというしかない。
なかなかいい美術展、ヨミウリの主催だがこの新聞社もたまにはいい企画をやる。


パンフレットをなくしてしまった

2005-06-11 21:02:06 | アート・文化
今日は近くの世田谷生活工房で開かれているじゅうたんの展示に行く。
無料だが、さすがNHKサービスセンターが絡んでいるだけあって、美術館の展覧会のような展示だ。
例によっていろいろメモしたのだが、そのパンフレットを置き忘れてきてしまって感想をアップできない。
会場ではNHKシルクロードの宣伝ビデオも流れていた。
中東のじゅうたんを始め、装身具、中国や日本のじゅうたんいろいろ展示されている。
新しく発見されたミイラに当時の装身具を再現したものもあった。
解説も丁寧で、ロスチャイルド旧所蔵のじゅうたんや、人物を描いた中東では珍しいじゅうたんもあった。
やはり「生命の樹」の話が面白かった。
8500円もする以前やった展覧会の図録?画2000円で売られているのもいい。
感想は簡単ですがお近くの方はぜひ。
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