だらだら日記goo編

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ひとつの展覧会、二つの展覧会

2005-04-26 19:43:22 | アート・文化
目黒区美術館に「目黒不動尊の近代美術」を見に行く、書家の豊道春海と彫刻家の後藤良という人を取り上げた展示。
2人とも僕は名前すら知らないが、歴史に埋もれた人なのだろう、この美術館でいかにもやりそうな企画だ。
ついでにこの美術館はいつも展示数が物足りない、今回もそのつもりで庭園美術館とはしごするつもりでいたが、その予想はうれしくも悲しくもはずれた。
行ってみると主催者挨拶が別のところに二箇所ある、挨拶が豊道春海ー「ぶんどうしゅんかい」とよむそうなーと後藤良についてそれぞれ書かれているのだ。
この2人は目黒不動尊という接点以外何もつながりはないのだろう、展示内容もまったく二分割されている。
ひとつの展覧会なのにまるで二つの展覧会をみるようだ。
それぞれ欲張ってあれこれ展示されているので、見るのに時間がかかることおびただしい。
二階会場ではビデオもやっており、庭園美術館にゆくどころではなくなった。
で、内容だが先ず豊道は目黒不動尊に「春洞西川先生碑」を揮毫した人、なんともスケールが大きいことおびただしい。
しかしその一方で1944年の般若心経などは米粒のような字でかかれている。
この人には1915年の般若心経も展示されており、比べてみると面白い。
マッカーサーに小学校での毛筆習字の必要を直談判したとか、そもそも風貌からして伝統を絵に描いたような人だ。
一方、後藤は不動尊仁王門の仁王尊像の作者ではあるが仁王像から伺える激しさを持つ一方、「埋もれたる古都」なる彫刻はえもいわれぬ妖艶さが漂ってくる。もともと能の世界に関心があったということと無縁ではなかろう。
ともかく展示はこの2人のあたう限りの作品を並べたという感がする、み終わると疲れる。
本当に二つの展覧会を観たという感じだ。
まあ何はともあれ、ゴッホやピカソも良いが知られていない芸術家に触れるのは楽しいことだ。
カタログを購入するとおまけに昭和32年に作られた「不動尊の話」なる冊子がついてくる。なかなかしゃれている。
別に目黒と切り離しても充分楽しめる展示だ。
僕は友の会会員なので無料だが一般六百円は高くはない。