会場に入るなり目も鮮やかな風景画が飛び込んできた。
回顧展でも眼にした奥田元宋の「奥入瀬」だ、春が又巡ってくる、千鳥が淵の山種美術館にこの時期恒例の「桜」の展覧会を観に行く。
江戸の作家から現存する作家まで「桜」を描いた作品が所狭しと並んでいる。
横山大観は「春朝」だ、真っ赤な太陽と地面に咲くタンポポが印象的だ。
自然美を描いたものと歴史に取材した作品にわかれる。
後者は松岡映丘の藤原時代を「想像」して描いた作品とか、「道成寺」に取材した小林古径の作品が印象的だ。
自然に取材したのに歴史を感じさせる作品もある。
奥村土牛は「吉野」だ。
この人は吉野の山に「華やかさというより気高くさびしい」「荘厳さ」を感じ、「歴史画を描くような」気持ちで描いたという。
小林古径の「弥勒」は実在する奈良の磨崖仏を描いたもので以前見たこともあるが、発表されたときの世間の評価は高くなく、二十年も画家はアトリエで推敲を重ねたとは意外だ。
こうして又春がやってくる。
帰りがけに靖国神社へ寄ったら、テレビ局が桜のつぼみを映していた。
開花宣言ももうすぐだろう。
横山大観の「夜桜」は4/28から展示されるという、「ぐるっとパス」でまたいこう。