詩『言葉の街から』 対話シリーズ
3012
冷蔵庫の中に卵たちが
静まっている
そんな日々が気づきの外を流れている
3013
ドアが開いて劇が始まる
朝がある
卵の物語である 卵卵卵卵卵卵卵
3014
きみのイメージの中
ころころころころ
卵が移動している配列を組み替えている
3015
二人の内で火の手が上がる
許容の線から
あふれ出て行く物語の地平へ
3012
冷蔵庫の中に卵たちが
静まっている
そんな日々が気づきの外を流れている
3013
ドアが開いて劇が始まる
朝がある
卵の物語である 卵卵卵卵卵卵卵
3014
きみのイメージの中
ころころころころ
卵が移動している配列を組み替えている
3015
二人の内で火の手が上がる
許容の線から
あふれ出て行く物語の地平へ
註・町田康「夫婦茶碗」P33 新潮文庫
例えば、オムレットが食いたくなって、妻に、オムレットを拵えよ、と命じたとする。傍らで小説本かなにかを読んでいた妻は「はい」と好い返事で立ち上がり、冷蔵庫の扉を開ける。ここだ。ここが重要なのだ。と、妻の手元を注視していると、ほらね、いわんこっちゃない、妻は、いたって無造作に、鶏卵トレイの奥の方の鶏卵を取り出しているのである。わたしは再三再四、口を酸っぱくして妻に、鶏卵使用の際にあたっては鶏卵を手前側から取ってくれろ、くれぐれも奥から取ってくれるなよ、と注意してきたのだ。
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