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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

2025年3月のカレンダー

2025年02月25日 | 今日このごろ

3月 Wright 1878 Plate 2, Fig. 1 Arietites Conybeari(Sowerby)

 標本は縦の長さ51.0 cmと非常に大きなもの。文献は次の通り。
○ Wright, Thomas 1878. Monograph on the Lias Ammonites of the British Islands. Part First – the Lias Formtion. The Palaeontographical Society, 1878. 1-48, Plates 1-8. (イギリスのLias層のアンモナイトに関するモノグラフ 第1部 Lias層)
 標本は、Saltford というところのthe Great Western 鉄道を建設する際に、切り通しで発見された。Wright自身が採集したもので、大英博物館に収蔵されたという。

種 Arietites Conybeari (Sowerby, 1816) の初出文献は次のもの。
○ Sowerby, James 1818. The Mineral Conchology of Great Britain; or coloured Figures and Descriptions of Those Remains of Testaceous Animals or Shells, Which have been Preserved at Various Times and Depths in the Earth. Parts XXI to XXVI. The mineral conchology of Great Britain vol. 2: 1-251, Tabs. 103-203.(イギリス鉱物コンコロジー。地球のさまざまな時期と深さで保存されている、動物や貝殻の色付きの図と説明)
 以下、Sowerby のこのシリーズは論文の巻号の編集がややこしいので、カレンダーの解説を離れて「古い本」の中で記すことを考えている。
 記載年は1816となっているが、Parts. 21から26に分けて発行されたらしい。最後のPartが発行されたのが1818年なのだろう。Sowerby の図版を見てみよう。

3月−2 Sowerby 1816, Plate 131. Ammonites Conybeari Sowerby

 Wrightのものとは別の標本でやや小さいようだ。Sowerby の記載にはこの種類が最大18 inch (約 46cm)に達するとしているが、それが図の標本だとは書いてない。
 論文表題にあるように、この印刷物はカラーであるが、どういう方法で色付けをしているかわからない。印刷後に手作業で着色したのだろうか。上の図はディジタル化したものを、日焼けしたと思われる分黄色味を減らしてみた。ここの標本はこれよりはるかに「黒い」という印象があり、この色も信用できない。巻きの率がすこしSharpe の標本と違うようにも見える。
 Wrightは Arietites Conybeari (Sowerby) という、別の属名を用いている。
属 Arietites Waagen, 1869
○ Waagen, Wilhelm Heinrich 1869. Die Formenreiche des Ammonites subradius. Geognost. -Pal. Beitrage Bd. 2: no. 2, pp. 179–256. (アンモナイトの中心から腹縁までの距離の変異)
 この論文はインターネットで見つからなかった。ここに示した表題の日本語訳はかなりあやしい。Arietites属の模式種は Ammonites Bucklandi Sowerby, 1816 で、Arietites Conybeari の一つ前に記録されている。
 この属名は分類学的に問題があるらしいが、別案もないので文献のまま使っておく。

3月−3 Sowerby 1816, Plate 130. Ammonites Bucklandi Sowerby

 この2種の種小名はもちろんBuckland とConybear に献名したもの。この二人は1824年からの恐竜の命名の時にも協調して研究した。この二種類を並べているのにも意味がある。
 Arietites Conybeari (Sowerby) の現在の学名はMetophioceras conybeari (Sowerby, 1816) であるが、亜属Coroniceras Hyatt, 1867を設定した論文もある。これら二つの属名・亜属名は調べていない。手元にTreatise on Invertebrate Paleontology のジュラ紀と白亜紀アンモナイトの巻があれば難しくなさそうだが、専門外で所有していない。

登場人物(これまでに出てきた人物を省略)
Waagen, Wilhelm Heinrich (1841−1900) ドイツの地質学・古生物学者。
Buckland, William (1784−1856)イギリスの古生物学者 最初の恐竜の命名者。
Conybear, William Daniel (1787−1857)イギリスの古生物学者 最初の魚竜の研究者。
Sowerby, James (1757-1822) イギリスの博物学者。

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