OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

北九州マルシェ2023に行ってきました

2023年08月05日 | 化石

 今年も北九州マルシェに行ってきた。あまりにも暑いからやめようかとも思ったほどだったが、初日(4日)の開場すぐの11時に到着。

会場の西日本総合展示場 2023.8.4 以下も

場内の様子

 毎年化石の少なさを嘆いている。今年は化石を販売しているブースの数は少しだけ多くなったようだが、内容はどこにでもあるものばかり。

シベリア産マンモスの脛骨 Mummuthus primigenius 更新世

 シベリアのものの出品は北海産よりも少ない。ここには写真の脛骨が1つと、胸椎の神経棘2本(写真の上部に写り込んでいる)、それにどこかの関節の一部らしい骨の断片(台上にはなく、奥から出してくれた)があるだけ。

インドネシア産のサメ Charcarodon megalodon Agassiz 中新世

 この種類の標本は化石ショーでは常に出品されるが、この標本はインドネシア産というところが興味深い。ところが、標本はひどく磨かれていて、鋸歯は全く保存されていない。歯根も表面に何かの溝が作られているようだ。店の方とお話ししたが、「このほうがきれいだから」というご意見のようで、話が合うはずもないので早々においとました。このサメの学名はいくつかの説があるが、ここでは伝統的な属を用いた。

 結局おみやげに白亜紀のサメの歯を購入。安かったから。

モロッコ産のサメ Squalicorax pristodontus (Agassiz) 白亜紀後期

 産地はモロッコのKhouribgaで、1845年のAgassizの命名。当初の属はCoraxを使っていて、有名なArambourg, 1952 の文献でもCorax属で出てくる。Squalicorax 属はWhitley, 1939 でこの種類を模式種として提示された(”FishBase”による)。Arambourg, 1952の図版と、今回入手した歯の形態はよく一致する。しかし、その後多くの種がこの属のものとして記載されたから、確かではない。このあたりの文献は調べていない。ラベルにはSqualicorax としか書いてない。
 歯の頂部が急に尖っている(切縁が前後ともS字型になる)のが下顎の歯で、上の写真の上段右端や下段中央は下顎だろう。上段左から二番目や下段左端もそうかもしれない。ちょっと小さい上段右端の歯は、やや若い個体のサメだと思う。
文献 Arambourg, Camille. 1952. Les Vertébrés Fossiles des Gisements de Phosphates (Maroc - Algérie - Tunisie). Notes et Mémoires No. 92. 372 pp. Planche 1-44.(モロッコ・アルジェリア・チュニジアの燐灰石鉱山からの脊椎動物化石)

 毎年私の訪れる時刻を予想して、会場でお会いする(待ち伏せている?)Kさんとは、今年はお会いしなかった。会場にいたのは1時間ぐらい。はやばやとおいとました。次の化石ショーは池袋かな。