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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

戸畑渡船場付近を歩いてきました その3

2019年08月10日 | 鉄道
戸畑渡船場付近を歩いてきました その3

 今回から数回、カテゴリーを「鉄道」とする。以前の「北九州の鉄道遺産」の続きと思っていただけたら。
 7月24日訪れたニッスイパイオニア館の解説員Sさんが「鉄道の引き込み線もあった」と話された。しかも「海岸にぶつかったところで、線路が90度曲がるので、ターンテーブル(転車台)があった」と、面白そうなことをおっしゃる。展示されている昔の地図にもそれらしき線路が描かれている。しかし、通常は機関庫の前か、終点で機関車の向きを変える目的で作られるターンテーブルを、線路を直角に曲げる目的で作るものだろうか?多少急でもカーブにした方が断然能率が良いはずであるのに。

9 地図に描かれた引き込み線 ニッスイパイオニア館の展示物

 上の地図は展示されていた「戸畑工場建設略図」で、以下の記号を赤い字で記入した。左下から時計回りに、S:戸畑駅方面 T:ターンテーブル P:プラットホーム N:現在のニッスイパイオニア館のある所。駅から来た引き込み線は、Tの場所で天籟寺川の堤防に突き当たり、ターンテーブルで直角に向きを変えてプラットホームに至る。この図は、「略図」となっているが、実はかなり正確に描かれていることが後でわかってくる。
 この様子は、古い鳥瞰図(下)にも描かれている。この配線では、機関車と貨車の順序は、ほとんど変更できないので、非常に不便なはず。貨車の移動は人力でしたのだろうか。それなら機関車は戸畑駅に繋がる部分にいる方がいいのでは?ターンテーブルの構造は、少しだけ違っていることが後でわかってくる。

10 古い鳥瞰図(写真ではない)「戸畑の社屋」 ニッスイパイオニア館の展示物

 鳥瞰図の右端を拡大したのが、次の図。

11 上の図の一部を拡大 ニッスイパイオニア館の展示物

 確かにターンテーブルが描かれ、さらに蒸気機関車が貨物車両を牽いている….が、ターンテーブルを通過するのには苦労しそう。せめて画面左の方に、渡り線がいくつかあれば少し楽であろう。蒸気機関車は、炭水車が付いていて、9600型のように見えるが、確かではない。煙室上の蒸気溜めなどのふくらみが二つあることと、炭水車が付いていること、それに1930年頃に使用されていた機関車で、幹線・旅客向きではないものとなるとこれかな?9600型の機関車の全長は16.5メートルほどである。

12 9600型蒸気機関車 1972.9.7 北海道中湧別

 なお、鳥瞰図でも地図でも現在ニッスイパイオニア館の置かれている日本水産戸畑ビルは絵の範囲から外れる。
 現在、「P」の付近には、プラットホームの一部が残されている。

13 プラットホームの一部 2019.7.24

 上の写真で、左側が海に面する岸壁。見えている段差はプラットホームの陸側の面である。
 これで、引き込み線の存在場所はよく分かった。次回は、これらの施設がいつ頃作られ、いつまで使われていたのか調べた結果を記す。