ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

讃岐うどん

2007-07-23 17:34:31 | 第1紀 食べる・飲む
讃岐うどん「浅月」の二号店ができたと聴く。
本店は国道四号線沿い、花巻と北上の境目にある。
食通の友人が推薦の店であった。

場所は二枚橋から花巻温泉に行く道沿い、工業団地交差点の佐川急便向かいである。
そう、かつてあの「星耕茶寮」、「自然房」のあったところ。知る人ぞ知る、「馬賊」からの流れを組む店であった。

月曜日、「をかしら屋」の定休日である。
先週はさして忙しくなかった(嗚呼!!)のに体に溜まる疲れをいやしに、いつも通り「精華の湯」へ。朝寝後、一人で向かう。今日は娘は労働者と化している。

前の店をそのまま生かした外観。
別棟に業務用冷蔵庫も見える。製麺部屋か、自家製と聴く。

先ず、うどんを注文し、社員食堂のようにトレーを動かしながら天ぷらなどをセルフでとり、会計。
良く見かけるスタイルだ。
冷し(大)410円、ナス天、たまご天、各90円。〆て590円なり。
このセルフスタイルはあれもこれもと取り過ぎるからご注意。私もかなりセーブしたつもり。

店内は、一人客用の大きいテーブルが真ん中に、他にテーブルが四、座敷に大小さまざまなテーブルが十個ほど。
客は次々とくる。
座敷のテーブルは、中古屋からでも仕入れたのか、ほんとうにバラバラである。このスタイル、気に入った。次の店の参考に。

麺は「讃岐うどん」。
最初の会社の頃、年10回ほど訪れた高松支店へは空路と海路(当時は橋が架かっていない)があった。
空路では、そのころプロペラ機しか飛んでいなかった(良く欠航したなあ)高松便がふらふらと頼りなく着陸すると、小さな空港ターミナル内のうどん屋へ直行した。
海路では、連絡船のデッキ上にあるうどん屋へ他の乗客とともに先を争って駆けつけた。
そして、打ち合わせ後の会食。瀬戸内の魚は格別においしかった。そのあとに、また、うどん。そして、朝の移動の前に、またうどん。

東北出身でうどんには余り接する機会がなかった。うどんといえば、風邪を引いて寝ているときや食あたりのときの病人食。ぐちゃぐちゃの全く歯ごたえの無いうどんであった。正直、おいしいと思った事は無い。
これが、四国のうどんに接するや、強烈に取りつかれてしまった。
月に何度も通う本社のある大阪のうどんより、やはり讃岐うどんがいい。
こし、つゆ、そして肩の凝らなさ。

岩手にかえり、本場の讃岐うどんと接する機会もなくなったが、時々は乾めんを茹でて食す。しかし、あのつゆの味はでない。

この「浅月」の讃岐うどんは、思いのほか、うまかった。
少しだけ腰が弱かったのと、あの独特のつるっとした滑らかさがいま一つ不足してた事。つゆが本格的ではあったが、これもほんの少しこちらに合わせたように醤油がたっているのと、だしの香と構成が記憶の物ではなかったように思う。
しかし、何年もたっての事だし、記憶力も落ちているし、なんにせよこれはこれでしっかりとしていてたいへんおいしかった。
最近はやりの地元の製麺所が押しているうどん屋とは全く違って、「讃岐うどん」の、というより「うどん」本来のおししさや肩の凝らない楽しみ方を持っている。
たいへんおいしかったし、感激したし、感心した。
二号店という事で成功しているとは思うんだが、ぜひこの地に根ざしてほしい店と味でした。

朝6時から夕方までの営業との事です。
駐車場も広いし、店員さんも女性ばかりでまじめそうで優しい。
ぜひお試しあれ。推薦のお店でした。

PS:盛岡へ行く途中に寄れるよねって、一人でほくそ笑んでいます。
実は、このあと、もう一軒くらいと思い、近くにある例の製麺所指導のうどん屋の前までいったんですが、やはり車からおりる事はありませんでした。「うどん」に対する考え方が違うんじゃないかな、この店、と思いなおしたんです。いや、これはこれでいいんだと思いますし、製麺所の狙いもすぐれていいと思うんですが、本場の讃岐うどんに接すると、うどんの背景にある食生活や食文化というものを感じるんですね。根っこの付き具合ですか。土着のものと、方やはやりのものと。
奇をてらう物でなく、毎日生きる中で欲するもの。飾らず、気取らず、しかし毎日食して飽きないもの、楽しいもの。うどんは主食で、ファッションではないから。