ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

くつした

2007-05-12 10:24:42 | 第1紀 生きる
「あんりゃ、まだぐつしたさあなあいでら。」=日本語訳「あらまあ、また靴下に穴が開いているわ。」

「ごれぐれいいじゃ」=日本語訳「これぐらいは、いいですかね」

くつしたは消耗品である。
しかし。
「をかしら屋」は全席小上り席であるから、靴下に穴が開いていればお客様に見える。
「やっぱり、はやらない店の店主は靴下も買えないのね(代えないのね・・ではない)」と言われるのはシャクだから、毎朝履き替える時は注意する。
しかし、穴が開くことは多い。あまりに多い。
「これくらい、いいか。」とならざるをえない。

高い靴下は確かに強い。
しかし、高い靴下もやはり穴が開くから、「三枚いくら」の特売品に目が行く。
しかし、またこれもわかってはいるが、特売品の靴下はすぐ穴が開く。
コストバリューを考える。
一枚あたりの値段/穴が開く日数=一日当たりの靴下の値段
となるわけである。コホン。
私の経験からいえば、いいもの、いいブランドのものを特価で買うのが一番いい。
長持ちするし、見栄えはいいし、やはりいいブランドのものを身につけているのは気持ちいいし、気が張る。

もう一つ、材質があある。
やはり化繊は強い。圧倒的に強い。
しかし、私はアトピーであり、かなり良くなったけど水虫の気もある。
肌着はもちろん化繊は使えない。全て綿100%である。
化繊の肌着を着ると、肌触りがあわなかったり、静電気が起きたりして確実に肌にダメージを与える。肌が乾く感じであり、乾燥肌はアトピーの特徴でもあるが、避けたい情況なのだ。
靴下も同様で、踵が乾いたり、蒸れたりする。
そして、売り場にはほとんど無い、まして特売にはかからない、綿100%の靴下を苦労して買うのである。

女性がパンストの穴を気にするように、「をかしら屋」主人も毎日くつしたには気をつかうのである。

おばあちゃん

2007-05-12 09:56:42 | 第1紀 をかしら屋
「お~い、I嬢。山椒、どこいった。」
「あれっ、いつものとこに無いですか。あっ、こっちにあった。おばあちゃんが持ってきたのかな。」

「あれっ。賄いのスジ煮、もうないの。俺のすきっ腹、どうしてくれるの。」
「あら、おばあちゃんが食べたのかね~。」

「をかしら屋」厨房内には私も含めて三人が働いているが、こうして「おばあちゃん」がときどき出没する。
あるはずのものが所定の場所に置いていなかったり、賄いがいつのまにか無くなっていたり、欠品を補充していなくてあわてたりしていた時は、きっと「おばあちゃん」がいたずらしていたことになる。
だから、「おばあちゃん」は突然予告なしに現れるし、ささやかだったり、とてつもないいたずらをしたりするけど、厨房の緊張を和らげたり、爽やかな風を引き込んだり、いいことも少しはする。お茶目で、あわてんぼうで、少し優しい「おばあちゃん」なのだ。
目に見えない「おばあちゃん」がいることで、いらぬ仕事の緊張や失敗のなすりつけなどが柔らかく解決する。

I嬢の「おばあちゃん」や、私の「おじいちゃん」達はある日そっと忍び込んできた。
「あれっ。今、お客さんがきたよね。おばあちゃんが。」
というように、誰か一人にしか見えないお客様としてお店にきて、時々、特に忙しい時に見え隠れする店の住人となったのである。

多分、どの店にも住んでいるのかな。
「おばあちゃん」のいない店は、ちょっとぎすぎすしたり、きりきりしていたりするのかもしれない。

英国には民家にすみついてこっそり家事の世話をする「ブラウニー」がいたり、どの店にもフェアリー(妖精)が棲んでいたりするという。
日本にも座敷童子が・・・。

そして、「をかしら屋」には「おばあちゃん」がいる。