Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

人体5、脳のネットワークの喪失と認知症! 2018年2月17日

2018-02-17 16:23:47 | 日記・エッセイ・コラム

カンヌン・アイスアリーナは、否、日本中は、否、世界中は、昨日16日のSP(Short Program)から、今日のFS(Free Style)まで、フィギュアスケート男子シングルの晴れの舞台に戻って来た羽生結弦(23歳、東北高、早大、ANA)の絶対王者の舞に酔いしれた!昨年11月のNHK杯が始まる前の試技で、羽生は右足を強烈にねん挫し治療に専念し、復帰後の去就が案じられていた、しかし、その4か月後、陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明のごとく、神が羽生結弦の上に降臨し、あの強い羽生が蘇っていた!残念ながら小生は、加古川バプテスト教会のコイノニアJ・Aの集まりに出席していて、生放送は観られなかったが、羽生が5分間の演技を耐え抜いて、見事317.85ptで2大会連続となる日本待望の初金メダルを獲ったぞ~~~い!そして初“君が代”を聴き初”日の丸国旗”を仰いだぞ~~~!何と、宇野昌磨(20歳、中京大付属高、中京大、トヨタ自動車)が、306.90ptの圧巻の滑りを魅せて銀メダル獲ったぞ~~~え!・・・

さて、人体5へ進もう、小生の様な高齢者の脳細胞は、次第に物覚えが悪く成り、物忘れが進んで、衰えてゆき、やがて死が迫る、そして脳細胞の中にあった記憶の断片は消え失せていく!認知症とはタワシのような脳のネットワークが蝕(むしば)まれ記憶を失っていく病気である、認知症の中で最も大きな割合を占めるのがアルツハイマー病である、それは如何して起こるのか? 脳細胞の中に“アミロイドβ(ベーター)”と云うタンパク質が神経細胞を攻撃して壊すことで起きると考えられている!これまでアミロイドβを分解する薬は作られてきたが、何時もある難題が立ちはだかって来た、薬を投与しても神経細胞まで届けられない!その理由は脳の血管の特別な仕組みにあった、脳の血管の壁にはほとんど隙間がないため、薬を脳へと送り込むことが出来ないのだ!・・・

   

何故、脳の血管へは物質の侵入を簡単に許さない仕組みがあるのか!?それは、わたし達の脳の中で、様々なメッセージ物質がやり取りされていることと関係があった、もし血液の中を行きかう他のメッセージ物質が、際限なく流れ込めば脳は大混乱を起こしてしまう!そのためメッセージ物質の中で、脳の血管の壁を突破することが許されているのは、ごく一部に制限しているのだ!膵臓から出され記憶力アップに繋がるインスリンや、筋肉からでる記憶力アップを促すカテプシンBのように特別の役割を持つメッセージ物質に限られている!脳が自らの機能を守るために発達させてきた関門のような仕組みになっている!それが認知症の薬を送り込むうえで大きな壁となっていた!この様にして脳血管を通して薬を届けようとしても、この関門の仕組みと云う“諸刃の剣”が道をふさいてしまう難問だ、その難問をどのようにして打開していくのか?・・・

   

それを探るため、スタッフはロサンゼルスへ飛び、認知症の薬に生涯を捧げ、アルツハイマー病の薬を開発してきたカリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉教授のウィリアム・パ-ドリッジさんを訪ねた、この薬を開発するうえでパードリッジさんが注目したのが、脳の関門を通ることを許されていたあのメッセージ物質のインスリンであった、インスリンは脳の血管を如何やって通り抜ける抜けるのか?バードリッジさんはその決定的瞬間を捉えていた、その画像を観ると、黒い粒となってインスリンのメッセージ物質が、血管の壁の中を通過して脳へと向かう様子が撮影されていた!良く観ると、カプセルのような薄い膜に包まれて脳の中へと運ばれているのが分かった、その詳しい仕組みが最先端の脳科学によって明らかになった!・・・

   

脳の毛細血管の中を覗いてみると、様々な物質が流れていた、まず、インスリンが膵臓からやって来ても、血管の壁にはインスリンが通れるような隙間は見当たらない、あっ、ところが、インスリンのメッセージ物質が血管の表面の小さな白い突起にくっついた途端、まるで秘密の扉が開くように、血管の壁が陥没し始めた!そしてカプセル状の膜に包まれたインスリンが、血管の壁を突破して吸い込まれて行った!パードリッジさんはインスリンを運ぶこのカプセルを上手く利用して、認知症の薬も脳の中まで運べることに目を着け、それをシッカリ成功させてたのだ!・・・

   

パードリッジさんが認知症の薬を開発するための重要な第一歩と位置付ける臨床試験が、ブラジル南部に位置するリオグランデ・ド・スル州の州都ポルト・アレグレで行われていた、アルツハイマー病と多くの共通点が指摘される“ハーラー病(Hurler Syndrome, ムコ多糖症)”に悩む子供たちが臨床試験の対象となった!ハーラー病とは、GAG(GlycosAminoGlycan, グリコサミノグリカン、ムコ多糖の一種)と云う物質が子供の脳に溜まり、神経細胞のネットワークが蝕まれ、認知機能や運動機能に障害が出る難病である!GAGを分解する薬を脳へ送り込むため、パードリッジさんが用意したのが、インスリンが血管の壁を通り抜けるのに登場したあの白い突起である!その白い突起にGAGを分解する薬を合体させ、脳へと送り込もうとする作戦の臨床試験であった!・・・

    

まず点滴によって、その薬を血液の中へ注入する、脳の毛細血管に到達すると、薬が例の突起に合体していく、すると、突起はインスリンが来たと勘違いし、あの秘密の扉が開いた!こうして薬は脳へと送られて行くのだ、そして病気の原因となるGAGを分解して除去していった!この作戦は大きな成果を挙げ始めていた、中でも劇的に症状が改善していたのがルイス・オリベイラ(10歳)くんだった!以前は何事にも関心を示さなかったルイスくんだったが、次第に表情が豊かになり、母親とも気持ちを通わせるまでにもなっていた!子供達の認知テストの結果を、薬の投与を始める前と比べたグラフを観てみると一目瞭然である、8人の患者のうち、実に7人に改善が見られていた!・・・

    

今回のブラジルにおける臨床試験を通じて、脳を介したこの治療法を用いれば、アルツハイマー病も克服できると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉教授のウィリアム・パードリッジさんは確信した!「今、この戦略は多くの製薬会社からも注目されている故、間もなく沢山の資金が集まり臨床試験も世界各地で盛んに行われるようになるでしょう、この新しい方法によって、遂に私たちがアルツハイマー病の治療へと乗り出す時が来たのです!」とパードリッジ名誉教授は確信を深めた・・スタジオの山中伸弥先生も、脳は全身のネットワーク臓器からのメッセージ物質を取捨選択して受け入れると云う特異な臓器であることに驚いていた、正しく脳のネットワークは、ネットワークの王者であった・・・

   

1000億もの神経細胞が複雑に絡み合い、人生のあらゆる場面で我々人類の営みを支え続ける脳のネットワークに秘められた力を、解明しようとする挑戦が、世界中の各地で進められている、次回、人体5、脳の最終章では、その世界における脳ネットワークに秘められた力の解明に迫って診よう・・・ 

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