Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

新・花燃ゆ、第30話“お世継ぎ騒動!~前編” 2015年7月26日

2015-07-26 19:59:21 | 日記・エッセイ・コラム

幕府に徹底謝罪した椋梨藤太ら幕府恭順派による長州改革派の粛清が始まり、次々と野山獄へ投獄されていった、小田村伊之助の兄、松島剛蔵もその一人だった、だが椋梨が必死に追う高杉晋作と桂小五郎はまだ逃げ失せていた・・・萩城大奥では都美姫が、7年間待ち続けて居る銀姫のお世継ぎ誕生!子孫繁栄!を祈願する年中行事“御萩作り”が美和らに任されて行われていた、その中でも美和は、まるでスーパティシエ・希の様に、滅法手際が良く際立って居った!・・・

都美姫と顔を合わしたくない銀姫欠席の中、その内の4つが嫡男・元徳に差し出された、その一つを食して元徳が言った『これは姫の御萩ではない、これを作ったのは誰じゃ?』、誰じゃ!!と老女取締役・園山が吼(ほ)えた!、美和が名乗りを挙げた「申し訳御座いません!姫様の御気分が優れぬと云うことで、代わりにわたくしが!」、『美味い!』、はぁ?はぁ?はぁ?、『この様に美味い御萩を食べたのは初めてじゃ!これは姫には作れない、姫の腕なら、よう存じて居る!』・・・

「お待ちくださいませ!」、美和の取次を断って、 顔を観て見舞うためじゃと、愛する銀姫のもとへ元徳は急いだ、その途中、潮が元徳を出迎え言った『恐れ多き事成れど、姫様に置かれましては、おつむりが痛く、どうしても起き上がれぬと!』、そうか!、だが、元徳は銀姫が仮病使っていることに気づいていた、美和に『御萩、美味であったぞ!じゃが、私は不味(まず)い御萩も好きなんじゃ、労(いた)わってやってくれ!』元徳は諦めて引き返して行った・・・

伊之助が椋梨らに声を荒げた、「存じませぬ!何処まで幕府の機嫌を摂れば気が済むのか!?獄に投じられたものは皆、長州のために働いた者らに御座います!」立腹した伊之助が、椋梨ら実権派の前に呼ばれ問い詰められていた、椋梨「ならば、こちらも長州のため!幕府恭順を阻むものは、一人として許すわけにはゆかぬ!高杉の居所を知るんなら、速やかに申せ!」、存じませぬ!失礼いたす!伊之助は出て行った、椋梨「小田村から目を離すな!我等のまつりごとを転覆せんとの兆し有れば、遠慮なく召し捕れ!」・・・

彼等は、松陰の命日“10月27日 ”に高杉が墓参りすると睨(にら)んでいた!なるほど、師の前で討ち取るも、また一興なりか!・・・椋梨が高杉を探して斬り捨てたいと申し、園山のところ訪れていた!何故か、お次の鞠が、美和の兄・伊之助の取り調べをしている椋梨らの企みを美和に知らした、直ぐ美和は御蔵に引きこもり、高杉の妻・雅に手紙を書いて、高杉に迫る危険を知らそうとした、もし雅が居所を知っているなら、急ぎ知りたい思いが在った、そして、表使の日出に、急ぎの手紙故、何卒と!頼んで使いを出すよう願い出た、案の定、園山様から固く禁じられておると断られた!奥勤め間(ま)もない者には、里心がつくゆえのことじゃった!・・・

そこに椋梨の妻・美鶴がやってきて、そなたの役に立ちたいと、申し出てきた?椋梨が高杉の行方を見張って居る故、美和の行方も10月27日まで見張られていると教えた、これは本の罪滅ぼしの独り言ゆえ、お聞き流してくださいませと、嫌味たらしく美和に告げて去った・・・銀姫の部屋での駒回しの御席で、『次の相手は誰じゃ?勝ったら望みのものを取らすぞ!』と銀姫が誘ってきた、美和はすかさず、その誘いに乗った「恐れながら、わたくしに是非!」、控えよ!お次風情が図々しい!、是非!、銀姫『わきまえよ!雑巾がけでもしておれ!』・・・

仕方なく、美和は御蔵の拭き掃除に掛かった、そこへ、何と『何が望みじゃ?』銀姫が入って来た 、姫様!、『何か言いたいことがあるのであろう?』、美和「高杉様が椋梨様にお命を狙われて居ります!恐らくは10月27日、兄・松陰の命日までは!何としても危険をお伝えし、命を助けたいんです!お力をお貸しください!」、銀姫『わたしはお前が嫌いじゃ、懸命になれば、必ず思いが通じると信じて居る!』、わたくしは!、『奥とは、その様な場所ではない!ここはただ、お家のため、一人でも多くの子をもうけ、育てる、そう云う場所じゃ!諦めよ!』、姫様!、『子のない、わたしは、ここでは人ではない!この中に居る限り、我等には誰一人と救うことは出来ぬ!』銀姫の目には光るものが潤んでいた・・・

ある夜、攘夷派の品川弥二郎と野村靖等が高杉家を訪ね、父・小忠太に、高杉の行くへを訊ねた、彼等には列強との交和に臨んだ晋作に、裏切り者としての恨みがあった、「何べん言うたら分かるんじゃ、晋作ならここには居らん!」と門前払いされた、ここを一歩たりとも動かん!御城下で見かけた者が居ると、食い下がったが、晋作の妻・が出てきて、椋梨の配下が近くで様子を覗って居ることを知らせた、ここで騒ぎ立てれば、面倒はむしろ攘夷派らに降りかかると、教えた!確かに人影が動いて消えた!しっかりもの~~・・・

そんな頃、小田村様が城中で、謀反の疑いありと捕えられ、投獄されたと、鞠から美和に知らされた!美和「鞠様、何故?わたくしに、そのように親切にされる?」、な~~んでか?以前、美和と鞠が下関へ、大奥の使いに行った途中で、“例え離れていても、高杉様や志しを共にする皆様はお仲間なのだと”、美和が話したことを鞠は覚えていてくれた、その時、あるアイデアが美和に浮かんだ美和は銀姫の老女・潮に、いわば、“希活(まれかつ)”の提案をした、『なに、羊羹(ようかん)をじゃと?』、「先だって、御萩をこしらえた折、元徳様より大層、お褒めの言葉を頂きました!」、そうであったな、「ですが、元徳様は、銀姫様が御作りになったものを召し上がりたいのではないかと!」・・・

美和「ここは、姫様の手で新しき菓子などを作って差し上げれば如何でしょうか?」、潮『お前がそれを志願致すと申すか?』、「僭越(せんえつ)乍ら、お力になれればと!」、『確かに、船橋屋の羊羹は、江戸暮らしの頃より、元徳様の好物であった!』、「好物なれば直の事!お話も弾み、ご夫婦の仲も一層深まりましょう!遠からず、お世継ぎも!」、お世継ぎ!、潮は美和の手を取って乗った『良くぞ申した!うん!』・・・

早速、潮は、駒に興じている銀姫に向かって言った『姫!ここが勝負時で御座います!何としても姫の手で、極上の菓子を作られ、元徳様にお召し上がり頂くのです!姫様、ご生誕の時より、守役として勤めて参りましたこの潮の今生(こんじょう)の願い!どうぞ、お聞き届け願いますよう、何卒!何卒!』、銀姫は潮の後ろに控えし美和を観て言った『お前!潮を抱き込んだか?何故そこまで?』、美和「兄を失い、夫を失い、兄を従う大勢の人を亡くしてきました!これ以上、誰も死なせとうないんです!亡き夫と共に歩んで来たお命をお守りしたいのです!」、銀姫『気に食わぬ!気に食わぬ!気に食わぬぞ!』・・・

翌日から美和の指導のもと、銀姫の“希活”が始まった、小豆を炊きながら、しっかり力を入れて、アンが焦げぬようコテコテかき混ぜて、寒天は大きさを揃えて煮溶かせます、このように!船とはこの様なもので良いのか?、「其れで充分で御座います、この中にアンを流し込みます!」、羊羹らしきなったところで、銀姫が味見を致した、如何で御座いますか?『うん!うめいのなんのって!皆もなめてみよ!』、美味しい御座います!、『お前も誰かに食べさせたのか?』、「兄が好物でした!一度だけ夫となった者にも食べてもろうと、こしらえたのですが、喧嘩を致しまして!」、『食べさせそこねたか?あ~~は!何と間の悪い!』、「食べたら何と申したでしょうね?」・・・

自宅の屋敷で、浮かぬ顔して椋梨が将棋を指していた、「如何なされました?」美鶴が熱燗を運んできて訊ねた、「高杉を取り逃した!」、美鶴「案じなされますな、危うきを知れば、必ず、動き出す者が現れます、その先を探れば良いのです!例えば、松陰の妹とか?」・・・そして10月27日となった、銀姫が括(つく)りあげた羊羹の朱塗り箱を潮が携えて、銀姫のために御前様の味見の席が設けられた、銀姫『赤子が生まれたときの祝いの品にと思い立ちまして、御前様に是非、御味見をと!』、都美姫の前のお盆には、羊羹が三切れ用意されていた、都美姫が食して言った『美味じゃ!姫がこれほどのものを作るとは!?』・・・

銀姫は嬉しそうじゃった『心得のある女中に指南を受けまして!』、銀姫は美和に向かって言った『喜べ、御前様よりお褒めを賜ったぞ!』、美和「恐悦至極に存じ上げます!」、都美姫『又お前か!』、銀姫『この者に褒美など取らせとう御居ますが、如何で御座いましょう?』、都美姫『褒美?どの様な?』、申してみよ!、美和「恐れながら、今日は兄の命日で御座いますれば、同じものを兄の墓前に供(そな)えとう御座います!」、都美姫『吉田殿の命日か?』、園山『銀姫様、それは、いささか褒美が過ぎるのでは?』、美和「お願い致します!」、・・・都美姫『相分かった!許す!』、美和『有り難う存じます!』・・・

 

 

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