Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

龍馬伝、第18弾 “清風亭の対決” 2010年10月3日

2010-10-03 16:17:58 | 日記・エッセイ・コラム

龍馬の仲介で薩長が手を組み、薩摩が幕府軍からから身を引き長州に軍艦・武器を提供した!海軍のエキスパートなる土佐の“いごっそう(快男児)”龍馬と亀山社中が奇兵隊と連携して4000の長州軍の指揮を執った!そして第二次長州征伐で15万の幕府軍を敗北に追い込み、幕府権威の失墜が見えてきた!・・・

その潮流に乗ろうと“酔えば勤皇!覚めれば佐幕(反倒幕)!”と言われた土佐藩山内容堂公(1827~1872年)が動いた!土佐藩参政を司る後藤象二郎(1838~1897年)を長崎の龍馬のもとに送り、龍馬の脱藩を解き、龍馬を取り込み薩長に先んじて“大政奉還”の主導権を執ろうと目論んで居ったがじゃ!・・・

収二郎を殺し、武市を殺し、以蔵を殺し、多くの土佐勤皇党を無情に弾圧・抹殺し、“土佐郷士の敵!姦物(かんぶつ、悪にまみれた)役人”と汚名を付けられた後藤象二郎と会ったがは引田屋ではなく、佐賀茶の豪商、大浦慶が経営する“清風亭”じゃった、そこは日本4大花街(江戸の吉原、京の島原、大坂の新町)の一つ丸山の少し西側、中島川寄りに行った榎津(現在のよろずやまち)に在る12畳と8畳の二部屋しかない、こじんまりした料亭であったがじゃ・・・

どうやら、これは乙女姉やへの手紙にも書いて居ったことじゃが、必要であれば組織の力や武力を駆使すると言う“和戦両様(和することと闘うこと)”の考え方を兼ね備え、自由自在、臨機応変に使えこなす龍馬が土佐藩という大きな組織を活用して、亀山社中の組織も“海援隊”と名を変え、土佐藩傘下に置き、豊かな経済力を得ていったがじゃ!この様な予備知識を持って今日の龍馬伝“清風亭の対決”を観ていけば分かりやすいのではないろうか?・・・

では、“清風亭の対決”の始まり!始まり~~!・・・戦もせんでどうやって幕府を倒す積りじゃ!?、『“大政奉還論!”幕府に政権を返上させるがです!』、遂に龍馬は幕府を倒し新しい世の中の仕組みを変える道を見出したがぜよ!・・・

パン!パン!パン!・・・小曾根邸の庭で、お龍がピストルを連射しテーブルに並べられた瓜を次々と見事に射抜いていった!「たいしたもんたい!」乾堂を唸らせておった!「こげんにピストルの上手か女子は何処ば捜しても居らんでしょう!」、『うちを戦に連れておくれやしたら、龍馬さんのお役に立てたのに!』、「坂本さん達は見事!戦にお勝ちになったとですけん!ばってん!幕府がこのまま黙って居るか?坂本さん達は今までごと、大手ば振って明るか日の下ば歩けんごとくなるかも知れません!」、『龍馬さんをうちが!』、バン~!『守ります!』・・・

『お龍!何をしゆう!』そこへ突然、龍馬が戦から戻って来たぜよ!「龍馬さん!」お龍は大喜びじゃった!「お帰りなさいませ!坂本様!」と乾堂が迎えた、『無事に戻って参りました!』、お龍は龍馬に飛びつくようにして抱きついて喜びを露わにした!「会いたおしたえ!」、『お~~!お龍!危ないけ!ほれ!』・・・

「坂本さんは今頃、お龍さんとしっぽりやりゆうじゃろうのう!」、亀山社中の仲間たちも戦から勇んで懐かしい亀山の屋敷の門をくぐった、「ええのう!嫁もちは!」、「ひがんじょっとですか!太郎さんは!」、「何じゃ!ひがんじゃあせん!」、先頭の惣之丞が屋敷内に踏み入ろうとした時、そこには荒らされ放題になった!変わり果てた屋内の惨状が広がっておった!『誰がこんなひどい事を!』、「許せん!」・・・

「奉行所じゃ!長崎奉行所の仕業じゃ!」と陽之助が侵入者の目星を付けた!「わし等が長州に加勢したことがばれたか!」、「捕まえにこんと言うことは、まだ証拠は掴んどらんのやろ!今回の負け戦で幕府も相当焦っていると言うことやな!」、「いよいよ!ここも居ずらいようになって来たのう!?」と惣之丞が呟いたがじゃ・・・

長崎奉行所では朝比奈等が龍馬の行方を探っておった、「亀山社中には坂本は居らんやったです!」、岩堀が「捕まるのが怖くなって、戻ってこれんのでしょう!」と推測した、『馬関の戦に加わった噂がある!幕府が敗れた期に乗じて、不届きな商人どもが隠まって居るかも知れん!』、「引き続き捜せ!」、ははあ~!そこにはお元も呼ばれて居った、『お元!お前もじゃ!坂本の噂を耳にしたら!直ぐに知らせるんじゃ!あやつは、もはや幕府に逆らう重罪人じゃ!間違っても、二度とこの長崎の地を踏ませることは許さん!』・・・

「坂本さん!坂本さん!こっちへ!」小曾根邸の龍馬とお龍の部屋に英四郎が駆け込んできた!『落ち着きや!どういた?』、「社中が!社中が!何者かによって荒らされておりました!奉行所の調べが入ったのではないかと!坂本さんば捜して居りますけん!」、『落ち着きや!英四郎!けんど、そればあ奉行所に目を着けられちゅうとは、まっこと動きにくいのう!』・・・

「失礼します!」そこに乾堂が入って来て言った「亀山社中より、こん屋敷にお移りになられては如何でしょう!」、『ありがとう御座います!けんど!そこまで、してもろうては小曾根さんに迷惑がかかるけ!』、「坂本さん!我々商人は今回の戦で思い知ったとです!幕府にはもううんざり!私も覚悟を決めましたけん!ここの離ればお使い下さい!奉行所の目もここまで届きません!支度が出来次第、どうかこちらへ!」、『ありがとう御座います!』龍馬とお龍は深く乾堂に頭を下げたがじゃ・・・

この頃、まだ大坂城に居った慶喜公は第15代将軍に就いちょったがぜよ!「上様!ロッシュ殿がお見えになられました!」、「ボンジュール!?????」、外国奉行・小栗忠順(ただまさ)が通訳した「まさか幕府が長州に負けるとは!?」と申しております、『今こそフランスの力を借りる時が来た!幕府軍を西洋式のより強力な軍隊に変え!必ず!長州を討つ!この日本を治めるのは、この徳川家であることを朝廷に認めさせるまでじゃ!はははは~~!」と粋がったがぜよ!・・・

一方、長州の高杉晋作は療養を余儀なくされちょった!そこへ木戸が訪れてきた「晋作!土産じゃ!」、『ああ!木戸さん!立派なスッポンじゃ!』、「精がつくぞ!おうの!」と木戸は高杉の妾(めかけ)“おうの”にそのスッポンを渡した、高杉には奉行の娘、正妻・雅子が居たが、いつも身請けした芸子のおうのを傍においていた、「いつも、ありがとう御座います!」、「晋作、思うたより顔色がええじゃないか!萩の長州藩医、和田昌景先生から労咳(ろうがい)に効く薬をもろうて来た!」、『それはありがとう御座います!』・・・

「今回の戦は勝てたが、このまま幕府が黙っちょる訳はあるまい!再び相まみえる時が必ず来るはずじゃ!」、『木戸さんは江戸へ攻め込む積りですか?』、「それは最後の決戦じゃ!まずは京へ攻め上り!」、高杉はこの木戸の無謀で無益な争いを起こそうとする考えに反対じゃった!『坂本さんは!大政奉還を成し遂げると言いましたよ!木戸さん!』、「徳川が政権を返上するわけがなかろう!」、『じゃが!何か他の手立てを!』・・・

「坂本君はただ夢を語っとるんじゃ!薩長を結び付けたことで気が大きゅうなっちょるだげじゃ!」、『坂本さんは!そのようなお人では!ゴホ!ゴッホ!ゴッホ!セザンヌ!・・・』失礼!高杉が激しく咳き込んだ!「晋作!」、おうのも駆け寄り背をさすった、『木戸さん!もう戦(いくさ)は!いかん!』・・・

その頃、土佐にも幕府のあがきが届いておった、「徳川慶喜公は幕府の力を回復させるために着々と手を打っちょります!」、『どうかのう!慶喜公がどればあ頑張っても昔の幕府を取戻すことは出来んじゃが!そろそろ潮が満ちて来たようだ!』、山内容堂公がついに動き始めたがぜよ!ほんで容堂公の命を受けてあの男、後藤象二郎が長崎にやって来たがじゃ!土佐商会を任された弥太郎の前に現われたがじゃ!・・・

「金が工面出来んじゃとお!?」、『80万両の大金を作るがは、とても無理で御座います!』、「土佐は信用されちゃせん言うがか?おんし!それを大殿様に言えるかえ!」、『それは勘弁してつかわさい!』、「何とかしいや!何か手立てはないがか!岩崎!岩崎!」、弥太郎の頭の中には、長崎の豪商達が信頼し心許しちょった龍馬が居ることは分かっちょったが、on the tip of his tongue 喉まで出かかっていたが龍馬嫌いの弥太郎の口からそのことを言うことは出来んかった!・・・

『坂・・・坂・・・坂・・・!』、「どういた!?」、『坂・・・坂・・・坂・・・!』、「言ういてみい!」、・・・『3年掛けて何とか致しますけ!』、「3年も待てるかえ!」、『申し訳有りません!』、そこに象二郎宛に大殿様から手紙が届いた・・・「何?密かに薩長に近づけじゃと!?」・・・

長崎・土佐藩邸に弥太郎の臨席で、何故か乾堂とお慶が呼ばれておった、「面(おもて)を挙げや!おんし等に頼みがあるがじゃ!薩長の御重役に、このわしを引き合わせてくれんかえ!?」、「勝ち馬に乗ろうとですか?」とお慶がかました、『返事じゃけせんかい!』と弥太郎が横槍を入れる、「それはご勘弁下さいませ!」、「申し訳御座いません!」二人とも象二郎の頼みをはねた!『土佐藩の御参政がじきじきに頼みゆうじゃぞ!』・・・

「断る訳を言いや!」象二郎が押した、「わたっちは薩長ではなく、徳川の御領地である長崎で商いをばさせて頂いて居ります!」とお慶は答えた、「薩長の橋渡しなど!どなんして出来ましょう!」と乾堂が答える、そこでお慶が勧めた「坂本様が居んなっちゃありませんか!?」、「薩摩にも長州にもお顔の効くとは坂本龍馬様でしょう!」、「どなんして!あげん重宝なお方ば土佐藩が!」、すると弥太郎が割って入って来た『止めや!その名を口にすな!』・・・

「長崎に居るがか?あいつは!」、『え~~~・・・』、「弥太郎!おんしも知っちょったがか?」、『何処に居るがは知らんがです!』と弥太郎は逃げようとした、「そうかえ!?」、『ほんまですき!ほんまですき!』・・・「龍馬~~!」象二郎にとってあの憎っくき龍馬じゃった!以前、弥太郎に「龍馬を殺せ!」と命じた憎い龍馬じゃった!土佐の辻で屈辱を受けたあの龍馬じゃった!「坂本!坂本!」と象二郎は叫び龍馬に対する憎しみを露わにした・・・

お慶と乾堂が帰った後、まだ後藤の龍馬への執着は尾を引いていた!「まさか坂本の名が出てくるとはのう!土佐を脱藩した下士が薩長を結び付けたじゃの!幕府の役人を殺したやの!今度は薩摩・長州・土佐との橋渡し役かえ!武市よりたちが悪い!」、「岩崎!坂本を捜せ!も~~う!野放しには出来んじゃろう!」、『殺すがですろうか!?』、「わしは大殿様から藩の政(まつりごと)を任されちゅ!やつが使える男なんがか?ただ目障りな奴ながか?ただ確かめるだけぜよ!おんしは坂本を捜せ!ええのう!」・・・

それから弥太郎は真剣に長崎中を駆け巡って、長崎の豪商達に龍馬の居場所を聞き回ったがじゃ!『どういても龍馬に会いたいがや!グラバーさん!わしは龍馬の親友じゃけん!頼む!教えてつかわさい!』、「I   do   not   know  !(知らん!)」、「Get him out!(摘み出せ!)」、『日本語で喋りや!お前等!』・・・

『大浦屋!もういっぺん訊くぜよ!龍馬が何処に居るか?教えてくれ!頼む!』、「後藤様の前で言うたろでしょう!」、『分かった!お前にはもう頼まん!』お慶とメンバーが興じるマージャン台のパイを弥太郎の馬鹿がわやにしょったがや!そのあと弥太郎は小曾根邸にも押し込んだ『坂本龍馬は何処に居るがじゃ?頼む!教えてくれ!』、「坂本様はお尋ね者たい!知っておれば遠うにお奉行様にお知らせしとります!」・・・

『どいつも!こいつも!もう~~!』、弥太郎はお手上げじゃった!龍馬に対する商人達の信頼は実に厚かったがじゃ!・・・弥太郎が探し回っていた頃、龍馬は小曾根邸の離れの庭で一人浴衣姿でくつろぎ考え事をしとった!・・・

『わしやち!いやいや訊いているがじゃぞ!』、今度は弥太郎は引田屋に一癖も二癖も在る隠密とは知らず、お元を呼んで飲ませて、何か龍馬の情報を嗅ごうとしておったがじゃ!『龍馬は大嫌いじゃけんど!あいつが目の前で殺されるがは観とうないけ!』、「後藤様に見付からんと言うたらよかでしょう!誰も知らんとやけん!」、『後藤さんがそれで納得するがかえ!なあ!お元!』・・・

「そげん顔せんねえ!今夜はとことん飲みましょう!岩崎様!」、『なんやあ浮かれちゅ!いつものお元ではないのう!』、「ばってん、徳川様が戦で負けたとですよ!世の中がひっくり返るかも!」、『何ちゅうことを!おまん!』、「こん国がどうなろうが、今よりまし!」、『おまん!辛いことがあるがか?』、「うちは漁師の娘なんです!だって、父ちゃんは博打(ばくち)ばっかり!母ちゃんはうちが九つの時に海で死んで!うちは置き屋に売られたと!」・・・

お金を貰うた父ちゃんは!じゃあなあ!元気にやれよって!それっ切り!うちはこの世の中が大嫌い!本当に何にもかも!ひっくり返ってしまえば良かとに!」、『ほんなら何かえ!おまんは薩長に天下を取って欲しいがか?』、「分かりません!そげんこと!ばってん!坂本さんは決して悪か国にはせんけん!」、『龍馬に何が出来るがじゃ!皆はのう!あいつを買いかぶっちゅうだけじゃ!龍馬っち言うなや!もう!』、その時、誰かが障子を開けて入って来たがや!・・・

『弥太郎!』それは、ななな~~~んと!龍馬じゃった!「あっ!!」弥太郎もお元もビックリ仰天したばい!『女子と二人っきりとは、羨ましい奴じゃのう!おまんは!弥太郎!』、「龍馬!!」、『おまんがわしを捜しゆうと小曾根さんから聞いてのう!もしかしたら、おまんが、ここに居るかも知れんと思うて来たがや!』、お元は龍馬に言った「外ば出歩いてたら奉行所が!」、『ああ~~!大丈夫じゃけん!お元!ここに入るがは誰っちゃに観られちゃせんけん!』・・・

「龍馬!自分から来るとはのう!?」、『弥太郎!おまん!誠っこと!大出世したそうじゃのう!良かったねあ!ほれ!乾杯!』龍馬はグイッと盃を飲み干した!「龍馬!おまんは、わしが、おまんを捜しよった訳を知っちゅうがかえ?」、『弥太郎!後藤様に会うてもええぞお!わしは!』、「何!?」、『土佐の脱藩浪士に土佐の御参政が会いたい言うがは、まっこと!光栄なことじゃけんのう!』、「ばってん!坂本さん!」・・・

龍馬には全てが筒抜けじゃった『後藤様はのう!土佐と薩長の繋がりを持ちたいと思われちゅうそうじゃ!』、『弥太郎!わしはのう!後藤象二郎と言う男と顔と顔をつき合わせて話しをして見たいじゃけん!のう!おまん!』、「おまん!あほなこと言いなや!おまんはのう!薩長に話を付けてくれたら、それでええがやき!」、『弥太郎!日にちと場所を決めや!』、弥太郎は龍馬に命じられるままに日にちと場所を決めたがや・・・

全て舞台を整えたあと、龍馬は今や社中の住処になった小曾根邸の離れに戻って来た、「おっ!坂本さん!」、「龍馬!何処へ行っちょった?」、「黙って出て行くさかえ、皆んな心配しとったんじゃ!」、『後藤象二郎がわしに会いたいそうじゃ!』、何じゃと!後藤象二郎じゃと!?『声を抑えや!わしゃのう!後藤と会うことにしたき!』、えっ!どういて!?坂本さん!あいつは!武市さんや以蔵さん等を殺した仇やき!・・・

『後藤はのう!薩長と近づきたがっちゅう!これは、わしが望んじょったことながじゃ!』、望んだこと!?『わしゃのう!土佐を使こうて!大政奉還を成功させるがじゃ!』、何!?土佐を使こうて!?『これはのう!絶好の機会じゃき!』、待ってつかわさい!「龍馬!後藤はおまんを捕まえる気じゃろう!」、「そうじゃ!その場で斬られるかも知れん!」、惣之丞と陽之助が心配したがや・・・

龍馬は立ち上がって言った『後藤象二郎は昔のことを根に持つ男か?それとも、日本の将来を考えることが出来る男か?わしが、この目で見定めてやる!』龍馬には強い覚悟が出きちょったがじゃ・・・

慶応三年(1867年)一月十二日、料亭“清風亭”に於いて、遂にその日がやって来たがや!世に言う“清風亭会談”ぜよ!まず龍馬が女中に案内され渡り廊下を進む、「この部屋じゃ!」見張り役の上士が待ち受ける、襖を開けると、そこにお元が頭を下げておった!『お・お元!どいて、ここに居るがじゃ!』、「岩崎さんに呼ばれました!」、『弥太郎に?』、「坂本さんと後藤様を和(なご)ませてくれと!」、『はははは~~!気が利くのう!弥太郎は!』・・・

その時、「あの襖の向こうに!」お元が龍馬に小声で耳打ちした、『分かっちゅう!』、隣の部屋には弥太郎と土佐藩上士等が待機しちょった!少し遅れて後藤象二郎が部屋に通された、『お久しぶりに御座います!』と龍馬が頭を下げ丁重に後藤を迎えた、「おんしが、こっそり土佐にもって来た以来じゃのう!」、『あの折は大変ご無礼を致しました!』、「ふん!己のやったことを覚えちゅうがか!面を挙げや!」・・・

「お元!酌をよこせ!」・・・「あいつにも、注(つ)いじゃりや!わしと酒を飲めるがは、もう二度とないろう!よう味わって呑みや!」、後藤が先に口をつけ、龍馬が一気に飲み干した、「ええ呑みっぷりじゃ!」、「坂本!おぬしは、ここで捕えられて打ち首にされても文句は言えん!そうじゃろう!えっ!」、隣部屋のやからどもが殺気だった!「けんど、それは後回しにしてもええ!おんしが土佐藩のために働いてくれたらのう!坂本!土佐と薩摩・長州の橋渡しをせえ!」・・・

『お断りしますけ!土佐藩のため!大殿様のため!あればあ働いた勤皇党を弾圧し!武市半平太も岡田以蔵も殺してしもうた!今さら土佐藩のために働け言われっち!そんな気になれませんのう!』、「はははは~~!おんしには選ぶ道がないがじゃ!わしの言うことを聞かんと!この場で死ぬだけじゃ!」、『道がないがは!後藤様やち同じじゃ!御上士等が斬りかかって来るその前に!わしの仲間が雪崩れ込んで来ますきのう!』・・・

すでに邸敷地内には社中が見張り番を胸急所を打って倒し、縁側に張り付いておった!『話はこれからじゃ!わしゃ!馬関での海戦に加わって来ましてのう!長州と共に!幕府軍と戦こうて来たがや!夜明け前に下関を出て!門司の港に居った幕府軍の軍艦を砲撃しましてのう!長州の奇兵隊は悠々と敵陣を抑えてしもうたあ!わし等の大勝利じゃった!あればあの攻めで逃げ出すとは幕府の時代も、もう終わりじゃけ!今こそ!今こそ!大政奉還を迫る絶好の機会ながじゃ!』・・・

「ちょっと待ちや!大政奉還じゃと!?」後藤には納得できなかった、『幕府が政権を御門にお返ししたら!この日本は戦をせんと!新しい仕組みに変わるがじゃ!』と龍馬が答えた、「寝言も大概(たいがい)にしいや!徳川が政権を手離す訳がないろうが!」、『ほんじゃき!土佐の出番ながじゃ!』、「何!?」後藤は土佐藩上士等が待機しておった部屋の襖を開け放った!龍馬が背にする部屋も開け放ったがじゃ!そこには殺気だった上士どもが身構えておった!・・・

『お元!その盆を取ってくれや!』、お元がその盆を渡すと龍馬は膳を横にずらして、その盆を置いた!『これが幕府!』、二つ小皿を手に取りその盆の手前に並べた『ほんで、これが薩摩と長州じゃ!』、縁の外で社中が龍馬の話に耳を傾けておった!『薩長は今!勢い付いちゅう!けんど!幕府がちっくと食い下がって重いぜよ!政権を御門にお返しせよと!薩長が迫っても!簡単にはひるがんろう!』、龍馬は土佐に見立てた盃を薩長二つの小皿の前に置いたがじゃ!・・・

『ここに土佐24万石が加われば!幕府軍にとっては!一気に脅威になるがじゃ!』と龍馬はその盃に並々と酒を注いだ!「はははは~~~!馬鹿言いなや!どういて?そこに土佐が加わるがぜよ!?」後藤がなかなか乗ってこない!『薩長に近づきたいですろう!土佐は!近づくがやったら!ガッチリと手を組む覚悟が必要ですのう!』、「おんしは大殿様と徳川慶喜公が仲がええが言うを知らんがか!?」・・・

『ははあ!そうじゃ!それこそが!それこそが!都合のええところぜよ!』龍馬は立ち上がり社中が群がる縁側の障子を開け放った!『もし!もし!土佐が幕府に寝返ったとなったら!大政奉還を幕府に迫るこの上ない機会ながじゃ!』龍馬は土佐に見立てた盃の酒を畳みに垂れ流したがや!「お~い!」後藤が怒(いか)って盃を叩き付けて声を荒げた!「土佐が幕府に戦を仕掛けるが!天地がひっくり返ってもないわ!」・・・

『それでのうてはイカンががじゃ!土佐は徳川には刃を向けん!そがあ目こそが薩長を抑える力になるがじゃ!』、『よお考えてつかわさい!今、言うたわしの考えは土佐が新しい日本を創る要(かなめ)になると言うことぜよ!』、『それこそが!正にそれこそが!大殿様がお望みになっておられることではないですろうか!?』、『これほど言うたち!気に入らん!と言われるなら!土佐藩も!後藤様も!とんでもない大馬鹿者じゃ!』、なんじと!上士どもが刀を抜いて龍馬の回りに迫って来た!社中も刀を構え臨戦態勢に入る!お元がうろたえて居ったがじゃ!・・・

龍馬はただ冷静に後藤の目を覗いて居った!「止めんかあ~~!」後藤が動いた!「止めんかあ!刀を下げや!刀を納めや!納めえ~~!」、両方とも一斉に刀が納まって行った!後藤が立ち上がり!突然刀を抜いた!納まったばかりの刀がまた一斉に抜かれた!「納め!納め!」後藤が上士等を制した!『皆んなも納めや!』龍馬が社中に命じた!だが後藤は抜いた刃をそのまま龍馬に突きつけたままじゃった!「まっこと!恐れを知らん男じゃのう!おんしは!」・・・

『誰かに恐れ入っちゅう暇はないですき!』と龍馬が答えた!・・・そのまま二人のにらみ合いが続いた!・・・やがて後藤は刀と鞘を畳みに放り投げて言った!「分かった!おんしの話に乗ろう!」、後藤様それは!後藤様!後藤様!回りがざわめいた!「けんど!条件がある!亀山社中は土佐藩のもとに入りや!」、龍馬はすかさず言った『土佐藩と対等の立場でええと言われるなら!』、また廻りがざわめいた!『手を結ぶがじゃ!』、後藤が折れた!「ふふ!ええろう!土佐は薩長を利用する!坂本!必ず土佐が日本の要(かなめ)になると約束しいや!」、惣之丞役のが安堵して後藤をにらんだがじゃ!・・・

龍馬が立ち上がり後藤に手を差し伸べた!『約束のシェイク・ハンドじゃ!』、後藤も手を差し出した!龍馬は後藤に微笑みかけかけたがじゃ!そして二人は見詰めあいながら固く手を握り合っていた!『あっはははは~~~!』、龍馬は笑って嬉しさを表わした!『ありがとう御座います!後藤様!皆んな~も!御上士様等とシェイク・ハンドじゃ!』、はい!皆んな~が互いに手を差し伸べていった、よろしゅうお願いします!よろしゅうお願いします!土佐の上士と下士が初めて手を結んだ瞬間じゃった!弥太郎だけが妬(ねた)みの眼差しで龍馬を眺めて居ったがじゃ!・・・

小曾根邸の庭園を眺めながら龍馬とお龍は縁に座りくつろいでおった、『お龍!ちくと、こっちへ来いや!』、龍馬はお龍の膝枕に身を預けて二人はラブラブじゃった!『はっはははは~~!心地がええのう!』、『お龍!わしは名前を変えようと思おうちゅ!』、「えっ!?」、『才谷梅太郎!』、坂本家に養子に来た父方の姓じゃった!「才谷梅太郎!?変な名前や!名前を変えんならんほど危ないと言うことですやろか?」・・・

龍馬はお龍の手をとって言った『心配すな!名前を変えたち!わしはわしじゃ!今までと何ちゃあ変わらん!わしゃ、大丈夫じゃ!』、「龍馬さんは、やっぱり龍馬さんや!才谷梅太郎や言う人!うちは嫌いや!」、『あっはははは~~~!そうかえ!はははは~~~!』、龍馬暗殺まであと10ヶ月やったがぜよ!・・・

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