あれは,あれで良いのかなPART2

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自民と民主のマニフェスト,夢物語vs未来予想図だなあ

2009年08月01日 14時25分05秒 | 政治・選挙
民主党と自民党が,報道向けマニフェストを発表しました。いよいよ選挙モードに突入です。
また,自民党の前回選挙のマニフェストについての検証結果を発表し,自民党は「すべて実現または実現に向けて着手した」というのに対し,民主党は「ほとんど公約違反,20点程度」など批判しおります。

【’09政権選択】自民・民主マニフェスト あなたなら星いくつ?(産経新聞) - goo ニュース

ぼんやりとした不安を抱くマニフェスト

まだ両党のマニフェストをしっかり読んでおらず,かつすべての政党から発表されておりませんので,個別具体的な内容については,すべて読んだ上で吟味し,判断しようと思います。とりあえず,報道内容ベースにコメントしたいと思います。

まず,民主党のマニフェスト
これは,まさにバラ色の未来を描いています。しかも,そのほとんどを3年以内の「即時実現」を目指しております。したがって,「3年後には日本は大きく変化しており,今以上に生活しやすい環境になる」というイメージになります。
特徴としては,「脱公共事業」に対し,「子どもと高齢者に対して手厚い保護」という感じになるでしょうか。
政策それ自体を見ると,まさに「夢物語」です。仮にすべて実現すれば本当に住みやすい日本になると思います。

ただ,このマニフェストの心配な点は,「実現可能性」と「財源的裏付け」,そして「国民のリスク」です。
実現可能性については,基本的には単独過半数を衆議院で取れなければ無理です。野党共闘が成立しても,個別部分で社民党や共産党は大反対しますし,国民新党はいつ自民党側に鞍替えするか分かりませんから,そもそも法案や予算案でうまくいけるか分かりません。また,官僚の根強い反発もあるほか,経済界がどの程度協力するか未知数な部分もあります。はたして3年で実現可能なのか,抵抗勢力対策なども説明してもらえると説得力が出てくると思います。
財源的裏付けについては,まさに「ある種のばらまき政策」に過ぎない,ということです。一応の説明はしているものの,今抱いているイメージは,「道路のお金が福祉に回っただけ」ということで,収支トータルはプラマイゼロ,むしろマーイっていう「こりゃめでてーな」状態にあるような感じすらします。福祉にお金をかけること自体には決して反対ではないのですが,「結果,財政再建は無理」っていわれると,お金の使い方が違うのではといわざるを得ません。ここは,もっと具体的に説明してほしいものです。
そして,財源的裏付けに関連しますが,民主党マニフェストには,国民負担についてほとんど触れていません。はたして,「ノーリスク,ハイリターン」な生活実現が可能なのでしょうか。可能であれば,なぜノーリスクで済むのか,つまり「今までどおり生活していて問題ない」ってことを,根拠立てて説明してほしいものです。

一方,自民党のマニフェストですが,これは「実現可能な内容」をベースにしておりますが,やはり「バラ色の生活」を示しています。しかし,民主党との大きな違い,それは長期プラン」と「消費税増税を明示」したという点です。
つまり,単に数年後の日本を考えているのではなく,10年後,50年後,100年後といったスパンで物事を見据えているという姿勢の下,いかに財政を健全化するべきかという現実的路線で政策を考えています。いわば「未来予想図」を描いたと言えます。
その結果,増税という国民に対するリスクもきちんと表示しています。一方で,民主党同様,「子どもと高齢者」に対する手厚い保護を盛り込んでいるものの,単純ばらまきではなく,幼保費用の無償化や奨学金給付など,「あげる,あげない」のメリハリを付けて対応しようというものになっています。
もし,このマニフェストがすべて実現できれば,これまた「経済力のある,国際的にも強い日本」になるような気がします。

しかし,このマニフェストの心配点としては,「実現可能性」,「この3,4年間はどうするのかわからない」,「過去の反省はどうするのか」という点です。
まず実現可能性ですが,自民党は長年政権与党だったわけで,基本的には官僚とのタイアップの下,政策実現能力はあると思います。しかし,これは「レールに乗った政策」の話であり,改革という「新たなレール敷設」については,経済界というスポンサーも含めた抵抗にあいやすいです。特に「公共事業抑制」と「労働者対策」という点は,スポンサーから相当な反発も予想されます。それでも,「大企業の利益より国民の利益」という名目の下,変な抜け道などを造ることなく実現可能なのか,これまでの成果を見る限り,大きな疑問を感じざるを得ません。
次に,この3,4年間どうするのかという点です。今回のマニフェストは,概ね「3年後からスタート」や「次の次の選挙から」っていう表現が目立っています。もちろん,長期的視点は必須であり,それ自体を示していることは高く評価できるのですが,逆にそればかりになってしまうと,「じゃあ,次はとりあえず何をするの」「いま,国民生活をどうしたいの」っていう点が見えてきません。マニフェストの場合,本来は玉虫色的記載は御法度ですが,これでは,今回は「まあ,とりあえず増税してから考えましょうね」っていう玉虫厨子もびっくりの抽象的政策といわざるを得ません。やはり,短期プランについても,具体的に国民に対して提示するべきです。
そして,過去の反省についてです。日本の場合,自民党長期政権だった訳ですから,基本的に今発生している問題点の原因を作ったのも,そのほとんどは「自民党の過去の政策」にあるといえます。もちろん,その時代時代に必要な政策であるため,すべて自民党が悪いと評価するのはあまりに乱暴な議論ではありますが,しかし,「しかたない」の一言ですべて片づけることもできません。「反省のない企業は成長しない」という格言があるように,過去の政策についてどうだったのかという点をはっきりと説明する必要があります。それにより,初めて,今度のマニフェストに対する信憑性が出てくるのです。
仮に,「すべて100点」っていうのであれば,「じゃあ,なんで今,財政ががたがたになり,景気は冷え込み,人々の生活は疲弊しているのか」などなどを,きっちり説明するべきです。そのすべての原因を人のせいにしたら,確実に「ゃあ,次の政策もこけたら人のせいにするだろうなあ」って評価されてしまい,それこそ,自民党離れは加速します。なにより,自民党のアキレス腱はここにあるわけですから,「本当の反省と改善」をきちんと説明するべきなのです。反省だけなら猿でもできます。

それに関連して,マニフェストの検証結果ですが,前提として,「手前ミソ」と「くそみそ」の評価ですから,当然大きな齟齬が出てきます。もっというと,民党は「アリバイ作り的着手」も含めて「実現」と評価するのに対し,民主党は「とにかく結果ありき」という観点で評価するので,ずれが出て当然なのかもしれません。
しかし,本来,マニフェストは「客観的に明確にする」目的があるわけですから,当然,評価も客観的にできます。単に結果の評価だけではなく,実現途中であれば,その進捗率も評価の対象となります。そして,マニフェストどおりの進捗率に至っていない公約について,その原因などを追求する,っていうことになります。
したがって,この点は,マスコミのお仕事です。客観的に数値で評価しましょう。もし,これが各マスコミで大きな齟齬が生じたとしたら,「マスコミの能力不足」か「前回のマニフェストがあまりに玉虫色すぎた」のいずれかです。

いずれにしても,「政権選択選挙」といわれていますが,今提示されている情報のみでは,「どっちもなあ」っていうぼんやりとした不安しかありません。どの候補者が,どの政党が,このぼんやりとした不安を少しでも解消できるのか,これから具体的に示されるマニフェストを読み比べながら,慎重に吟味したいと思います。

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