あれは,あれで良いのかなPART2

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ファスト風土な町並み

2007年08月07日 00時52分27秒 | 経済全般
うちの近所の話がネットニュースに載っていましたので,食いついてしまいました。
簡単に言えば,東久留米市内の大手銀行のグラウンド跡地に大手スーパーの「イオン」が出店する計画がでており,市長は積極誘致をしているところ,反対運動もかなり起こっており,現在計画が暗礁に乗り上げているとのことです。

東久留米、イオン出店暗礁 街の将来像含め再検討を(産経新聞) - goo ニュース

ファスト風土って鋭い指摘かも

三浦展さんが,最近の画一的な郊外型ショップ開発を「ファスト風土」と命名し,いわゆる金太郎アメ的なまちづくりに対し警鐘を鳴らしています。
確かに,店を利用する私たち消費者の立場からすれば,金太郎アメ的なショップは,利用しやすいメリットはあります。しかし,個性がないショップともいえるため,飽きられるのも早いです。三浦氏が指摘するように,「その土地にあった商業施設開発」が重要であろうと思います。
ただし,改正まちづくり三法や大店法などの足かせにより,その地域にあった商業施設が作れないと言う実情もあります。この辺りは,需要と供給バランスを踏まえつつ,どのような施設が町にマッチングするのか,首長ら腕の見せ所だといえるでしょう。

さて,話を戻して,東久留米市の件ですが,これは若干ファスト風土とは事案が違いますが,ようは「大きな空き地を何に使うか」という議論なのです。
この場合,考えられたのが,「公園」,「マンション」,「ショップ」というものでした。そして,現市長は「ショップ」を選択しましたが。これがイオンだったわけです。
ところが,周辺住民を中心に反対運動が起こってきました。そして,この賛否が議会でも大きく二分する自体にまで発展したのです。
議会では,自民,公明は「イオン誘致賛成」に,民主,共産は「イオン誘致反対」に回りました。もちろん,その他の会派も賛成,反対に分かれました。結果,議会では,僅差で「誘致賛成」となりました。

今回なぜこんなにもめたのでしょうか。簡単にまとめると次のとおりです。
第1 賛成派の主張
1 商業施設を作れば税収が一気に増える(推計3億円)
2 大規模商業施設なので,雇用促進が図られる。
3 マンションなどの住宅にすると,学校や福祉施設を建設するなど更なる公共投資が必要となり,結果的に財政難になりうる。
4 周辺道路の整備など,周辺住民の住環境も改善される。
5 市外から買い物客を集められるため,商店街にも買い物客が集まってくることが期待できる。

第2 反対派の主張
1 マンションを造って住民を増やす方が,結果的に長期的増収が期待できる(ショップは最近の傾向として,数年後に撤退するリスクがある。)。
2 商業施設に人が集まることで,逆に周辺住民の住環境を害する(渋滞問題,排ガス問題や治安問題など)。
3 周辺道路の整備は,都が計画的にやるため,市が自腹を切る必要はない(今回,都道整備についても,市がお金を出して整備する方針を固めている。)。
4 まず「地域コミュニティ」が大事
5 商業施設ができると,商店街が閑散化してしまう。

概ねこんな議論です。
個人的には,大きなショップができること自体はうれしいです。ただ,この場所は,事情が分からない方にはなんのことやらという話になりますが,「道路が狭い」のです。おそらく,整備をしたとしても,ほぼ確実に「大渋滞」になります。そうなると,行くのは面倒になります。そして,客足が途絶えてしまうと,他の町同様「撤退」となり,残るは廃墟だけ,ということになりうるのではないでしょうか。

ただ,一方で,「商店街に客が来ないから反対」というのは,実は単なるエゴです。確かに,まともに勝負をしたら,大手には勝てません。しかし,不思議なことに,大手ショップが近くにできると,周辺商店街の売り上げは「上がる」場合があるのです。もちろん,商店会の自助努力が必要という大前提があります。
逆に,大手ショップが撤退した瞬間に,商店街もシャッター通りになってしまったという事例がかなりあります。
すなわち,商店街は「これをチャンス」ととらえなければ,客はやってこないのです。仮に出店を断念させたとしても,それだけで商店街への客が増えるわけではありません。

いずれにしても,この問題,まだ時間がかかりそうです。ただ,いずれは何らかの形で解決する必要があります。これは,双方どこまで歩み寄れるかという要素が強いですが,一方で,「ショップかマンションか」,「どっちが税収が増えるか」などという安易な二択ではなく,「他の町とは違う魅力ある再開発」などといった,「脱ファスト風土」も視野において検討をするべきではないでしょうか。
例えば,芝生の公園にして,週末だけの「青空マーケット」などにするなども,選択肢としてありなのかなあ,って思います(ただし,これは思いつきなので,東久留米の個性に合致するかどうかは分かりませんが)。
とにかく,「妥協の産物」を作ることだけは避けてほしいものです。

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