あれは,あれで良いのかなPART2

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なぜ自民党は大勝したかをもっと検証する

2005年09月13日 23時53分35秒 | 選挙全般
既に選挙関係については,下記の記事で分析しましたが,ここでは自民党の選挙手法について更に検討してみたいと思います。
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1 自民党でさえどぶ板選挙に切り替えたこと(選挙手法の変更)
  過去の記事でも書きましたが,今回の選挙で特徴的だったのは,組織がためというこれまで自民党候補者が使っていた選挙手法を少なくし,逆に有権者(特に浮動票)取り込みを中心に町中を走り回る「どぶ板選挙」に徹したということです。
  この手法は,これまでは民主党の十八番でしたが,その手法を自民党もしっかりと採用したということです。
  つまり,「これからは組織がため選挙よりもどぶ板選挙が有用である」という分析を行ったのではないかと推測されます

2 民主党の若手候補者に対しては若手を投入したこと(候補者の選択)
  これまでの自民党候補者は,市議会議員→県議会議員というルートか,秘書一筋何十年という人たち,すなわち割と年輩の人が中心となった候補者でした。
  それに対して,民主党はいわゆる公募の若手候補者を投入し,各地で勝ち進んできました。
  今回,自民党は,公募や刺客を大幅に取り入れ,これまでの立候補ルートとは異なるルートでの候補者選択を行いました。その結果,候補者がだいぶ若年化してきました。
  次に,若手候補者を民主党の十八番であった若手候補者にあえてぶつけてきました。
  これによって,「若さが勝負」というキャッチフレーズを民主党候補者に使わせないことに成功しました。
  つまり,候補者選定及び選挙区選定方法が,これまでのようなしがらみをまるで無視して,他の候補者の顔ぶれを踏まえて選出していたのではないかと推測されます。

3 分かりやすい選挙を目指したこと(説明責任)
  今回の選挙は,「政策選挙である」と各党主張していました。もちろん,自民党もそのように主張しており,かつマニフェストも作成はしていました。
  しかし,自民党は,「郵政民営化一本」に争点を絞った選挙をしました。
  これが何を意味するでしょうか。
  有権者の多くは,なんだかんだいって各党のマニフェストをまともに読んでいません。それは決して有権者が悪いというわけではなく,「読んでいただく」という姿勢のない作りにしてしまった各党の責任であると考えています。
  しかも,マニフェストをよく読んで次の政権を選ぼうといっても,イメージがわかなければどこの党がふさわしいのか分かりません。つまり,各党とも説明責任を十分果たしていなかったといえます。
  これに対して,自民党は争点を一本にしたことで,有権者に対して「考え安さ」を提供しました。つまり,その限りでは十分説明責任を果たしたといえます。
  以上から,自民党は今時代が求めている「説明責任」をいち早く取り入れた結果,有権者から大いに指示されたといえるでしょう
  これが,牛丼屋選挙とファミレス選挙の違いという点です。

4 弱い都市部を中心に空中戦を併用したこと(選挙戦略の構築)
  自民党は都市部で弱いということは十分認識していました。一方,民主党は農村部で弱いということを認識していました。
  しかし,民主党は,大物幹部を農村部にはほとんど投入せず,また強い首都圏にもあまり積極的には投入しませんでした。
  それに対し,自民党は,刺客候補者の地区を除けば,ほとんど大都市圏を中心に大物幹部を送り込みました。
  つまり,弱点を徹底的に克服しようという戦術に出たわけです。
  しかも,各候補者はどぶ板選挙を行っています。どぶ板選挙である程度末端にまで浸透したところで,一気に空中戦に出れば,必然的に流れはそちらに傾きます。
  以上から,自民党は,完全に弱点対策を行ったといえるでしょう。

5 キーワードをうまく使用したこと(プレゼン技法にたけた)
  自民党のキーワードは「郵政民営化」ですが,さらなるキーワードは「改革」です。この改革というキーワードは,有権者が一番食いつくテーマです。
  確かに,改革という言葉自体は各党とも使っていましたが,自民党は争点を絞ったことで,「郵政民営化=改革」という一つの方程式を完成させました。
  ところが,他の党は,改革という言葉の中身が今ひとつピンと来るような説明をしませんでした。これは,決して中身を説明していないという意味ではなく,キーワードをうまく使用するというプレゼンのミスであったといえます。
  つまり,自民党は心を打つCMのキャッチコピーのようなプレゼンをうまく使ったといえるでしょう。

6 最後はタレント性をフルに使ったこと(イメージ選挙)
  なんだかんだいって,小泉首相は人気があります。また,安倍氏も女性を中心に高い支持があります。
  このようなタレント性のある幹部が空中戦で応援に来れば,多くの人たちはそちらになびきます
  ただ注意したいのは,「単なるタレント」に対しては,有権者はシビアになりました。いわゆる芸能人の候補者(今回はほとんどいませんでしたが)に対しては,「本当に政治活動ができるのか」と厳しい目で見ます。
  つまり,各政党の幹部には,それなりのタレント性やカリスマ性が要求されるということになります。

7 人の悪口をほとんど言わない
  自民党候補者は,基本的に他の政党の悪口はあまり言いませんでした(造反議員の刺客候補者を除く)。一方,民主党等他の野党は,ほとんど自民党の悪口に費やしてしまいました。
  人は不思議なもので,多少の悪口ならば面白いのですがそれをずーっと聞かされると,あるところから急に不機嫌になります。
  選挙なので,やはり政策を訴えるべきなのでしょう。

以上まとめると,次のようになります。
1 いち早く選挙戦術を現代版に対応させたこと
2 有権者が食いつきやすくしたこと
3 弱点を徹底的に補強したこと
4 イメージ戦術,上手なプレゼンを行ったこと


各党とも,この点を踏まえて次回以降の選挙戦に備えてほしいと思います。
もちろん,地方自治体の首長や議員の方も,「時代が変わってきた」ことを認識して選挙をしないと同じ目に遭いますので,十分研究しておきましょう。

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