あれは,あれで良いのかなPART2

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電子投票はやっぱり必要?

2005年07月12日 21時15分17秒 | 選挙全般
2003年に実施された岐阜県可児市の市議会議員選挙について,電子投票の不具合を理由に最高裁は選挙無効確認の判決を下しました。これにより,市議会議員は全員失職し,再選挙になるそうです。

原因は機械にあるの?

最高裁の判決ではその点は明確に言っていませんが,電子投票サーバが加熱して停止してしまい,最大1時間半近く投票できなくなり,2200人が投票を断念したこと,この人たちが投票すれば投票結果が大きく変わり得たことを根拠にしています。
そして,市選挙管理委員会は,「これじゃあ電子投票やるなっていう判決に等しい」と逆ギレしてまして,また総務省も「それでも電子投票を進めるぞ」と息巻いています。
しかし,今回の電子投票,最大の問題点は「危機管理対策」がまるで取られていなかった点にあります。
電子投票の採用により,紙投票を全廃しました。しかし,機械は壊れることが絶対あります。そのための対応として,サーバをクラスタ構成にしたり,フォールトトレラント方式にするなどして,サーバ側がとにかく絶対に落ちない構成にするという手法,機械停止の間の代替機をすぐに用意できるという手法,さらには,機械停止間は紙投票を併用するなど運用上ので手法など様々な方策が考えられます。
今回の場合,サーバ加熱という問題が全投票所で発生したとすれば,おそらく機械による代替方策は困難であったと思われます。このような場合は,やはり選挙の確実性を重視すする意味で紙投票を一時的であれ使用するべきであったと考えます。もちろん,法律上併用はまかりならんと言うのであれば,同じ機種を代替機として用意するべきでしょう。
今回の問題は,このような危機管理に対する甘さが実は一番問題であると考えます。市選挙管理委員会は逆ギレしている場合ではありません。

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私も,総論的には,それでも電子投票に賛成です。世の中の流れが電子化になっていることからすれば,いずれは選挙も電子化するべきだと考えるからです。銀行のATMも,最初は「機械が金をおろすのは信用できない」などと批判されていましたが,今では窓口自体ATMだけの銀行もあり,もはやお年寄りにも強引にATMを使わせる状態です(その手法の是非は別にして)。
そうだとすれば,選挙の電子化もやむなしと思います。

ただし,電子化の趣旨を考えてみましょう。これは,開票時間の短縮による人件費の抑制と無効票疑問票を減らすことによる選挙の公正正確性の担保にあります。
今回の可児市の事故は,後者,即ち選挙の公正正確性に重大な問題が発生したものですが,よくよく考えてみると,機械導入費やオンサイト保守費等を考えれば,通常の人件費よりもかなりかかっているはずです。
ということは,電子投票のメリットが生かされていないことになります。
また,機械導入費は最初だけ,という意見もあります。
ところが,サーバ技術はどんどん進んでおり,市議会議員選挙(4年に1回)をベースに考えると,おそらく2回の市議会議員選挙でサーバの寿命(技術的進歩という意味)が来るでしょう(5年程度)。この間,単純計算で市長選挙2回,参議院選挙1回,衆議院選挙2回位の計7回位の選挙で使うことになります。
つまり,各選挙において
(導入費÷7)+オンサイト保守費<人件費
となれば一応人件費の節減ができたことになりますが,経験則上,確実に人件費より高くなると思われます。
特に,センターサーバ方式でなければ,投票場分のサーバ機器が必要となることから(可児市方式),より一層機器費も嵩むはずです。
よって,現状では人件費よりも電子投票の方が高くなります。

では,どうすれば電子投票の推進が可能になるでしょうか。
やはり,当面は電子投票と紙投票を併用する手法を採用するべきでしょう。これは,どちらかといえば電子投票の信頼性実験のようなものです。
ただし,併用といっても全投票所ではありません。一部の投票所で試験的に使用するのです。例えば,期日前投票は電子投票で,というのもありかもしれません。
そして,ある程度信頼性が担保された時点で,完全電子投票に切り替えます。
もちろん,電子投票に関しては,各業者いろいろと検討しているはずですから,最初に入札したベンダーを永年使用するのではなく,保守契約さえも入札にするなどしてどんどん業者間競争を促進させます。こうすることで,ベンダーも「できません」「無理です」ということにはならなくなるのではないでしょうか。

ようは,電子投票促進のためには,国,地方自治体,ベンダーの三者が知恵を汗を絞って頑張ればよい,ということです。特にベンダーにとっては,全国3000近い自治体が市場という「金のなる木」となりうるチャンスを持った事業なだけに,本腰入れてやれば,かなりの利益が得られると思います。