小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」を読みました。子象のインディラはデパートの屋上に連れてこられ、人気の的になっていたが、動物園に連れて行こうと計画された時は大きくなり過ぎてエレベーターに乗れず、階段から降ろすこともインディラが怖がってできなかったため、死ぬまでデパート屋上の檻の中で足輪をはめられて生きたのだった。主人公の少年にチェスを教えてくれたマスターは廃車になったバスを住宅に改造して住んでいたが、甘いものが大好きな巨体の持ち主だった。少年に優しくチェスの手ほどきをして少年の才能を開花させてくれたマスターも肥満による心臓発作で死んでしまう。おまけに大きすぎる遺体をバスから出せず、バスを壊さざるを得ない。2つの悲劇は少年に大きくなることに対する恐怖を植え付け、彼は11歳の大きさから成長することを拒むようになる。後年、少年はリトル・アリョーヒンと名付けられた人形の中に入り、客を相手にチェスをする仕事に就く。彼は素晴らしいチェスをさし、棋譜は大変美しく語り草になるほどだったが、彼を知る人は彼と心を通わせたわずかな人たちだけだった。独特の空気感の作品。リトル・アリョーヒンは幸せだったのかもしれませんが、読後感は悲しいです。
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>独特の空気感の作品
確かに一言でいえばそうですね。
日常とはさほど変わらないのだけど、どこか違う世界に連れて行ってくれるのが小川洋子さんの物語だと思います。