最大の話題といえば、やはり、新型インフルエンザ。
世界保健機関(WHO)は、日本時間2009年4月30日、パンデミックレベルをフェーズ4からフェーズ5に引き上げました。
何故、これほどまでに新型インフルエンザが世界的に警戒されているのか。
その理由は「感染率が高く、致死率が高い」からです。
新型インフルエンザウイルスとは、動物のインフルエンザウイルスがヒトからヒトへ感染するウイルスに突然変異したものです。主な新型インフルエンザには、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)と豚インフルエンザ(H1N1型)があげられます。
H5N1型鳥インフルエンザウイルスは、鳥から鳥への感染から、現在では鳥からヒトへ感染している例が報告され、多数の死者を出しています。H1N1型豚インフルエンザも人への感染が認められ、発生したメキシコをはじめ世界的に拡大しています。
この新型ウイルスに対して、ヒトはもともと免疫を持っていないため、ウイルスに暴露すれば100%感染します。このウイルスは飛沫・空気・接触による感染で広がっていく特長を持っているため、一度発生すれば、たちまちパンデミックの発生になると考えられています。 また、H5N1型鳥インフルエンザウイルスは非常に強毒性で、ウイルスが血流に乗って全身にまわり、全身感染を引き起こします。致死率は60%以上と極めて高く、肺炎が主な死因となっています。
さらに、抵抗力の高い若い世代では、免疫系が過剰に反応する「サイトカインストーム」を起こしてしまう可能性があると考えられ、最終的に重症肺炎や多臓器不全を起こして、死に至ることも多いと推測されています。実際に、このH5N1型鳥インフルエンザウイルスに感染した事例でも若い世代での犠牲者の割合が多いことが報告されています。
限られた期間にある感染症が世界的に大流行することを、「パンデミック」と言います。
パンデミック発生の被害想定は下記の通りです。
ステップ1:国内の一部地域で感染(WHO規定 感染段階 フェーズ4)
国や自治体によるパンデミックへの警戒が始まり、渡航者への検疫がきびしくなる。
発生地域での、大規模な集会や興行施設などで(地域のお祭りや映画館など)、不特定多数の人と接触することで、感染が拡大する。
発生地域の学校や店舗など、同じ室内に多数の人が集まる環境下で感染が拡大し、場合により学校が休校になる。
発生地域から他の地域に移動する人により、交通機関を通じて、他の地域にも感染拡大する。
ステップ2:都会に広がり始めた時(WHO規定 感染段階 フェーズ5)
人口が密集している都会で、不特定多数の人が感染する
主要な企業が集まる都心部で感染拡大することで、会社が正常に機能しなくなる。
都心で感染した人が、混雑する時間帯に交通機関を利用して居住地域に移動することで、交通機関内での感染が起こり、不特定多数の地域にウイルスが伝播する。
会社や交通機関で感染した人が、自宅で家族と接触し、その家族が学校や多数の人が集まる施設で活動することで、居住地域での感染が拡大する
新型インフルエンザによるパンデミック期の患者対応を勘案し、治療薬の確保のため、抗インフルエンザ薬投与の制限が厳しくなる。その他にも、感染予防物品(サージマスク・消毒液等)も不足する。
ステップ3:世界中で感染拡大が起こったとき(WHO規定 感染段階 フェーズ6)
厚生労働大臣が非常事態宣言(国内対策強化宣言)を行う。
世界人口の1/4が感染し(過去のパンデミックから厚生労働省が想定)、日本でも約3200万人が感染する。新型インフルエンザの流行の波は複数回あり、1つの波の流行期間は約2ヶ月間続くと想定される。
感染流行のピーク時は学校は閉鎖され、企業においても40%の従業員が欠勤(米国の職業安全管理局想定を参照)して、会社機能が停滞する。ライフラインを維持する企業・機関(電気事業、水道事業、ガス事業、石油事業、食料販売事業)が停滞し、生活維持に必要なサービスが受けられなくなる。
外出による感染のリスクが高まり、外出ができない状態が続く。
報道機関等の機能停滞により、生活維持に必要な情報が得られず、憶測などによる噂やデマが広がることで、社会に混乱をきたす。
電気・水・ガス・石油・食料などの輸送が円滑に行われず、生活必要物資が不足する。交通機関も正常運行が困難になる。
消防、警察、自衛隊、海上保安などの治安維持に関わる期間が正常に機能せず、治安が悪化する。
国会や地方議会、その他危機管理に携わる機関が正常に機能せず、大地震などの不測の事態が起こった際、迅速な対応が出来なくなる。
感染者のうち、医療機関を受診する患者が2500万人、うち入院を要する患者が200万人と想定されるが、医療機関の収容人員を超え、治療に必要な物資が不足して対応が困難となる。
新型インフルエンザの対応で病院が飽和状態になり、インフルエンザ以外で緊急性の高い患者の治療が遅れる可能性が生じる。
抗インフルエンザウイルス薬の不足により、予防投与が医療従事者や社会機能維持者に対しても中止され、重症患者への投与が最優先となる。
パンデミックによる死亡者は国内で64万人と推定され、火葬場の処理能力が遺体の数に追いつかず、止むを得ず一時的に墓地以外の場所(公園、空き地など)に安置されるケースが生じる。
パンデミックを引き起こさないために、個人で気をつけるには以下の6つを実践するように心がけましょう。
① 感染が疑われる人やエリアに近づかない
② もし具合が悪くなったら、外出せず、家に居る(必要な場合には、保健所に相談する)
③ マスクを着用し、鼻と口をカバーする。出来れば、メガネなどで目も保護する
-咳エチケットの敢行と注意点
・咳エチケットでは、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュで鼻と口を覆い、しぶきが飛ばないようにします。
・使用後のマスクやティッシュは、必ずゴミ箱に捨てます。
・マスクやティッシュがない場合には、腕の肘で鼻と口を覆い、衣服を使ってしぶきが飛ばないようにします。
・咳やくしゃみをした後には、必ず手洗いをします。
④ 頻繁に手洗いを行い(20秒以上)、外出時には、頻繁な手指消毒を行う
-手洗いのタイミング
・鼻をかんだり、咳やくしゃみをした後
・洗顔の前
・食事や調理の前後
・電車、バスなどでつり革や手すりを触った後
・トイレの後
・排泄物(や動物)を触った後
・ごみを触った後
・切り傷などを手当てする前後
-手洗い、手指消毒で注意するポイント
・指の先、爪の間、爪の腹は、通常、洗い残すことが多いため、入念に洗いましょう
・手洗い後、共有のタオルは使わず、紙タオル等使い捨てのもので水気を拭います
・液体石鹸(固形石鹸は使用しないで下さい)で、先ず入念に手を洗い、手の油脂を取り、その後、完全に水気を紙タオル等で拭ってから、手指消毒で再度手洗いをするように、消毒剤を手前提に刷りこみます。
⑤ むやみに、自らの手で、目、鼻、口を触らない(マスクやメガネで触らないようにする)
⑥ 感染リスクを下げるための方策を出来る限り実行する
・良く眠る、ストレスを溜め込まない、充分な水分補給をする、栄養価の高い食品を取る、など
自分の身は自分で守る!
GWで人ごみに行くことが多くなると思いますが、気をつけましょう!!!
tomo