ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

塩狩峠

2008-12-26 23:25:12 | Weblog
 読んだ本の中でもうひとつ忘れられない本が、三浦綾子の「塩狩峠」。

 実在したクリスチャンの国鉄職員・永野政夫さんの物語。実名と少し違う名前で登場するので、どのくらい事実に基づいているのかはわからないが、クリスチャンの両親を持ち、はじめは無関心だった信仰にやがて目覚め、信仰心を厚くしていく生涯を描いている。
 
 事実として有名なのは最後のシーン。乗務していた列車のブレーキが突如効かなくなり、塩狩峠を超える急カーブを曲がりきることができない状況に陥る。脱線すれば乗客の多くが命を失うほどの大事故を予測したそのとき、永野さんは自分の体を投げ出し列車の下敷きになってブレーキとなった。

 北海道の塩狩峠には殉職した永野さんの墓碑がある。

 中学生だった30年前に読んだ一冊の本が、ずっと長い間、心の奥深くに生き続けてきた。たくさんのことを考えた。しかし何度考えても、同じ状況に出会ったとき自分もそうするのだろうと思った。

 現在の自分になる過程で出会ったたくさんの体験や思想の中で、忘れられないひとつとなった小説。そんな一冊です。

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