ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

生きてみたい、もう一度

2008-12-24 23:48:43 | Weblog
 クリスマスイブにも関係なく今夜は理事会を開き、来年からの体制に関わる重要な話をしたのですが、またしても本当に感動的な会になりました。まったく感動の毎日です。

 ひとつ伝えたい話を思いつきましたので、今日はじっくり書いてみようと思います。クリスマスにはまったく関係ありません。今日も話題に出たのですが、自分にとってホームレスのかたの支援というのは重要な課題のひとつと位置づけています。そのきっかけになった話。

 20年位前、古本屋の入口に並べられていた50円の古本に目が留まった。タイトルは「生きてみたい、もう一度」

 本の内容は。30年くらい前、新宿西口のバス乗り場で、路線バスに火炎瓶を投げ込みバスを炎上させた男の事件があった。男はホームレスだった。運悪くバスに乗り合わせた女性が全身に大やけどを負いながら生き残った。ルポライターだったその被害者の女性が書いた本で、本の冒頭、刑に服する加害者に送った手紙が記される。

「壁の中は寒くないですか。さぞかし大変な人生だったのでしょう。私はあなたのことを心から許します」

 衝撃だった。そんなことがあるのだろうかと思い、その50円の本を買って夢中で読んだ。フリーライターだった著者は、加害者がなぜそんな行動に出たのかを自らの取材で明らかにしていく。その中であぶりだされたのは、地方から出稼ぎに来て家族のために一生懸命働いていた人間が、病気で働けなくなった途端に仕事も家も失い、家族との絆も失って、この世のすべてに恨みを抱き、だれでもいいから復讐したくなったという構図。これは社会の問題であり個人の問題ではないと結論付けた著者の洞察。

 しかし著者にはもうひとつの側面があった。事件に巻き込まれた当時、個人的な事情で死んでしまいたいという思いに駆られていた著者の目の前に炎が襲ったその瞬間、死んでもいいと思った刹那によって一瞬逃げ遅れたために、生死をさまようほどの負傷を負うことになった。

 著者の女性はその自分の弱さをすべて認め受け入れた上で、「私は弱かった。大怪我を負ったのは私自身の問題だった。苦しい状況の中でこのような事件を起こすほど追い込まれたあなたのことをすべて受け入れて、あなたを許します」と最終章を結ぶ。

 この本との出会いが、自分がホームレス問題とかかわることになる始まりでした。今日はこの話を書きたい気になったので、ちょっと硬い話になりました。

 正確に言うと「ホームレス」という言葉は差別語なので、「野宿者」と呼びたかったのですが、多くの方に分かりにくいと思いあえて使いました。以後は差別語は使わないようにしたいと思います。

街はクリスマス

2008-12-24 00:15:54 | Weblog
 チームバチスタ、終わってみれば大したストーリーでした。原作を読んだときには他のトリックは考えられない、その場にいた関係者ならすぐにわかるはずだと思ったけど、結局、ふたりの犯人を創作して原作以外のトリックをふたつ考え出してしまった、しかも高度な医療知識を必要とする話。これはすごいことです。しかも最後のシーンで原作者が出演したというおまけつき。考えたのも脚本家ではなく原作者だったのでは。というわけでミステリーマニアもけっこう満足しました。

 新聞テレビは連日雇用の打ち切りを報道しています。日本は、世界は、一体どうなるのでしょうか?新宿の野宿者支援団体がインタビューを受けていた際に、野宿のかたが確実に増えていると伝えていました。

 公共事業が減り工事関係者の仕事もなくなったと報道されていました。しかしこれに関しては、もともと不必要な工事が多すぎた今までの政治。福祉や医療で困っている人たちを切り捨てて工事関係者に支払われていた税金が、本来救済されるべき人に回るのなら、それは甘んじて受け止め、次に何の仕事をするのか考えるべきです。

 その仕事を失った人たちが、人手不足で困っている福祉分野へ入ればいいのではないでしょうか。もちろんいい加減な人は勤まらないので、真剣でない人は淘汰されると思いますが。

 今日は本を買いにステラタウンへ行きました。街はすっかりクリスマス。幸せそうな家族連れがたくさん歩いていました。障害のお子さんを育てている母子家庭の利用者のお母さんは、毎日休みもなく仕事をしています。それぞれにいろいろな事情があって大変な境遇になったわけだけど、だれにでも幸せなひとときが舞い降りてくるそんな世の中であって欲しいと、行き交う人を見ながら願いました。