安倍晋三首相は11日、訪問先のベトナム・ダナンで中国の習近平(シーチンピン)国家主席と約45分間会談した。東京での日中韓首脳会談の早期開催をめざすことで合意。習氏は「日中関係の新たなスタートになる会談だ」と述べ、両首脳は両国の関係改善に向けた外交を本格化させる方向で一致した。北朝鮮による核・ミサイル問題には連携して対応することも確認した。

 首脳会談はアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議に合わせて行われた。安倍首相は冒頭、「両国の関係改善を力強く進めていきたい」と強調。習氏は「関係改善のプロセスはまだやるべきことがたくさんある」と指摘したうえで、「時流に乗って努力し、前向きな発展を推進したい」と述べた。

 首相は会談後、記者団に「友好的な雰囲気の中で、率直な意見交換を行った」と述べた。日中韓首脳会談の早期開催について合意したほか、首相から日中平和友好条約締結40周年にあたる来年に相互訪問を実現することを提案。習氏は「ハイレベルの往来を重視する」と応じたという。

 北朝鮮問題をめぐり、北朝鮮の対外貿易の約9割を占める中国の役割が重要とする首相は、「日中両国は地域、そして世界の安定と平和に大きな責任を有している。北朝鮮への対応について、連携をさらに深めていきたい」と呼びかけた。また、「中国が国連安全保障理事会の制裁決議を履行するうえで、具体的な取り組みを実施していることを歓迎する」と評価した。

 安倍首相は13日にも東南アジア諸国連合ASEAN)関連首脳会議が開かれるフィリピンで、中国の李克強(リーコーチアン)首相と会談する予定。(ダナン=藤原慎一)