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ウイルス以外の肝がん増加 目立つ生活習慣の問題 予防研究が重要に 「医療新世紀」

2016年06月01日 11時28分44秒 | 医療情報
ウイルス以外の肝がん増加 目立つ生活習慣の問題 予防研究が重要に 「医療新世紀」
2016年5月31日 (火)配信共同通信社

 日本の肝臓がんの原因の大半は、C型を中心とする肝炎ウイルスが占めてきた。だが近年、ウイルス感染のないがんが増え、専門家の注目を集めている。多くは肥満など生活習慣の問題が関係しているとみられるが、詳細は未解明。リスクの高い人を早めに見つけ、がんの予防につなげる研究が重要になりそうだ。

 ▽「非B非C」

 肝臓がんの原因で何が多いかは国や地域により多少の違いがある。日本ではかつて、原因の9割以上がB型とC型の肝炎ウイルスとされていた。

 最も多いC型は、血液を介して感染する。高精度の検査が導入された1992年以降、輸血による感染はほとんどなくなった。また治療が進歩し、発がん前のウイルス排除に道が開けたこともあり、C型ウイルスが原因のがんは徐々に減ってきた。

 代わってじわじわと増えているのが「非B非C」とも呼ばれるB、C型ウイルス以外が原因である肝臓がんだ。これにはアルコール性肝疾患をはじめ、さまざまな原因が含まれることが分かっているが、数の少なさなどから「従来は十分な分析が行われてこなかった」(専門家)という。

 ▽20年間で倍増

 東京大の小池和彦(こいけ・かずひこ)教授(消化器内科)を中心とする共同研究チームは、肝臓がんの診療を手掛ける全国の主要な53医療機関を対象に非B非Cがんの実態調査をした。各施設が91~2010年に診療した患者計約5300人について、年齢、性別のほかがんの原因とみられる肝臓疾患や他の持病、さまざまな検査数値などを報告してもらった。

 その結果、91年に肝臓がん全体の10%だった非B非Cがんは、10年には24%を占めるまでに増加。これを基に全国の非B非Cがんの患者数を推計すると、10年時点で約1万1600人。割合だけでなく実際の患者数も増加したことが明らかになった。

 データの分析を担当した建石良介(たていし・りょうすけ)東京大特任講師(消化器内科)によると、患者の4人に1人はアルコール性肝疾患で、飲酒の影響は大きいとみられた。また、飲酒量は少ないが肥満などにより肝臓に脂肪がたまる「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」と診断された患者が1割程度いたほか、約半数はがん以外の持病として糖尿病があったことから、生活習慣の影響が大きいと推定された。

 ▽五つのタイプ

 ただ、肝臓疾患の診断基準を満たさず「分類不能」とされた患者も半数余りいた。

 建石さんは「従来の診断基準では拾いきれない複数の要因が重なって非B非Cがんを起こすのではないか」と考え、症状や検査数値などに共通点がある患者同士をグループにまとめ、各グループの特徴を探る手法で分析を実施した。結果的に、五つの典型的なタイプが浮かび上がった。

 第1は、酒はあまり飲まず、肥満で内臓脂肪が多いメタボリック症候群の男性。第2は、高齢の肥満女性。肝硬変になっていることも多い。第3は、中等度の飲酒習慣があり、肥満で脂肪肝の男性。第4は、大量に飲酒し肝機能が低下している男性。第5のタイプとして、中等度の飲酒をするが肝機能は良好で、一見何の問題もなさそうな男性もいた。

 肥満は、五つのタイプのうち三つに含まれており、特に重要な要因と考えられた。建石さんは「今回の分析は2010年までの20年間が対象だが、診療現場の実感では、肥満やメタボの影響は近年になるほど大きい。新しいデータを加えて分析を続け、がんのリスクが高い人の絞り込みに役立てたい」と話している。(共同=吉本明美)

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