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高齢感染者 フレイル難題…病院「リハビリ余裕ない」、施設「クラスターが怖い」

2022年05月04日 20時24分53秒 | ウイルス

高齢感染者 フレイル難題…病院「リハビリ余裕ない」、施設「クラスターが怖い」

 2022年5月3日 (火)配信読売新聞
 

新型コロナ原則入院

 新型コロナウイルスのオミクロン株の流行で、高齢の感染者が入院によって体力や認知機能の低下が進む問題が浮き彫りとなっている。在宅医療の専門家らは高齢者の原則入院の見直しを求めたが、高齢者施設側はクラスター(感染集団)の発生を不安視する。国は原則を維持しつつ、施設の療養態勢の強化を打ち出すが、実効性が課題だ。(矢野誠、米山粛彦)

歩行困難に

 東京都内の民間病院では2月、コロナに感染した80歳代男性が約2週間の入院生活で歩けなくなり、トイレにも行けなくなった。看護部長によると、妻は「このままでは連れて帰れない」とショックを受けていたという。

 この病院では、オミクロン株が主流の「第6波」で、コロナの症状は数日で治まる一方、入院で心身が衰え、介護が必要な状態になる高齢者が目立った。看護部長は「可能ならば早期にリハビリを始めたいが、スタッフにその余裕はない」と打ち明ける。白い壁に囲まれた病室で、防護服姿のスタッフとしか触れ合いがなく、認知症の症状が悪化するケースもあった。

 心身の働きが弱る「フレイル」を防ぐため、在宅医療の学会などは3月、高齢者の原則全員入院の方針を転換すべきだと国に提言した。本人の意思に基づき、軽症や無症状の人は高齢者施設など住み慣れた場所で療養やリハビリを受けられる態勢作りを求めた。

拡大防げず

 これに対し、高齢者施設からは反発の声があがった。

 第6波では、全国の高齢者施設のクラスターが2月中旬の1週間で479件と、第5波で最多だった週の10倍超に達し、施設内で感染拡大を防ぐ難しさが浮き彫りとなったためだ。

 認知症の高齢者ら約150人が生活する東京都多摩市の特別養護老人ホーム「 白楽荘はくらくそう 」では2月、1フロアに入所する49人のうち29人が相次いで感染するクラスターが発生。施設側は保健所に感染者全員の入院を求めたが、最終的に入院できたのは重症化するなどした6人だけだった。

 感染者が増えるたびに居住区域と分けるゾーニングを変更するなど対策を徹底したが防ぎきれず、芦田弥生・前施設長(58)は「クラスターが起きれば職員はリハビリどころではない。ゾーニングで入所者が動ける範囲は狭くなるため活動量も減る。優先すべきは早期の入院による隔離だ」と話す。

態勢強化へ

 厚生労働省は、高齢者の原則入院は維持しつつも、同時に施設内での療養態勢を手厚くする構えだ。

 4月には、都道府県に対し、感染者が出た施設に感染対策を指導する専門家チームを24時間以内に派遣し、医師らによる往診を受けられる医療提供体制を確保するよう求めた。厚労省によると、4月22日時点で、専門家チーム派遣の態勢は全国すべての施設(約5万6000施設)で整った。しかし、協力医療機関などから医師らの派遣を受けられる態勢を確保できたのは65%の約3万6000施設にとどまる。

 日本老年医学会理事長の秋下雅弘・東京大教授は「病院でも高齢者施設でも、高齢者が早期のリハビリを受けられるようにすることが重要だ。国は医師が常駐していない施設でも感染対応にあたれるような態勢を確実に整備する必要がある。入院した場合もコロナ患者を治療する急性期病院はリハビリのスタッフが手薄で、増員などの対応が求められる」と指摘する。

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