日々

穏やかな日々を

悲しいね~ (滋賀)医事雑感 予期悲嘆 ご近所のお医者さん

2016年01月27日 01時22分26秒 | 
(滋賀)医事雑感 予期悲嘆 ご近所のお医者さん

その他 2016年1月26日 (火)配信毎日新聞社

 ◇看取る前悲しみに苦悩 堀泰祐さん(県立成人病センター緩和ケアセンター長)

 がんの罹患(りかん)率が増え高齢化が進むと、親が子を看取(みと)るという逆縁が増えています。

 Tさんは70歳少し前の女性で、若い時に夫と死別し、一人娘を育てました。スーパーのレジ係や清掃員など、いろいろな仕事をしながら、娘が短大を出て自立するまで働きました。ヘルパーの資格を取り、今でも高齢者施設でパートとして勤めていました。

 娘が乳がんを発症したのは、1年前のことで、まだ40歳前でした。乳がんの悪性度が高く、手術後半年でリンパ節から肺、肝臓などに転移しました。抗がん剤治療が効いたのは一時的でした。

 娘は結婚していましたが子供はなく、夫も忙しいため、いつもTさんが付き添っていました。

 病状が悪化して、緩和ケア病棟に入院しました。Tさんは、娘に付ききりで看病し、入浴介助、排せつのケアなど、ほとんどのケアを自分でしました。看護師がしようとすると、「私がしますから」とさえぎりました。

 Tさんも腰痛持ちで、ケアを続けるのは辛(つら)そうでしたが、看護師が手伝おうとすると「私にさせて」と拒みました。娘は遠慮がちな性格で、母親のするままにさせていました。

 カテーテルや点滴の管理など、専門的な処置は看護師に任せていましたが、身の回りの世話は全てTさんが担いたいようでした。傷の処置の時、外に出るように言われたTさんは「のけ者にしないで」と怒りました。

 担当看護師は、Tさんと話し合う時間を持ちました。「私には娘しかいない。年を取って一人残されるなんて。どうやって生きていけばよいの」と涙を流しながら、思いを一気にはき出しました。

 この後、Tさんは徐々に看護師の援助を受け入れるようになりました。家族は愛する人が亡くなる前から、強い悲しみにさいなまれます。これを予期悲嘆といいます。

 Tさんは、献身的に介護することで、悲しみを紛らわせようとしていました。気持ちを率直に表出することによって、状況を受け入れたのです。

 Tさんは、担当看護師に肩を抱かれながら、静かに娘を看取りました。

あ―――――――悲しいね~

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 受動喫煙規制、世界で強化 ... | トップ | サガンOB関本さん死去 3... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事