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高齢がん患者 積極治療控え 体の負担を考慮 国立がんセンター調査

2017年09月16日 20時56分10秒 | ガン
高齢がん患者 積極治療控え 体の負担を考慮 国立がんセンター調査
2017年9月13日 (水)配信毎日新聞社

 高齢のがん患者が増える中、国立がん研究センターは今年8月、患者の年齢ごとの治療法について調査結果を発表した。75歳以上の患者は、それより若い世代の患者に比べて、体に負担のかかる治療法を控える傾向のあることがわかった。こうした実態が明らかになったのは初めて。高齢者のがん治療については、これまで明確な基準がなく、国は高齢者のがん治療の指針(ガイドライン)を作成する方針だ。【細川貴代】
 2015年に、がん治療の拠点となる全国のがん診療連携拠点病院など427病院でがんと診断された70万人分の診療情報を集めた。患者の平均年齢は68・5歳で、75歳以上は36・5%を占めた。今回の調査では、そのうち40歳以上を対象に、胃、大腸、乳房など12の部位について、5歳刻みの年齢ごと、進行度ごとに治療法を分析した。
 高齢のがん患者は、年齢、進行度とも上がるにつれ、若い世代の患者とは治療傾向が大きく異なっていた。
 がんの進行度は、病期(ステージ)で表し0から4にかけて進行するが、例えば患者数が最も多い大腸がんで、ステージ3の場合、75~84歳の約52%、85歳以上になると約80%が「手術のみ」だった。一方、40~64歳では、手術(または内視鏡)に抗がん剤を組み合わせた治療が約75%を占め、「手術のみ」は約16%だった。
 75歳以上は、それ以下の若い世代と比べ、「治療なし」の割合も多かった。大腸がんのステージ4では、85歳以上の「治療なし」は約36%。これに対し、40~64歳は「治療なし」は約5%、「手術(または内視鏡)」と「抗がん剤」を組み合わせた治療が約57%と最も多かった。
 75歳以上の患者は、糖尿病や心臓病など他の病気を抱えていることも多い。調査からは、抗がん剤などによる負担の大きさや、患者・家族の意向などから、積極的な治療を控える傾向がうかがえる。
 肺がん(非小細胞がん)の場合も、75歳以上の患者は「放射線のみ」の人や「治療なし」の割合が多かった。非小細胞がんのステージ4で85歳以上は「治療なし」が58%を占めたが、40~64歳では「治療なし」は約9%。40~64歳は「抗がん剤のみ」が約49%で最も多かった。
 大腸がん、肺がんを除き、85歳以上かつステージ4の患者で「治療なし」だった人の割合を見ると、胃がんでは56%。特に治療が難しい膵臓(すいぞう)がんでは60%だった。一方、乳がんや前立腺がんでは、高齢でも抗がん剤治療を受ける割合が高かった。
 国立がん研究センターの東尚弘がん登録センター長は「高齢者といえども状態は多様で、年齢だけで一律に区切ることはできない。個別の状態に応じた治療を、医療現場が行うことが重要」と指摘する。
 ◇最適治療、迷う医師 70歳以上データ乏しく
 がんの治療は、現時点で最良の治療であることが証明され、一般的な患者に推奨される「標準治療」を行うのが基本だ。しかし、標準治療の基となる臨床試験は、多くの場合、70歳以上は対象外とされ、高齢者のがん治療の根拠となるデータは乏しい。
 それより上の世代に、どういう治療が最適なのかは明確な基準がなく、医師の裁量に任されているのが現状だ。患者の全身の状態が不良で、標準治療ができない場合もあり、現場では判断に迷う医師も少なくない。
 そうした事情もあり、政府は、高齢者に適した治療法の研究を促進し、がん治療の指針を新たに策定する予定だ。近く閣議決定される政府の「第3期がん対策推進基本計画」(2017年度から6年間)でも世代別の対策を盛り込む。
 同時に、高齢者に対する抗がん剤の効果について大規模な調査を実施し、治療の根拠となる基礎データを集める。高齢者にとって身体的な負担の重い抗がん剤投与による延命効果を疑問視する声もあり、科学的な分析が必要と判断した。

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