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早期の介入、調整役が大切 熊本支援の東北大医師 「東日本大震災5年半」伝える震災経験

2016年09月12日 20時13分56秒 | 
早期の介入、調整役が大切 熊本支援の東北大医師 「東日本大震災5年半」伝える震災経験
2016年9月12日 (月)配信共同通信社

 仙台市にある東北大災害科学国際研究所の助教で医師の佐々木宏之(ささき・ひろゆき)さん(42)は、熊本地震の支援活動で2回現地入りした。南阿蘇村では東日本大震災の教訓を基に、介護施設の高齢者を早期に病院に搬送。益城町では、地元に医療の調整役を置くことの重要性を改めて実感した。

 発生2日後に出発し、災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として駆け付けた南阿蘇村の特別養護老人ホーム。約140人の高齢者が疲弊していた。停電と断水で暖房やたんの自動吸引器は使えず、食料や医薬品は残りわずか。阿蘇大橋が落下して通勤できず、職員は通常の半数以下だった。

 「まだ大丈夫。もっと大変な施設を助けてあげて」。施設の管理者は遠慮したが、チームの目には「職員も疲れている。すぐ対応しないと危機的状況に陥る」と映った。

 東日本では医師らが介入するタイミングの遅れが、高齢者の震災関連死につながった。「自分たちで頑張ろうとしたけど、後々行き詰まった施設も多かった」。東北の経験を伝えると管理者も納得。症状の重い15人を病院に搬送し、大事に至らずに済んだ。

 「震災の教訓を生かせた」と振り返る佐々木さん。約10年前に発足したDMAT以外に、整備が進んだ精神医療やリハビリなどさまざまな専門チームも活躍していたのが印象的だった。

 益城町には発災1カ月後に入った。県庁には外部からの支援を整理し、必要な人や場所とつなげる災害医療コーディネーターが置かれていたが、町には不在。役場と保健福祉センターの両方に医療関係の業務を扱う作業班が置かれ、若干混乱しているように見えた。

 この状況に佐々木さんは「現場に近い市町村にも調整役を置き、きめ細かいマッチングができるようにすることが重要」と提言。コーディネーターにふさわしい人材として、大半が医師である保健所長を挙げた。

 国も大震災後、保健所の災害対応機能を強化するよう全国に通知したが、各地の体制づくりは道半ばだ。

 熊本地震から約5カ月。秋には熊本大の研究者らとの講演会を予定している。「熊本の人たちも、経験を伝える立場になる。よりよい災害対応を目指し、連携していきたい」と次を見据えた。

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