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大都市混乱、もろさ露呈 地形一変、過去の教訓は 「表層深層」北海道で震度7

2018年09月10日 02時22分20秒 | 地域
大都市混乱、もろさ露呈 地形一変、過去の教訓は 「表層深層」北海道で震度7
2018年9月7日 (金)配信共同通信社

 北海道を襲った震度7の地震は、大規模な土砂崩れを引き起こし、地形を一変させた。震源から離れた大都市・札幌でも道路の隆起や陥没が相次ぎ、停電と相まって混乱が大きくなった。南海トラフ巨大地震の対策が叫ばれる中、インフラのもろさがあらわに。阪神大震災や東日本大震災といった過去の教訓は生かされたのか。災害から命を守る覚悟が改めて一人一人に問われる。
 ▽メカニズム
 震源に近く、震度7を観測した厚真町。広範囲にわたり山の斜面が崩れ落ち、土砂が木々をなぎ倒し、家屋を押しつぶして田んぼに流れ込んだ。
 周辺の地盤は数百万年前の砂や泥が固まった堆積岩がベース。その上に支笏湖を形成した約4万年前の噴火による火山灰や軽石などの火山噴出物が4~5メートル積もり、さらに土壌が載った3層の構造になっており、もともと地滑りを起こしやすいとされる。
 現場の映像を確認した国立研究開発法人土木研究所(茨城県つくば市)の地質チームによると、今回の土砂崩れは強烈な揺れを受け、斜面の表層、つまり火山噴出物や土壌の部分が崩れた可能性が高い。
 「雨や台風で水を含んでいたところに地震が起きて崩れた」とみるのは、火山地質学が専門の産業技術総合研究所(つくば市)の石塚吉浩(いしづか・よしひろ)グループ長。付近では8月後半から断続的に雨が降り、5日も雨だった。火山灰層は水を吸いやすく、地盤が緩んでいたようだ。
 ▽半日後
 札幌でも震度5強の揺れが襲った。震源が37キロと深く、揺れが広い範囲に伝わったほか、北海道中央部に広がる、揺れやすい地盤が原因とみられる。ゆったりと揺れる長周期地震動も観測し、「物につかまらないと歩くのが難しい」レベルの階級2だった。
 気象庁は最大震度の把握にてこずった。厚真町で震度7が観測されたと発表できたのは発生から半日後。何らかの原因で観測データが気象庁に入電しなかったためだ。
 最大震度の把握が遅れると、被害の大きな場所が特定しにくくなり、救助や復旧の活動が遅れる恐れがある。気象庁の担当者は「原因をしっかり調査し、再発防止に努めたい」と答えるのがやっと。数々の災害を経て進む南海トラフ巨大地震対策に暗い影を落とした。
 今回、気象庁の緊急地震速報が一部地域で間に合わず、揺れた後に届いた。地震発生を検知し、大きな揺れが伝わってくる前に速報しようとする仕組みのため、直下型地震の場合は、技術的限界があることも露呈した。
 ▽対策
 地震に備えるにはどうすればいいのか。北海道全域が一時停電。北海道電力泊原発は外部電源を喪失した。道路は隆起・陥没し、水道管の破損で断水も相次いだ。テレビで地震情報を入手できなくなり、スマートフォンの充電もできなくなった。新千歳空港は閉鎖を余儀なくされ、鉄道も全てストップ。ガソリンスタンドや商店の多くが営業不能となり、都市機能はまひに陥った。
 揺れてからできることは限られ、防災システム研究所(東京)の山村武彦(やまむら・たけひこ)所長は「日本にいる以上、どこで災害があってもおかしくない。『明日はわが身』と思って対策を講じることが大事だ。食料や水などをしっかり備蓄し、住宅の耐震化を進めるべきだ」と警鐘を鳴らした。

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