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乳がん超音波検査で病変を自動分類するAIを開発

2018年05月03日 08時54分51秒 | 医療情報
乳がん超音波検査で病変を自動分類するAIを開発
2018年4月23日(月)

 3月に米サンノゼで開催されたNVIDIA GPUテクノロジーカンファレンス(GTC)で、機械設計エンジニアのViksit Kumar氏は、超音波画像で疑わしい乳房腫瘤をセグメンテーションする際に、人工知能(AI)をどのように使うことができるかについて説明した。セグメンテーションとは、画像を、画像内の異なる物体または物体の一部に対応するセグメント(ピクセルの集まり)に分別することである。これらのセグメントは、その後さらに分析することができる。
 米国では、乳がんのスクリーニングにマンモグラフィが使用されている。マンモグラフィで疑わしい所見が認められた場合、この最初のスキャンに続いて、焦点をさらに絞った超音波検査によるスクリーニングが実施される。その後、この情報を用いて針生検が必要か否かを決定する。 資源が乏しい発展途上国では、マンモグラフィは最初のスクリーニングとして実施するには費用がかかりすぎる。そのため、マンモグラフィの代わりに超音波検査が乳癌の最初のスクリーニングとして使用される。針生検は侵襲的であり、費用もかかることから、超音波検査で得られる情報が可能な限り詳細であることが最も望ましい。
 Kumar氏の目的は、疑わしい乳房病変を検出およびセグメンテーションし、より正確に分析する超音波検査者の業務を補助することである。
 「これらの超音波画像には、病変が良性か悪性かを判断する際に使用できるいくつかの組織構造的特徴がある」とKumarは述べる。「しかしながら、まず病変を見つけなければならない。セグメンテーションと検出は、これらの乳房病変の分類に比べればはるかに簡単に解決できる問題である。セグメンテーションでは多数の患者を必要としないが、分類で高い正確度を得るためには数万人の患者が必要である」。
 現在、セグメンテーションのシーディングアルゴリズムは、超音波検査者が実施した最初のスキャンに基づく初期シードを必要とする。超音波検査者はスキャン後に、オフラインにして症例を審査し、CADベースのシステムにこの初期シードを入力する。これらの結果は、スキャン上の乳房病変を見つけるために使用され、放射線医に向けた報告が書かれる。この報告ではBI-RADSスコア(針生検が必要か否かを示すために使用される測定基準)が提示される。このスコアを放射線科医が検証する。
 Kumar氏は、超音波画像上で疑わしい乳房腫瘤を自動的にリアルタイムで検出およびセグメンテーションするAIを提案している。スキャン上で疑わしい腫瘤をみつけたら、超音波検査者がオフラインとする代わりに、機械が境界ボックスを用いてこの病変を指摘する。この自動的な検出により、スキャン上で疑わしい腫瘤の位置確認が迅速に行われる。速やかな検出に加え、このAIは、自動セグメンテーションおよび分類プロセスを提供し、BI-RADSスコアを付し、生検推奨として振り分ける。
 Kumar氏およびMayoクリニックの同僚は、患者258名で得られた画像433枚を用い、独自のセグメンテーションアルゴリズムを開発した。これらの患者のうち124名は悪性乳癌に罹患していた。
 「このアルゴリズムは疑わしい乳房腫瘤のセグメンテーションや検出のツールとして使用できるだろう。今後の分類にこの腫瘤のセグメンテーションを使えるが、そのためには我々の小さなコホートよりもはるかに大きなコホートが必要である。これにより位置確認の時間が短縮され、疑わしい腫瘤のカテゴリー分けで超音波検査者を補助することができる。それによって、超音波検査をする人は、『この領域にもっと注意を払わなければならない』と迅速に特定できるようになる」(Kumar氏)。
 最後に、Kumar氏は、このアルゴリズムは超音波検査者の補助となることに加え、患者のベッドサイドでのケア(POC)および携帯型健康モニタリングにおいても有用となる可能性がある。さらに、超音波検査者のトレーニングにも使用できる、と述べている。

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