Dr.Oini3、4の発信所

趣味や健康法などについて世間様に発信する場をひとつ持ちたいと思い始めました。

自律神経について

2019年03月06日 | 寄稿文集

自律神経といえば、こどもの頃あがり症で、大勢の前で話したり、歌ったりするとのぼせたり動悸がしていた私は、雑誌広告の森田自律神経訓練法などというのに興味を引かれたことを思い出す。
自律神経。
英語にすると、「自動で」調節してくれる神経という意味で、「自分で」調節できる神経系ではない。
自動で作動するので、心臓よ動けと指令を出さずに、心臓は動き続けてくれる。呼吸もたとえ眠っていたとしても知らず知らずに続けてくれる。生かしておいてくれるのだ。
よって、「自分で」だと、思い通りにコントロールできたとしても思いっきり困ったことになる。
思い通りにはならないことで逆に助けられているのだ。
そもそも人類史上原始時代が圧倒的に長いので、人類がまだ狩りと猟のくらしをしていた頃。猛獣と戦ったり逃げるには末梢血管を収縮させてケガの際、あまり出血しないようにしたり。血圧を上げて脳や心臓の血流を増やしたり、瞳孔を開いて視認性を高めたりしてくれる交感神経系(闘争と逃走の神経)。逆に早く疲れなどから回復できるように、胃腸の働きを活発にしたり、末梢血管を拡張したり、余分なエネルギー消費を押さえたり、生殖に利するための副交感神経系(休息の神経)が発達してきた。
交感神経は脊髄から出て胸や腰の神経節から各作用点まで拡散し伸びて中枢神経系からの指令を伝達する。
副交感神経は脳幹からと骨盤部の脊髄から出て各作用点まで拡散し伸びて中枢神経系からの指令を伝達する。
いずれにせよ、細い神経線維のことですから、画像化・数値化するのが困難で、検査できないか、してもわかりにくいのが一般的。診断は問診を頼りにせざるを得ません。
さて、文明が進歩し、人類の多くは狩りと猟から解放されました。
紛争地とかでなければ、対戦型のスポーツでもやってれば十分に生かすこともできるでしょうが、一般の方ならケンカでもするか、車の暴走でもしなければ原始時代ほどその役割を生かすことはできないのではないでしょうか。
それでも、自律神経系は働き続けます。
自律神経系は必要性とその役割が減って、ゆがんだ形でくすぶっているのかもしれません。
そればかりか、お酒やタバコ、ギャンブル、コーヒーなど、ストレス、ある種の食べ物、香料などなど、巷には自律神経系に影響するものがあふれている。タチが悪いことに依存性のあるものもある。
内科外来をやっていて、自律神経系の失調症状には毎日日常的に遭遇しますし、放置するのは万病の元にもなりかねません。
平和で安全な形で本来により近い形で自律神経系を働かせるには、スポーツや観戦・ゲームなんかがいいのかもしれない。映画やドラマによる疑似体験もあるでしょう。最近ではバーチャル・リアリティーが進歩し、よりリアルな仮想体験ができるようになってきた。が、まだ「副作用」については情報が少なすぎる。できれば実体験が理想的なのは言うまでもないが・・・。
でなけりゃ、自律神経系作動薬や遮断薬というお薬もあります。各種ホルモンの影響をうけるので、ホルモン剤もありますが、どちらも使用目的外に副作用もあります。それも薬の開発によってより安全に、減ってはきていますが、、、。
あるいは人類はこの新しい環境にも適応するよう、ひそかに自律神経系を進化?(あるいは退化?)させてきているのかもしれません。
とはいえ、検査をしてもはっきりしない様々な症状をお持ちの方は、この際、是非自律神経系のことを調べてみて、自分に合った対策を講じてみてはいかがでしょうか?

この投稿は2019年2月の天童市報の一口健康講座のロングバージョンです。

当院ホームページをリニューアル致しました!

2018年01月26日 | お知らせ
URLは
oini.jpです。今後とも宜しくお願い申し上げます。

キラー・ストレスについて

2017年12月08日 | 寄稿文集
キラー・ストレスについて
表題についてのNHKスペシャルに、若干の感想などを加えて述べたいと思います。
人類は狩猟で食べてた時代が長く、猛獣との闘いに血圧を上げ、血を固まりやすくするストレスホルモンが必要でした。
文明社会人にはさほど必要はなくなったものの、ストレスが解消される前に次のストレスが漫然と続いて、一定レベルを越えると生命を脅かすようになります=キラー・ストレス。
無害な細菌が血管内皮で繁殖し、脳血管障害や心筋梗塞を起こし、悪性腫瘍をやっつけてくれていた免疫にオフのスイッチを入れて、発癌する、などです。
死には至らなくてもなくても、ストレスによる病気は枚挙に暇がなく、タバコや酒も増えたり、家庭や職場の人間関係に悪影響を及ぼしたり、精神に変調を来し仕事ができなくなったりもします。
ストレスは数字にも絵にもならないので人間ドックでもわかりにくく、おそらく脳ドックでもわからないでしょう。本人ですら、「好きなストレス」や「ストレスに対する弱さを認めたくない」ために見逃されがちです。
世間や社会の偏見も根強く、世間体や会社での評価を気にしてがまんしたり、そもそもストレス対策などする余裕がないこともあるかもしれません。
我々も血圧や血糖やコレステロールで動脈硬化の予防や癌の早期発展にはあたりますが、ストレス対策が無いと片手落ちかもしれません。
検診で異常なく、健康そうで、元気に働いていた方が、(むしろ、ストレスなどものともしないように働きすぎる方が、)なんでこんなに早逝なのだろうと考える事があります。
対策として、番組では、運動や、「マインド・フルネス」という、新・冥想法が紹介されました。
言うまでもなく、ストレスは万病の元ですが、一方、ストレスが無さ過ぎると認知症になりやすく、一定以上の対人ストレスは必要だと言われます。
検査でも、本人もわかりにくいストレス。周りでお互いに見守ってあげたいものです。

(2016年10月市報 一口健康講座 ロングバージョン)

僕は薬のクスリンだよ

2017年12月08日 | 寄稿文集
僕は薬のクスリンだよ

ノーベル賞とまでは行かなかったが、お父さんのたゆまぬ研究のアイデアから生まれたよ。
最初はビーカーやフラスコとかいっぱい有る研究室で育ちました。シャーレの細胞にかけられて37度で置いとかれて、先輩より効果があると論文で認められたよ。
最初に飲まされたハツカネズミは、かわいそうだったな~。
お猿さんでうまくいったので、まず最貧国で無償で人に試された。中には命が救われうれし泣きしてた人もいたな~。
昔は戦争捕虜とか牢屋の人にまず試されたと言ってた。
この国での治検の成績が良かったので、お役所に認められ華々しくデビュー~
でも、数年経って値段が安くなり、似たのがいっぱいでてきて、もっと期待のルーキーに追い越されたよ。
僕は飲んでもらって数時間血中に止まり、患者さんの役に立ってから尿や便になって土に帰る。
快楽や戦争のために使われる仲間もいるのに、お役に立てて幸せな一生だった。
患者さん今も元気にしてるといいな~。

サンデータイムス2015年11月掲載

胃のピロリ菌について

2017年12月08日 | 寄稿文集
胃のピロリ菌について

 長年積み重ねられた先人の医学の研究から、胃に生息し続けるヘリコバクター・ピロリというばい菌が慢性的に胃粘膜を荒らすため、様々な胃の病気を引き起 こすと言われます。
 一昨年まで胃潰瘍や十二指腸潰瘍に対してのみ認められた検査や治療が、昨年から慢性胃炎でも保険が条件付きで認められるようになり、当院でも積極的に治 療を行っております。
胃カメラで慢性胃炎以上であれば、血液や尿・糞便でピロリ菌の生息の有無を確認し、確認できれば一週間続けてお薬をのんでいただきます。
 ピロリ菌がいなくなれば、胃・十二指腸潰瘍や胃癌、胃炎も一生ものの予防になり、胃癌については発症頻度が1/3から統計によっては1/10に下げられ ると言います。
 この際ピロリ菌の検査を是非ご検討ください。



サンデータイムズ H27年1月 ドクターズメールに投稿

血圧の薬は1回飲んだら一生のまんなね?

2017年12月08日 | 寄稿文集
血圧の薬は1回飲んだら一生のまんなね?


 健康診断などで血圧の高い方が受診し、表題のように考えて様子を見させて欲しいと希望される方が少なからずいらっしゃいます。そんなとき、よく
悩むのですが、、、。
 なぜ血圧の薬をのむのかは、全身の血管系に負荷をかけないためであります。負荷が長年かかり続けると、血管壁や心臓の壁が肥厚し、硬くなり、柔軟性が損 なわれ、脳溢血しやすくなったり、腎臓が弱くなったり、心臓の機能が低下したり
心筋梗塞になったりします。
 確かに検診のときだけ高血圧の方もいるでしょう。でも、最近では家庭でくつろいでいる時の血圧をより優先して判断します。もちろん、薬を飲み始めて、後 に要らなくなればやめられます。冬場だけのんで夏場は休薬という処方箋もあるようです。
 医者は待っても、動脈硬化は待ってくれません。「一生のまんなね」かどうかはその人の心がけにもよります。様子をみている方も、日常の家庭血圧の測定を お願い致します。

作成日: 2014年12月2日(火)

サンデータイムズ H27年1月 ドクターズメールに投稿

ひどい下痢及び嘔吐について

2017年12月08日 | 寄稿文集
ひどい下痢及び嘔吐について

 毎年冬に家庭や施設で下痢・嘔吐が集団発生する。いわゆる夏に多い食中毒とは別で、感染性胃腸炎や感染性大腸炎という。マスコミでノロウイルスの集団発 生が報じられ、外来でノロウィルスじゃないですかと問われるが、特効薬がない事と、検査しても結果がでるのに日数がかかり、患者さん個人にとっては、治っ てから、
「ああ、ノロだったんだ~!」
という意味しかない。
 最初の感染は、牡蠣など貝類の生食が考えられ、注意が必要である。ついで、罹患した人の吐物や糞便から接触感染したり空気感染する。老人施設で集団感染 が多いのは、認知症で床に吐いたり、排泄をオムツにしたり、抵抗力の弱まった方が多いからと考えられる。
 対策として、手袋をかけて汚物処理、マスク着用、頻回に充分手を洗う、極力水洗で流すか蓋の付いたゴミ箱に捨てるなどある。
 冬期間に流行する理由に暖房で室内温度上げすぎ、室内乾燥でウイルス粒子が空気中浮遊しやすい事もある。適切な温度設定、加湿器、換気、ぬれタオルを いっぱい干すなどで予防、感染対策が望まれる。
 罹ってしまったら、飲み食いしたものも殆ど吐いたり、下痢したり、時に飲み食いした以上の胃液、腸液を喪失する。こうなると、内服薬はあまり効かず、わ ずかしか吸収されていないのではないかと思う。いわゆる脱水状態になり、その為胃腸も脱水になり、飲み食い出来ず、更に脱水が進行という悪循環になる。
 下痢や嘔吐はウィルスなどを体から排除するため起きる正当防衛反応だが、脱水は体力をそぎ、衰えている方や、何らかの持病をお持ちの方にとっては致命的 になる事がある。それがわかっていても食欲がでないし、飲み食いしてもどうせすぐ吐いたり下痢するのが苦しいし、腹も痛い。ダイエットするいいチャンスと 捉える女性もいる。
 しかし、そのままでは、先に述べた理由でなかなか治りません。どこかで悪循環を断ち切らなければなりません。
こういう時には、イオン飲料をちびちびとでも良いので、お腹と相談しながら飲んでください。下痢・嘔吐でイオンも不足していますし、適度なイオンや糖を含 んだ飲料は、こういう状態でも吸収され安くできています。最近では薬局でもっと高濃度の飲料水も入手できます。少し落ち着いたらゼリー状栄養食品も、もっ と良くなったら液状栄養食品もいいでしょう。オカユなど摂取できればかなり快方に向いてます。
 どうしても飲み食いできなければ点滴を考えた方がいいです。お申し付け下さい。(1~2時間かかりますので、早めに来院して下さると助かります)。

脂肪肝について

2017年12月08日 | 寄稿文集
脂肪肝について

 脂肪肝は自覚症状がほとんどありません。なので、ある日健康診断の結果表が来てみると、GOTだのGPTだのγGTPだのが上がっているか、超音波もし ていれば脂肪肝と書かれていて、医療機関を受診してくださいなどと書かれてびっくりしたりします。
 どちらかと言うとGPTやγGTPの方が高い場合が多く、だいたい2ケタ止まりです。
 肝臓の細胞の中に脂肪滴が多く診られるのが病態で、肥満傾向や飲酒が原因のほとんどです。超音波で診ると、肝臓が明るく見えます。
 生活習慣病なので慣れてしまって、疲れやすいとか、酒に弱くなったとか、だるい程度でも極めて緩除に来るので気づかれません。
 ですが、年齢とともに治りにくくなり、なるべく若いうちに減酒とかダイエットなどで治しておくことをお勧めします。

温泉療法

2017年12月08日 | 寄稿文集
温泉療法
 
 様々な事情から道満の温泉利用健康増進施設「のぞみ」の温泉療養アドバイザーみたいな仕事をしています。学会に出席して温泉療養医の資格の末席にも加え て頂きました。
 言うまでもない事ながら、一度や二度温泉に入ったからと言って、リラックス効果は有っても、健康にはなれません。健康法はなんでもそうですが、ある程度 継続が必要です。
 人によっては温泉療養より医療をまず受けて頂きたい方も大勢いらっしゃいますが、それでも、かなり慢性疾患の補助的治療になる場合も少なくありません。
 習慣的な半身浴で血圧のくすりが不要になったとか、フィットネス続けたら、A1cが正常化したとか、心肥大が治ったとか具体例もありました。
 ただ、何でもやり過ぎも毒です。適度に正しく継続して健康づくりして下さい。

肝腎(心)・肝要な肝臓

2017年12月08日 | 寄稿文集
肝腎(心)・肝要な肝臓


 肝臓はあなたの忠実な部下であります。戦争映画など見ながら、激戦地で苦戦している戦場に援軍を出さず、歯がゆい指揮官が出る事がありますが、それはあ なた自身かもしれません。
 肝臓の働きは、栄養を蓄える、エネルギーを産生する、不要・有害な物質を解毒・分解する、消化を助ける、病気への抵抗力、古くなった血液の廃棄、出血・ 止血の制御、体の材料の産生、等々、更にまだよく知られていない機能も数多くある様です。まさに体の工場、倉庫、ゴミ処理場、リサイクルセンターの役割を 持ちます。
 それに常時体中の血液の1/10は肝臓を流れています。
 正に戦略上の重要拠点であり、いざという時、肝臓の働きによって勝敗が大きく左右されると言っても過言ではありません。
 しかし、肝臓は軽々しくSOS(症状)を発信しません。じっと防衛戦を死守してくれています。逆に、肝臓がSOSを出したらかなり劣勢に立っていると見 なければなりませんし、援軍(医療)も実は多くの助けにはなりません。
 指揮官であるあなたは、時には前線へ視察に赴いて(健康診断でも受けて)、肝臓の様子を把握しましょう。毎晩晩酌をする方は週2日くらいは肝臓を休ませ てあげてください。