今日は旅行のお話ではなく、久しぶりに小論文のお話をしようと思います。
私が高校生だった頃に比べると、「自分の文章を公表する」機会は格段に増えました。それには、インターネットの普及が大きいですよね。複数の個をつなぐ場が設定されたことで、個人の意見や感情が発信しやすくなったのです。
例えば、趣味のあれこれについて書くサイトを個人で持っている人も増えましたし、ブログを使ったり、SNS上で「日記」を付けることも、さほど珍しい行為ではなくなりました。
しかし、こうした他者に読まれる文章を書く機会が増えているにもかかわらず、年々「小論文を書く力が向上している」という状況にはなっていません。なぜでしょうか?
それは、残念なことに、これらがあくまで「日記」でしかないからです。日記とは、何を行い、何を考えたかを皆に伝えようとするのではなく、これらに関する自分の記録や整理のために、つけられるものです。
つまり、細切れの行為やそのときの感情を書き留める技術には長けてきても、それらを貫く思考が他者にも通じるよう、論拠として組み上げる技術については、いまだおきざりにされちゃっているというわけ。
ですから、作文はよく書けるんだけど、小論文では思った通りの評価が得られないという方は、この弱点を補強する必要があるかもしれません。
小論文を書く下準備として、書きたいことをメモにだーっと書き出したら、設問の要求に沿ったご自身の思考をもっともよく伝えるために、どの順番でそれらを並べ、どういった言葉でつないでいったらいいのかを考える訓練をしてみて下さい。
自分の持っている材料を、どのように組み立てて、他者にも読み取れる意図を持った作品にするか。小論文の技巧とは、そこにかかっていると言えるでしょう。
なおこのときは、自動筆記みたいに、意図が偶然に生み出されることを狙って、でたらめに並べちゃだめですよ? 自分が狙った通りの意図が伝わらねば意味がないことを、くれぐれもお忘れなく…。