フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月11日(日) 晴れ(完成版)

2018-03-13 12:06:30 | Weblog

8時、起床。

トースト、ハム&エッグ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。今日はハム多め。

今日は二月に一度の句会の日。11時に家を出る。大手町で東西線に乗りかえるとき、これまでの習慣で、最後尾の車両に乗ろうとして、場所が神楽坂の「SKIPA」(年末で閉店)から「カフェゴト―」に替わったことに思い至る。大学に行くときのように前の方の車輛に乗る。

12時からの句会に12時に到着。すでに私以外の出席者は全員お揃いだった。

本日の出席者は、八木さん、明子さん、紀本さん(主宰)、あゆみさん、萬笑さん、たかじ(私)の6名。窓際の大きなテーブルを予約しておいた。ここは句会にもってこいの場所だ。

各自の投句をまとめた紙が紀本さんから配られる。投句のみの参加者が今回は3名おり(蚕豆さん、恵美子さん、花さん)、俳句の数は9名×3句=27句。通常は選句は、天(5点)、地(3点)、人(1点)が各1句なのだが、今回は作品が多いからということで、天1句、地2句、人2句としたいと説明があった。

紀本さんが各句を二度ずつ読み上げる。静かなカフェの空間にその声が響く。

そして選句の開始。

私は次の句を選んだ。

 天 青い空弾けるあぶく梅の花

 地 窓あればひとつずついて春の月

 地 気配して振り向く先に雛の段

 人 寝間着て転がっている桜餅

 人 研ぎ澄ます三半規管衾雪(ふすまゆき)

全員の選句が終ったところで、一人ずつ(紀本さんの左隣のあゆみさんから右回りで)自分が選んだ5句を披露していく。 

入選句は以下の通り(作者名は講評の後に明らかにされる)。今回は票が分散した。特選でも8点で、それが3句あった。分散した理由は粒ぞろいで頭抜けた作品がなかったという理由のほかに、今回は投句だけの人が3人と多く、作品が多い割に選ぶ人が少ないというアンバランスの問題もあると思う(これについては紀本さんが当日参加できない人もラインを使って遠隔参加できるやり方を考えてみたいとのことだった)。

8点 窓あればひとつずついて春の月 あゆみ

 萬笑さんが天、私が地を付けた。「田ごとの月」というのがあるが、これは「窓ごとの月」である。「ひとつずついて」(「ひとつづつあり」ではなく)と月を擬人化することで、春の月が窓から人びとの生活を見つめているような情景を詠んでいる。春の夜のファンタジックな句である。

8点 さりさりと鉛筆尖らす春の夜 明子

 八木さんが天、あゆみさんが地を付けた。今回の兼題は「音の響きのある言葉を入れる」だった。特選句3作品のうち2作品が兼題の句だった。鉛筆を削る音はふつう何と表現するだろう。「さりさり」は独特の表現だ。そして鉛筆を「尖らす」という表現はどこかしら怖いものを感じさせる。春の夜のホラーかもしれない。

8点 春の猫ミャオン彼方のアオンかな 萬笑

 明子さんが天、紀本さんが地を付けた。「ミャオン」が猫の声であることはわかるが、「アオン」は何だろうとみな思ったはずである。作者の説明ではこれも猫の声で、遠くから聞こえてくる声は「アオン」と聞こえるのだという。そういわれるとそういう気もしてくる。今回、萬笑さんは「空間の奥行き」(遠近)ということを意識して句を詠んだとのこと。『プレバト』で人気の夏井いつきさんの本で勉強したそうだ。

7点 気配して振り向く先に雛の段 八木

 私と萬笑さんが地、あゆみさんが人を付けた。人形に生気が感じられるというのはよくあることである。そのちょっと不気味な「あるある」感を詠んだ句である。ちなみに前回から句会に参加した八木さんにはまだ俳号がない。冗談で「山羊さん」にしたらどうかと私が言ったら、真面目な八木さんは「それはちょっと・・・」と答えた。「メエ~」と答えてほしかった(特待生レベル)。

6点 寝間着て転がっている桜餅 明子

 紀本さんが天、私が人を付けた。「いる」という動詞は終止形と連体形が同じである。なので「いる」の後に名詞(桜餅)が来ると「転がっている桜餅」とも読める。これは明子さんが得意とする技法で、転がっているのが省略された主語(私=作者)のようでもあり(そばの桜餅が目に入っている)、桜餅のようでもある(葉を寝間着=バスタオルに見立てている)という二重性が句の面白みになっている。

6点 青い空弾けるあぶく梅の花 花

 私が天、明子さんが人を付けた。一見、小学生の作った句のようにも見えるが、青空(水面のようでもある)を背景にして咲き誇る梅の花を「弾けるあぶく」と表現したところは鋭い。私は近所の梅園でよく梅を見ているので、この的確な表現に感じ入った。桜ではなく梅だからこその句である。

5点 お花見みたいにさいごの晩餐 紀本直美

 あゆみさんが天を付けた。「最後の晩餐」と表記しなかったのはあのダ・ビンチの名画を連想して「死の前夜の食事会」となるのを避けるためだったと説明があった。つまり送別会みたいな賑やかなものを想定しているということだ。ただ、私は「最後の晩餐」でもよかったんじゃないかと思う。葬式のお通夜や初七日の法要でも「故人は賑やかなのが好きな人だったから、しめっぽくならないでいきましょう」とかよく言いますよね。

4点 空港で雪の小箱が待っていた 蚕豆

 明子さんが地、紀本さんが人を付けた。蚕豆さんはいま旭川に住んでいる。空港は旭川空港だろう。「雪の小箱」とは何だろう。なんだかファンタジックだ。萬笑さんは「上空からみた空港の建物」ではないかと独創的な意見を述べた。私は「指輪の入った小箱」ではないかと言った。つまり空港に到着した女性に彼氏がプロポースをするのだ。「そんなベタな」と女性たちは言った。紀本さんが蚕豆さんにラインで問い合わせたら、「指輪の入った小箱」だった。男ってロマンチックなんですよ。 

3点 雨水から深き眠りの日を重ね 蚕豆

 八木さんが地を付けた。雨水(うすい)とは二十四気の1つ。雪が雨に変る頃(2月19日頃)である。だんだん春眠暁を覚えずになって行くわけです。

3点 LINEありまた明日ねと卒業式 花

 明子さんが人を付けた。「ああ、この感じ。この季節ならではです」ととても感情移入をされながら言ったからみんな思わず笑った。乙女の気持ちを持ち続けているのだろう。

3点 屋上に宣言一つ春の風 明子

 あゆみさんが地を付けた。春は決意のときなのだろう。「私もいろいろ決意をしたので、この句は私の気持ちにピッタリです」と明子さんがいったので、またみんな笑った。この「春の風」を春一番と解釈すれば、「宣言」とは「今日、関東に春一番が吹きました」という気象庁の発表になる。

3点 振り向けど赤い椿の落つるだけ 恵美子

 萬笑さんが地を付けた。河東碧梧桐の代表作「赤い椿白い椿と落ちにけり」を想起させる。椿は大きな花だから、落ちるときに音が聞こえる(ような気がする)のだろう。「振り向けど」はやや甘いか。

3点 シャタンバタン錆びたスタンド跳ねる春 あゆみ

 紀本さんが地を付けた。「スタンド」って何とみんな思ったが(まさか「ジョジョの不思議な冒険」じゃないよね)、「自転車を止めるときのスタンドです」という作者の説明に「あっ、そうか」と一堂納得。普段から自転車を使っている人ならすぐにわかったはずである(作者の夫はすぐに理解してくれたそうだ)。

2点 そわそわとふゆみずたんぼに舞う鳥よ 蚕豆

 八木さんと紀本さんが人をつけた。「ふゆみずたんぼ」(冬水田圃)という言葉には私も惹かれたが、「そわそわと」と「舞う」という言葉の組み合わせがしっくりこなかったので、採らなかった。「そわそわと」だと田圃に降りて歩き回っている感じがする。

1点 パカプシュとビール枝豆春の夜 花

 萬笑さんが人を付けた。「ビール」は夏の季語、「枝豆」は秋の季語、そして「春の夜」。これは酔っ払いの句ですね。

1点 クツクツと雪踏む朝の空は青 八木

 萬笑さんが人を付けた。「クツクツが靴と靴音をかけておやじギャグみたい」と評した。「私じゃありませんからね」と私が言うと、「私の句です」と八木さんが手をあげた。「青い空」ではなく「空は青」としたところをもっと評価してもいいでしょう。

1点 さくらさくぷううふくらむふうせんがむ 恵美子

 八木さんが人を付けた。みんなこの句が紀本流の模倣だとわかっているが、八木さんはまだわかっていないようで、素直に人を付けられた。みんながすれっからしなんです。

1点 弟の結婚式は暖かだ 紀本直美

 明子さんが人を付けた。俳句の形式(5・7・5)をとった散文ですけどね。

1点 研ぎ澄ます三半規管衾雪 萬笑

 私が人を付けた。てっきり蚕豆さんの句かと思ったら、萬笑さんの句だったので驚いた。「衾雪」(ふすまゆき)というのは「布団を敷いたような一面の雪」のこと。みんな知らないし、そもそも読めないでしょう(要ふりがな)。シーンとした静寂。

1点 三月の山三月の雨が降る たかじ 

 あゆみさんが人を付けた。これで私はかろうじて坊主を免れた。先日の松本旅行は二日目は雨だった。三月の山に三月の雨が降るのは当たり前だが、その雨は三月ならではのものである。リフレインの効果も狙った。「三月の街三月の風が吹く」というのも考えた。いろいろと作れそうである。特許申請しようかしら。

入選句の数が多かったので、一句一句の講評時間は短い。本来は、その句を選んだ人の意見ばかりでなく、選ばなかった人の意見ももっと聞きたいところである。前者中心になるのはよいとしても(みんなほめられて伸びるタイプである)、それだけではほめあいになってしまう。批評精神も大切だ。このへんの兼ね合いは難しいところである。

次回の句会は5月13日(日)。兼題は「日」(明子さんの出題)。

場所を替えて食事会は馬場下の交差点にある老舗の蕎麦屋「三朝庵」で。日曜日に営業してくれているのはありがたい。

テーブルの数は多く、時間もランチタイムをちょと外しているので、すんなり座れる。

入り口脇の帳場に女将さんがいて、そこで食券を買うシステム。天ぷら蕎麦(萬笑さん)、かしわ南蛮蕎麦(八木さん)、あんかけ蕎麦(たかじ)、もり(紀本さん)。

私の注文したあんかけ蕎麦を見て、みな「それは何ですか?」と聞いてきた。珍しいのだろう。実際、帳場の女将さんも「お珍しい」と言った。私がこれを注文するのが「お珍しい」のではなく(私は「三朝庵」に来るようになったのはごく最近だ)、あんかけ蕎麦を注文する客が「お珍しい」のだろう。私には東京の老舗の蕎麦屋のかけ汁は辛い(濃い)ことが多いのだが、こうやってあん(とろみ)かけにするとまろやかな味になって美味しいのだ。具から判断するにおかめ蕎麦のあんかけですね。

喫茶店での句会からの蕎麦屋での昼食。いい流れでした。

蒲田に着いてから「ちよさ鮨」で巻物と稲荷を買って帰る。蕎麦だけでは夕食まで待てない気がしたからだが、松本の「ガルガ」で購入した小池千恵さんの長皿を早く使って見たかったというのもある。

午後6時になろうとしている西の空。ずいぶんと日が長くなった。

 夕食はジンギスカン(風)焼肉、豆腐と梅肉とオクラ、かき玉汁、ご飯。

2時、就寝。

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