フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

10月14日(金) 晴れ

2016-10-15 12:23:43 | Weblog

9時、起床。

トースト、シチュー、紅茶の朝食。

妻と一緒に耳鼻科に行く。私は八割ほど回復しているが(咳がまだ残ってはいる)、妻は後から発症しかこともあり、毎晩咳き込んで睡眠もままらなない。たんに私よりピークの時期がずれているというだけでなくて、ピークの高さ(深さ)も大きいようで、気管支炎の初期症状(ぜんそく気味)を呈しているとのこと。私とは違うタイプの薬が処方された。

午後から大学へ。

昼食は駅に行く途中の「そば新」で。

天玉うどんを食べる。

卒業生のマユコさん(一文、社会学専修)が研究室を訪ねてきた。卒業以来だから十数年ぶりである。

マユコさんから研究室に電話がかかってきたのは昨日のことである(大学院の演習をやっている最中であった)。研究室にかかってくる電話に私はめったに出ない。それがたいていマンションとか証券とかのセールスの電話であるからだ(出ると簡単に切らしてもらえない)。いまの時代、たいていの用件はメールかケータイの電話で来る。研究室の電話にかけてくる人というのは私のメールアドレスも携帯の番号も知らない人である。だから出なくてもさしつかえない。出なくても、どうしても伝えたい用件があれば、留守電に伝言を入れるだろう。それをしないで電話を切る人はそれほどの用件のない人である。だから昨日、彼女がかけてきた電話に出たのは、何らかの勘が働いたからとしか説明できない。

「〇〇マユコと申します」と彼女は言った。私は彼女が誰であるかがすぐにわかった。声を聴くのは十数年ぶりであったが、年賀状のやりとりはしていたからだ。「明日、研究室に伺ってもよろしいですか」と彼女は続けた。「何かあったの?」と私は尋ねた。何か急ぎの用件があるのかどうかを確認したのである。私の研究室を訪ねて来る卒業生はたいてい数週間前、ときには一、二カ月前にアポをとってから来る。「明日」という直近のリクエストはめったにない。「いえ、とくにありません。ただ、久しぶりにお会いしたいと思って」と彼女は答えた。私は彼女の人柄については知っている。気まぐれに電話をしてきたわけではないだろう。かなり前から、電話をかけようかどうしようか、逡巡して、ようやく決意してかけて来た電話であるに違いない。「わかりました。明日の午後2時に研究室にいらしてください」と私は答え、「場所は覚えてますか?」と聞くと「はい、覚えています」と彼女は答えた。

研究室でしばらくおしゃべりをしてから「カフェゴト―」へ行った。彼女はここは初めてだそうだ。

マユコさんはショーケースをのぞいて、洋梨のタルトとタルトタタンのどちらにしようか迷っていたようなので、「二つ頼んでシェアして食べましょう」と私が言うと、「そんなことができるのですか」と驚いたようなので、「そんなことができたらいいなと思うことは、できないことが多いですが、これはできるのです」と答えた。

飲み物は私はブレンドコーヒー、彼女はシナモンミルクティー。

研究室に来る前に本屋で購入したという本を見せてくれた。夏井いつきの俳句入門書だ。私の周囲にはこの人のファンが多い。

「俳句をやっているの?」と聞くと、「祖母が俳句をやっていたので親しみはありますが、自分で作ったことはありません。でも、作ってみたいと思って」とのことだった。短歌は大分作っているようで、以前、入院したときに作った短歌(100首くらいある)をスマホの画面で見せてもらったが、なかなかのものだと思った。私が参加している句会の話をすると、「見学させていただいたいいですか?」というので、「見学するなら、お試し参加された方が面白いでしょう。主宰の方と相談しておきます」と答えた。彼女は自分の世界を広げたいのだなと思った。

店を出る前に、マユコさんはマスターにタルトタタンがとても美味しかったですと挨拶をし、作り方について質問していた。社交の素質は十分にある。

健康上の不安を抱えながらも、よい方と出会い(写真を見せていただいたが平井堅に似ている)、結婚し、念願だったお子さんも生まれた。本当によかったねと心から思う。これからは、無理は禁物ですが、少しずつ家庭の外側の世界にも手をのばしていってください。

マユコさんとは馬場下の交差点のところで別れた。彼女はこれから馬場まで歩き、ボブ・ディランのCDを探すそうである。

キャンパスに戻る。

秋日和だ。

5限・6限はゼミ。合宿で発表ができなかった3名のゼミ論構想発表を3年生も一緒に聞く。

本日のスイーツは4年生のK君(ですよね?)が用意してくれた。

ゼミ後、4年生はこれからのゼミ論発表(第2ラウンド)のスケジュールを決める。

3年生は12月の合宿の日程を再調整。2日(金)~4日(日)の2泊3日で鴨川セミナーハウスで行うことに決定。「3日は結婚記念日なんだ」と私が言うと、「エーッ、それは先生、3日の夕方に一足先にお帰り下さい」と学生たちが言った。そういうわけにはまいりません。引率者としての責任がありますからね。妻もわかってくれるはずです。一瞬、乃木希典みたいな気分だった。えっ、それ誰かって?知らないの?「乃木坂46」の間接的な名付け親ですよ。

夕食は「奈津」で。

回鍋肉を定食仕様にしてもらう。

10時半、帰宅。

今日は吉報が一つあった。失くしたと思っていた特急あずさの指定席+乗車券が見つかったのだ。合宿中に財布からこぼれたと思われるので、高速バスの会社とセミナーハウスに問い合わせたが、そのときはなかった。しかし、今日、セミナーハウスの管理人さんから電話があり、ロビーのパソコンデスクの下に落ちているのが見つかったのだそうだ。落し物というのはたいてい戻ってくる、という私の楽観的信念はさらに強度を増した。

2時半、就寝。

この記事についてブログを書く
« 10月13日(木) 曇り | トップ | 10月15日(土) 晴れ »