フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月16日(水) 晴れ

2019-01-17 11:43:20 | Weblog

8時、起床。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日は会議日。

9時過ぎに家を出て、大学へ。電車が時刻表通りに運行してくれるなら、9時半に出れば間に合うのだが、最近の京浜東北線は遅延が日常化しているのだ。理由は人身事故という重いものから、人が線路に立ち入った、荷物がドアに挟まった、客が線路にものを投げ捨てたといったしょうもないものまでさまざまだ。長い路線のどこかでほぼ毎日何かが起きている。だから余裕をもって家を出なければならない。 

10時半から大学院の社会学コース会議(12時まで)。

昼食は「タビビトの木」というカフェで。2年ほど前に開店して、気にはなっていたのだが、入るのは今日が初めて。 

水曜日が休みと書いてあるけれど、今日は水曜日なんだけどね。臨時休業ならぬ臨時営業かしら(笑)。

世界のいろんな場所のお茶が飲めるようだ。

タシの豆カレーセット(850円)を注文。ヨーグルトが付いていて、ヨーグルトとして食べてもよし、カレーに混ぜて食べてもよしとのこと。食べたり、混ぜたりしていただく。

 2種類の豆を使ったカレー。ライスの上にのっているパリパリしているものはババドという豆せんべ。

ドリンクはカフェラテをチョイス。

これがホントのアートコーヒー。 

店内の本棚に置いてあったロベール・ドアノーの写真展の図録を眺める。購入しようと思ったが、非売品だった。

 外から見ていたときはブックカフェなのかと思ったが、そういうわけでもなさそうだ。旅をテーマにした本が棚に並んでいる。正門通りにあった「キャッツ・クレードル」というカフェにちょっと似ている。

 「旅の情報ノート」というのが置いてある。客が自分の旅の情報を書くためのもののようだ。国内旅行の記録も載っている。私もそのうち「松本」のカフェ情報なんかを書こうかしら(ランチが50円引きになるそうだ)。「2017.5.8」というのはここが開店した日なのかもしれない。

バインミーやクロックマダムやパリジャンなどもメニューにあって、3限後のランチにはいいかもしれない。また来よう。

2時から教授会。 

教授会の始めに市川慎一名誉教授(フランス文学)の訃報がアナウンスされた。1月6日に亡くなられたそうだ。享年82歳。

定年退職されてから12年経っているので、私の周りの現代人間論系の先生方のほとんどは市川先生のことは存じ上げない。だからアナウンスも聞き流していたが、私は12年前のことが瞬時に頭に浮かんだ。 以下に引用するのは2007年11月25日(日)の「フィールドノート」の一部である。

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 午後、暖かな陽射しに誘われて散歩に出る。家を出るときは恵比寿の東京都写真美術館にでも行こうと考えていたのだが、来月の1日に渋谷に卒業生のHさんの写真展を観にいく予定があり、写真美術館はそのときでもいいやと考え直し、そうしたら途端に「甘味あらい」の贅沢あんみつが食べたくなって、池上に行く(蒲田から池上線に乗って二つ目)。まずは駅前商店街にある古書店「大黒」をのぞく。店の外の100円均一の書棚に中央公論社の『日本の文学』の端本がたくさん並んでいた。1、2冊購入しようかと思ってやめておいた。それよりもあとから「日本の古本屋」のサイトで調べてみて、全巻揃いで安く出品されていたら、それを購入しようと思ったからである。『日本の文学』全80巻が刊行されたのは1960年代後半、私が中学生の頃である。無論、当時の私の小遣いでは買い揃えることはできなかった。それがいまなら買える。金持ちになったからではない。全集ものの古本がいまは驚くほど安くなっているからだ。底値を打っているといってもいい。むしろ心配すべきは代金ではなく置き場所であるが、書庫にはまだいくらかの空きがある。80巻なら大丈夫。「大黒」では以下の本を購入した。

  長田弘『私の好きな孤独』(潮出版社)
  草間時彦『私説・現代俳句』(永田書店)
  松本清張『昭和史発掘』(松本清張全集32、文藝春秋)
  神吉拓郎『曲り角』(文藝春秋)
  川本三郎『80年代 都市のキーワード』(TBSブリタニカ)

  そのとき店には私のほかにもう2人客がいて、その1人がこの3月に定年退職されたフランス文学の市川先生に似た雰囲気の人だった。と思っていると、向こうから「やあ、先生」と声をかけられたのでびっくりした。なんと市川先生ご本人だった。な、なんで先生がここに? もしかして池上にお住まいですか? 「今日は女房と一緒でね。いま、女房はこの近くで用事をすませているところで、私はそれまで時間をつぶしているというわけ。いえ、僕の住まいは品川です」とのこと。あるんだ、こんな偶然。古本屋の主人はわれわれがお互いを「先生」と呼び合って挨拶を交わしているのを珍しいものを見るように見ていた。
  「甘味あらい」に来たのは3ヶ月ぶり。贅沢あんみつは季節季節で入っている果実が変化する。今日は栗が入っていた。カウンターの中にはご主人と、もう一人、奥さんとおぼしき和服の女性がいて、ますます小料理屋のような雰囲気であった。
  本門寺の境内を歩く。陽はもう大分傾いているが、少しも寒くはない。境内を歩いている人たちはみんな穏やかな顔をしている。本堂の賽銭箱の前で、何か具体的な願い事をするわけではなく、小春日和の一日に感謝して手を合わせた。

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ここに登場する古本屋「大黒」も「甘味あらい」ももうなくなってしまった。ただ本門寺だけは悠久の時間の中にたたずんでいる。

教授会は4時半ごろに終わる。「ミルクホール」でチョロスを買ってきて、紅茶を煎れて一服。

研究室を出たのは6時過ぎ。

電車の中で若い女性(東南アジアからの旅行者だったように思う)に「どうぞ」と席を譲られる。座っていた彼女にそう言われたわけではなく、私と彼女が並んで立っていて、彼女の目の前の乗客が降りて、席が空いたときのことである。私もそういうことは逆の立場でよくするる。次が蒲田だったこともあり、私は「いえ、けっこうです」と答えて、その方に座ってもらった。これははたして「電車で席を譲られた」体験としてカウントすべきかどうか考え、ノーカウントにすることにした。まだ早い。

夕食は鶏鍋。

スープにいい味が出ているので、ポン酢とかは使わずにいただく。冬は鍋です。 

 食後に先日アスカさんからいただいたどら焼きを食べる。

 2時、就寝。

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