フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月15日(土) 晴れのち曇り

2024-06-16 12:40:40 | Weblog

8時15分、起床。

チーズトースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

新聞に久我美子さんの訃報が載っていた。93歳。記事にあるように「気品のある女性」を演じていた印象があるが、それは演じた役柄や彼女の所作からだけでなく、「久我」という名前が「公家」を連想させることからも(私だけだろうか)あるように思う。

食事をしながら『チコちゃんに叱られる!』を観ていたら、マカダミアナッツの誕生物語をやっていた。ハワイ移民二世の滝谷守という人が発案者だそうである。

その守の従弟のトニー・タキタニという人が守について語っていた。えっ、「トニー・タキタニ」だって?!

村上春樹の短編小説「トニー滝谷」(短編集『レキシントンの幽霊』所収)のモデル(名前だけだが)になった人ではないか。

村上春樹は1985年頃、友人夫婦と4人で車を借りてハワイを旅行した。そのときマウイ島の古着屋で「TONY TAKITANI」とプリントされた黄色いTシャツを1ドルで購入した。それがどういう人物なのか、なぜこういうTシャツが作られたのか、何もわからないまま、「そこに潜んだある種の不思議さに打たれて」。当時はインターネットで検索するという、いまなら当たり前の行為もまだ存在しなかったのだ。「だから僕はただ個人的な想像力を働かせるしかなかった。そしてただの名前から、その響きから、ひとつの物語が生まれることになった」。インターネットが普及してから、ある編集者がその人物について検索して、その人物が1980年代の初めにハワイ州上院議員選挙に民主党から立候補したという事実が明らかにになる。つまりTシャツは選挙運動のスタッフのためのものだったのだ。

という話「TONY TAKITANIのためのコメント」が『村上春樹 雑文集』に載っている。

しかし、そのエッセーには重要なことが書かれていない。もしかしたら「書くまでもない」「言わずもがな」と村上春樹は考えたのかもしれない。しかし、若い世代の読者のことを考えたら、やはり書きておくべきだった。それは「トニー・タキタニ」という名前が1950年代、60年代の日本で一世を風靡したタレント「トニー谷」を連想させるということである。彼のことが記憶の片隅になければ、村上春樹がTシャツに書かれた名前に反応することはなかったろう。赤塚不二夫の漫画『おそ松くん』に登場する異色のキャラクター「イヤミ」はトニー谷がモデルである。

昨日のブログを書いてアップしてから、中島道男『清水幾太郎の闘い』(東信堂)を読む。去年の11月に出版された本で、必要があってザっと目を通してはいたのだが、いま書こうとしている論文の参考文献の一冊として精読することにしたのである。あいにく電子書籍化されていないので、リーディンググラスを掛けて、苦労して読まねばならない。

この表紙の写真、どこかトニー谷に似ていなくもない。

2時近くになって、昼食を食べに出る。久しぶりに池上の「ヒトナミ」に行こうと思う。

池上駅を降りて、池上通りの交差点で信号が青になるのを待ちながら、向かいのあの角には何が建っていたのか思い出せない。銀行だったかしら?

「ヒトナミ」に前回来たのは去年の3月だったから(その後、お子さん連れの卒業生と6月にも来たのだが混んでいて入れなかった)、本当に久しぶりである。

今日、久しぶりで顔を出したのは、先週、大学院の学生がフィールドワークでここを訪れ、店主の小笠原さんにインタビューをしたので、そのお礼を兼ねてである。

先日はありがとうございました。小笠原さんは照れ屋なので、写真を撮ろうとするといつもおちゃらけた表情をする(笑)。

食事の前にリンゴジュースを注文。どの店でも、リンゴジュースがあるときは、食前に注文することが多い(たとえば「パン日和あをや」のアップルタイザーなど)。すっきりした味わいがいい。

週末担当のスタッフさん(お店のSNSも彼女の担当だ)。いつも小さな娘さんを同伴していたが、この春から小学生になり、今日は旦那さんが体操教室(だったかな?)に連れて行っているとのこと。

娘さんのお名前は聞いたことがあるが、ご本人のお名前は伺ったことがないかもしれない。「モエリ」さんとのこと。私のゼミの卒業生に同じ名前の人がいる。どういう字を書くのかと聞いたら、同じ漢字だった。「えっ、ホントですか! いままで同じ名前の人に会ったことがないのでびっくりです」と彼女は言った。たしかに卒業生には「モエ」さんは何人かいるし、「エリ」さんも何人かいるけれども、「モエリ」さんは一人しかしない。珍しい名前なんですね。

ガパオライス。

ハバネロを振りかけて。

食後の珈琲はハニー製法(詳しくはネットで検索して下さい)で作られた豆を使ったものを注文する。とてもすっきした味わい。珈琲のお供に梅が付いてきた。

ちょっと甘味も欲しかったので、ワッフルを注文。「ヒトナミ」のスイーツは甘さ控えめなものが多いのだが、ワッフルに蜂蜜が付いてくるので、それでスイーツになる。

そろそろ閉店の3時というころ、小学生の女の子とお母さんがやってきた。工作教室の帰りで、完成した油絵を女の子は持っていた。リスの絵ですね。いいなじゃいですか。4時から別の教室に行くので、途中休憩ということで立ち寄ったらしい。二人はワッフルを注文した。たぶん私が食べているのを見て食べたくなったのだろう(笑)。女の子(マスミちゃんという名前であることを教えてもらう)とお母さんとしばしおしゃべりをする。

店を出るとき、女の子のお母さんに小笠原さんとのツーショットを撮っていただく。久しぶりに来て、楽しかったです。また来ますね。

池上駅前の老舗のカフェ「エノモト」がビルの建て替え工事のために閉店していた。工事後、再開されるのかしら。

4時頃、帰宅。

夕食は妻と「マーボ屋」で食べようと思ったが、今夜は貸し切りだった。閉店まであと半月、あと何回行くチャンスがあるかな。駅の方へ出る。

釜飯の「梅Q」へ行く。

まだ早い時間(6時半)だったので、予約の電話のしないでいったが、けっこう予約の入っている席が多く、かろうじて座れた。

梅Qセットを注文。サラダと御新香とウーロン茶。

ネギマとモモをタレで。

レバーと皮を塩で。

釜飯は牛とジャコを注文して、シェアする。

最初に牛釜。

味噌汁はなめこ。

二杯目はじゃこ釜。

カロリー高めの牛釜のあとはサッパリと。

店の外にテーブルを出している店が多い。夏の宵の飲食街である。

帰宅して、いつもは食事をしながら観る『9ボーダー』(録画)を観る。七苗(川口春奈)にとってはかなりつらい展開である。来週が最終回。

レビューシートのチェック。

『福のラジオ』をタイムフリーで聴きながら今日の日記を付ける。

『レキシントンの幽霊』と『雑文集』のキンドル本を購入。定年後の楽しみの一つは若い頃に読んだ本の再読である。キンドルでそれが可能になった。「晴耕雨読」というイメージは以前からあったが、こういう形でそれが実現するとは予想していなかった。

   

1時半、就寝。