おへそのひみつ 

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ナイロビの蜂

2006年06月14日 | 映画
監督: フェルナンド・メイレレス
原作: ジョン・ル・カレ
脚本: ジェフリー・ケイン
出演: レイフ・ファインズ 、レイチェル・ワイズ 、ユベール・クンデ 、ダニー・ヒューストン 、ビル・ナイ



【あらすじ】
アフリカのナイロビでイギリスの外交官として働くジャスティン(レイフ・ファインズ)は、ある日、弁護士で救援活動家の美しい妻テッサ(レイチェル・ワイズ)を殺されてしまう。失意の中、ジャスティンは、妻が追っていた事件がイギリスの薬品メーカーによる現地の人々を使った人体実験であることを突き止める。



ジャンルは社会派サスペンスで、夫婦の深い愛情が描かれているということを聞いていたのですが、観終わったあとにはもっと深いテーマを感じ、いろいろな事を考えさせられました。

事件の真相を追っていくうちに、ジャスティンはテッサが何をしようとしていたのか、なぜ、彼女は自分に真実を隠していたのかがわかるようになります。

テッサがまだ生きていた頃のこと・・・
病院で知り合った家族が、40キロもの道のりを一晩中歩いて家路に着かねばならないということを知って「車に乗せてあげたい」とジャスティンに懇願する場面があります。しかし、ジャスティンは「ここには困っている人間は大勢いて、全員を救うことはできない」といって、どうしても取り合おうとしません。
彼は死産したばかりの妻の体を気遣っていたのですが「今、目の前で困っている人を助けたい」というテッサの強い思いをどうしても受け入れることができなかったんですね。

彼女を深く愛してはいたけれど、彼女の信念を本当に深くは理解していなかった。
それが、事件の真相、妻の行動を追い続けていくうちに彼自身に変化が訪れてきます。
そして、テッサのすべてを理解することができた時、ジャスティンはあの時の妻と同じことを口にします。「今、目の前にいる一人を助けたいんだ」と・・・。


画面に映し出されたアフリカの雄大な自然は確かに美しい。
しかし、そこに住み貧困に喘いでいる人々の苦しみは紛れもない現実で、スラム街の悲惨な映像はそのままの真実を物語っています。
救いようのない貧困、蔓延し続ける病気、そして残虐なまでの争い・・・

結末は特に派手な展開があるわけではなく、ただただ、やり切れない思いが残ります。
劇中の「世界中がアフリカを食い物にしている」という台詞が、この映画のすべてのような気がしました。






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