彼のHIVと私の太陽

2011年夫がAIDSを発症しました。2018年無事です。

退院後

2011-07-15 15:40:18 | 入院生活
退院後、やっぱり聞いておかなければいけないと思った私は、夫を誘い、
ホテルのラウンジへ行きました。
家で話をしたら、大声を出して、いつもの夫婦喧嘩のようになりそうだったので、
他人がいて、冷静に話ができそうな場所にしました。
私たち夫婦は、ここ何年かは、お互い勝手に好きなことを、別々にやっている感じで、
いろいろ生活していく上で、意見も合わず、喧嘩も多く、お互いをうんざりしていたのです。
ですから、その時にやっと、彼に他の誰かがいても、おかしくないと思いました。

「特定な人がいるの?」
「いない。」
「じゃあ、なに。」
「風俗だよ。」
「・・・。」
「自業自得。罰があたったんだよ。」と、夫が言いました。
「・・・。」
「離婚されてもしょうがないよ。」
苦しそうに話す夫に、何も言えませんでした。
もうすでに、自分で、自分自身を裁いている彼、
もうすでに、病気になって苦しんでいる彼。
私じゃない、
本人が、一番辛いのです。
男のプライドもあったもんじゃないでしょう。
彼は、身も心もすでにボロボロだったのです。

それなのに、私は裁こうとしている。
私が彼を裁くことができるの?

でも、なんで夫なんだろう。
風俗に行ったのは、夫だけじゃないよね。
私たちって、よっぽど悪いことしてきたのかなあ。
まあ、いいことだってしてないね。
その時人目をはばからず、二人で泣きました。


にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへにほんブログ村

退院

2011-07-15 14:23:24 | 入院生活
夫は、無事に退院することが出来ました。
病院の先生や、看護師さん、事務の方、薬剤師さん、いろんな人の温かい気持ちにふれて、
私たち夫婦は感謝でいっぱいでした。
生まれて初めての入院生活を送った夫も、
「看護師さんは自分の病気を知っているだろうに、採血するときも、いつでも変わらず優しい。
マザーテレサのようだ。」と感激していました。
私に冷たい態度を取られ、どことなく負い目を感じている彼にとって、
目の前にいる看護師さんは、マザーテレサそのものに見えたと納得しました。

主治医にも、恵まれました。
ネットでいろんな情報を集め、頭でっかちになり、夫が死んでしまう恐怖に苦しんでいる私にも、
「今は、慢性疾患と同じですよ」と、安心するような言葉を掛けてくれます。
もちろん50代でエイズを発症したら、同じではないだろうけれど、
「きっと完治できる薬も開発されますよ。それまで、頑張っていきましょう。」
と、言ってくれて、私たち夫婦に希望を与えてくれます。
ちょっと発疹が出たりすると、すぐ心配で主治医に訴えたりしても、
「そのくらい、大丈夫ですよ。問題ありません。」と軽く言われるだけで、安心できました。
いつも明るく接してもらうことで、どんなに私たちは救われたでしょうか。

彼の入院のおかげで、たくさんの人々に支えられて生活しているのだと、本当に改めて実感しました。
ありがたいことばかりであると・・・。

退院時の薬は、バクター朝1錠・ウルソ朝昼夕各1錠でした。


にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへにほんブログ村