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自閉症を生きた少女  №251

2017-02-21 13:45:33 | 日記
 10年ほど前、オーストラリア生まれのドナ・ウィリアムズという女性の「自閉症だった私へ」(新潮文庫)という本を読んで、衝撃を受けたことがあります。 その本は、世界で初めて自閉症の人が、どのような辛さを抱いて生きているかをつづったもので、私たちの無理解がいかに障害のある人達を傷つけているかを教えてくれました。
 天咲心良著「COCORA~自閉症を生きた少女1~小学校編」(講談社刊)は、成人してから初めて自分が自閉症スペクトラムだったことを知った日本人女性が、小学校時代のつらい思い出を自伝風にまとめたものです。障害に対する無理解がこれほどに一人のいたいけな少女を傷つけるのかと、正直言って、読み進めるのが辛い本です。
 作者はおそらく知的障害を伴わない自閉症のため、周囲が障害とは思わないで接していました。両親や祖母や姉の言いつけにしたがうことができません。わがままだとか、生意気だとか、あらぬ誤解を受け、家族からほとんど虐待と言っていい扱いを受けます。もちろん、作者の視点から描かれているものなので、家族の側から見れば、違った風景が見えくるのかもしれませんが、本当に残酷な扱かわれ方をします。
 幼稚園や学校では、友達と遊ぶことができず、先生からは家庭のしつけや、本人のわがまま、だらしない性格の問題と誤解され、叱責され、仲間はずれになりますが、彼女にはその理由がわかりません。
 幼いうちは、まだ反抗的・挑戦的であるに留まりますが、この状態が続くと、いらいらが爆発して、行為障害が生じ、それがエスカレートすると、反社会的人格障害にまで移行していくこともあるといわれています。
 この作品は、三部作ということで、小学校を卒業した彼女は海外留学に旅立ちますが、果たしてどのような成長をしていくのでしょうか。