相談内容 50代 男性 心臓病
大動脈弁狭窄症で人工弁を装着し障害厚生年金3級の受給が決定したが、障害認定日当時(数年前)の症状は不支給決定だったので、これを不服として審査請求をしたもの
経過
数年前、急に強い胸痛があり、近隣の病院で診察を受けると、大動脈弁狭窄症及び閉鎖不全、と診断された。この時の精密検査では、手術適応が無く、経過観察となった。 その後数年間は定期的に心エコー検査等をして、仕事を継続していたが、めまい、息切れ等が徐々にひどくなって、最近、大動脈弁置換術(人工弁装着)を行った。 その後の経過は順調で現在は元気に働いておられます。
この人工弁の装着が、障害厚生年金3級に該当することを知り、ご自身で年金事務所に行き手続きをしようとしたが、窓口の担当者と話が合わず、トラブルメーカーのようになってしまい、私に依頼されました。。年金を申請するにあたって以下の2点が問題でした
1 若い頃から不整脈があり、15年ほど前(30代)に意識喪失、動悸、胸痛等が頻発した。この時WPW症候群(注)と診断され、カテーテルアブレーション(注)の治療を行い完治したが、この病気と今回の大動脈弁狭窄症と関連はあるのか
2 先天性の心臓異常が原因であるので、二十歳前障害ではないのか?
私が、この問題を年金事務所に説明したがなかなか受け入れていただけなく、ご本人が諦めたのもうなずけました。
結局、WPW症候群については別紙にその経過を記載し、大動脈弁狭窄症ついては、最終的には提出しませんでしたが、病歴就労申立書に出生から現在までを5年ごとに区切って 記載しました。
裁定請求の結果
事後重症 3級 (人工弁装着)
障害認定日 不支給 (大動脈狭窄症(心臓弁膜症))
不支給の理由:「添付した心電図の所見に異常が無い」
(診断書には異常ありと記載されていた)
審査請求
心臓疾患の障害認定基準によれば、異常検査所見で、心電図で異常は無くても、心エコー検査で一定の異常所見があれば、3級の可能性が高い。よって、障害認定日当時の診断書に「心エコー検査で心臓弁膜症(弁の開閉異常の総称)の所見がある」と明確に記載されているので、これを根拠に審査請求しました。
審査請求の結果
請求後2ヶ月ほどしたら、審査官から心エコー検査の画像を送るように指示があり、その後、しばらくすると、処分変更により審査請求を取り下げるよう依頼されました。
感想
1 年金事務所の担当者に、WPW症候群言っても、どんな病気かなかなか理解していただけなく、何度も書類を書き換えてなるべく担当者の意にそうよう心がけました。
2 裁定請求時の障害認定日不支給は、担当医の見落としではないかと思います。
障害等級の判定にあたっては、診断書の見落としや単純な判断ミスもかなりあると推測されます。
注)WPW症候群 カテーテルアブレーション
WPW症候群とは心臓を動かすための神経が複数あり、その一部が心臓の動きの邪魔をして、不整脈、心不全等の原因となる症状。この神経を、カテーテルを使って焼き切る治療をカテーテルアブレーションという。15年ほど前は画期的な治療方法で、日本で治療できる病院は少なかった。
相談内容 女性 40代
ご自身で障害年金の申請手続きをしておられ、主治医に診断書作成をお願いされてはいましたが、その他の必要書類を準備したり、申立書の記載ができない。とのことで関係者を通じて、私に依頼がありました。診断書の有効期限(診断した日より3か月以内)が後10日ほどに迫っていました
経過
ご自身はご結婚されて、自分の趣味を生かしたネットショップを開設し、比較的順調な生活されていましたが、数年前から夫婦関係がギクシャクし始め、結局離婚せざるを得なかった。
子供が無く、自身でアパート借りて一人で生活していたが、落ち込みがひどく引きこもるようになった。狭いアパートでは、自分の趣味のためのスペースが確保できず、自分の唯一の充実した時間を過ごすこともできなくなってしまった。この頃から精神科に通院し始めうつ病と診断されたようです。彼女自身自殺願望があり、何度か薬の大量服薬をされたようで、おそらく薬の副作用で、身体的な障害も発生し歩行にも支障がでてきたようです。
元夫から仕送りで、何とか生活していたようですが、それが途絶えて生活保護を受けざるを得ない状況になった。障害年金の依頼があった頃は、毎日近隣のコンビニで買い物をする以外は自宅で寝ている状態でした。
結果
障害基礎年金2級で遡及適用となりました。しかし生活保護受給中で、併給はできませんので、その分は生活保護費から差し引かれます。
後記
ご本人の部屋には、ご自身で作られた作品がいくつか飾ってありました。素人の私の感じですが素晴らしいもので、彼女の芸術的なセンスが発揮できる環境が何とかならないか? と思ってしまいます。
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