相談内容 40代 男性 青梅市
運送関係の会社で出庫入庫の作業等をしていたが、10年ほど前から手首や両上肢、肩等の痛みを自覚するようになったので、数件の病院(医院)で検査を受けたがどこも異常なしだった。
全身の痛みや倦怠感が悪化し、さらに夜眠れなくなったので、近隣の心療内科を受診したところ、自律神経失調症と言われた。その後、症状が悪化すると休職し、警戒すると復職することを繰り返しているが、最近になって、1ヶ月に数日しか出勤できなくなって、このままだと、退職させられそうだが、どうしようもない。今も最低限の給料しかなく、障害年金は受給できないか? との相談でした。
ちなみに今も通院している、心療内科のクリニックでは、自律神経失調症は、障害年金の対象外なので、診断書は書けない。とのことでした。
給料が少なく、会社もクビになりそうなので、着手金は払えないとのことでしたので請求しませんでした。
経過
自律神経失調症等の神経的な病気とは言われているが、元々、手首、両上肢の痛み等の身体的な症状なので、慢性疲労症候群のような体の病気ではないか? 線維筋痛症の可能性もある。
本人の意向に沿って、原因不明の疼痛のような症状を診断してくれる病院を探して同行し、先生の見解を確認しました。
〇 近隣の内科クリニック
体の痛みの原因は分からないが、精神的なものから来る痛みのように思えるので向精神薬を服用して見たらどうか?
〇 リウマチ等の疼痛の専門医
何らかの脳の異変に起因する痛みであろう。ただこのクリニックは化学物質過敏症等の患者がいるので、喫煙者は診察できない。よって線維筋痛症の専門医を紹介する。
〇 線維筋痛症の専門医
身体的な異常はどこにも確認できない。自分で体の痛みがあると言われても、それを裏付ける証拠がないわけだから、診断書も書けない。 精神的なことから症状が出ている可能性が高い。
これまでの結果から、身体の障害では申請できない。現在通院中の心療内科クリニックに、権威ある精神科に紹介状を書いてもらうように依頼すると、何とか引き受けていただいた。
〇 大学病院の精神科受診
受診後、主治医の先生から、典型的な身体表現性障害(後述)だが、これに伴ってうつ病の症状もある。また話の内容もまとまりがなく、表情も暗すぎる。 精神の診断書を書きましょう。と言ってくださった。
この頃、さらに症状がひどくなり、真っすぐに歩くことができないような状態になった。さらに会社から解雇を通告されたので、急いで申請した。
障害認定日の頃は精神科には受信していなかったので、請求はできませんでした。
これまでに6か月以上経過していました。
結果
障害厚生年金3級の受給決定。
本人は解雇を通告されたが、休職中で、給料が出ない状態で苦しい状況には変わりはないようです。
傷病名がはっきりせず、ご本人も、自分自身の症状をきちんと医師に伝えることができな
いような状況で、受診してくれそうな医師を探して、1年くらいかって。やっと障害年金
を受給できたので、私自身は感慨深いものがあります。
身体表現性障害とは
ストレスが疼痛などの身体の症状となって表れてしまっている病気のことをいいます。
身体をいくら調べてもどこも悪くないのに、明らかに本人にとって症状があったり、身体の不安がつきないといった障害です。
内科などで検査を行っても原因がわからない場合には、ストレスが原因となって症状が認められている可能性があります。そして身体の変調にとらわれてしまって、大きな病気が隠れているのではと不安でたまらなくなってしまうこともあります。
このように身体表現性障害は、こころが作り出した身体の症状になります。その程度は様々ですが、実際に身体症状として苦痛を感じることもあれば、病気に対する不安が募ってしまって精神的な苦痛が強くなることもあります。
本人からすると身体に異変があるため、多くの方が身体の病気と思っている病気です。根本的な原因が見つからず、ドクターショッピングをしてしまう方も少なくありません。
いわゆる自律神経失調症も、その多くは身体表現性障害に含まれるとも言われています。
その症状は概ね以下のようなものがありますが、医学書等でははっきりとした定義はされていないようです。
- 身体化障害
- 転換性障害(身体表現性自律神経機能不全)
- 心気症(心気障害)
- 身体醜形障害
- 疼痛性障害(持続性身体表現性疼痛障害)
身体化障害は長きにわたって様々な身体の苦痛に悩まされる病気です。身体の病気はいくら検査をしても認められないのですが、体が疲れやすく、つらいので複数の医療機関に出向いているケースが多く、心の病気だと認識するまでに何年もかかることもあるようです。
転換性障害は、軽いものは多くの方が経験したことがあるかと思います。ストレスで「吐き気がする」「喉がしめつけられる」「頭痛がする」といったものです。ストレスが身体の症状に転換されてしまいます。
心気症は身体症状というよりも、「何か重たい病気にかかっているのでは」という病気へのとらわれが特徴的です。病気への心配がつきずに、専門家が問題ないと保証しても信じることがなかなかできません。
身体醜形障害は、自分が醜い、体のどこかがゆがんでいるなどと、自分の容姿に対するとらわれがある病気です。そのために準備や確認作業が増えたり、苦痛を感じてしまいます。
疼痛性障害は痛みの原因はないのですが、本来感じるわけがない痛みが続いてしまう病気です。痛みにとらわれてしまう病気で、心理的な要因が強く関係していますが、それが分かるまでは何年もかかることもあるようです。
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