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社説の歯切れの良さ:希望入団枠廃止と西山事件

2007-03-30 19:11:04 | 時事問題
プロ野球ドラフトの希望入団枠廃止に関する毎日新聞の30日付社説「希望入団枠廃止 巨人の「拒否権」を許すな」は歯切れがよかった。希望枠廃止の過程で「「拒否権」を行使するかのような巨人の振る舞いに、抵抗できない11球団という図式」が見えたことを批判しているのだ。
「巨人戦の視聴率が低迷し、今季も地上波テレビのナイター中継数が大幅に減少している。巨人戦頼みという安易な商法は明らかに色あせてきている。だからこそ12球団が結束し、新たなビジネスモデルを構築していかなければならない時代を迎えている。
 今回の迷走ぶりは、プロ野球界の立ち遅れを象徴するシーンでもあった。舞台裏の醜態はもうたくさんだ。選手はプレーの中身でファンの期待に応えてほしい。」

このような正論は、私のような巨人が大好きなばかりに、アンチ巨人になってしまった人間にも心地よい。

希望入団枠に関しては、西武球団の裏金問題を発端として、アマ側から廃止の声が上がった。希望枠制度が裏金問題の温床となる可能性を秘めているからだ。

この希望入団枠問題に関しては、面白い現象が起きた。朝日(24日付「ドラフト裏金 心弾まぬ球春スタート」)と産経(25日付「プロ野球開幕 ファンの視線大切にせよ」)が異口同音に希望入団枠の即時廃止を主張し、問題の先送りをはかろうとしたプロ野球界を批判し(もちろん毎日も同様の見解)、それに対して読売は「選手の獲得、移籍など人事面での改革については、FAなど他の制度もあわせ、球界挙げての慎重な議論が必要だろう」とボソボソ留保を表明したのである(24日付読売社説「プロ野球開幕 プレーオフの楽しみが『セ』でも」)。読売新聞は、当然自己と深い関係にある巨人をあからさまに批判できないのであろう。

もちろん誰でも自分と関わりに深い問題については議論することは難しい。毎日新聞も西山事件の裁判については、少なくとも社説レベルでは取り上げることは今のところない。元毎日新聞西山太吉氏が、沖縄返還の費用負担の日米密約に関する外務省高官の虚偽発言により精神的苦痛を受けたとして損害賠償を求めた裁判だ。

東京地裁は民法の除斥期間の規定を適用して、つまり本質を論じず、法技術的な小手先の論理を用いて、請求を棄却した。裁判所がよく使う手である(朝青龍や白鵬のげたぐりで勝負をつけるようなものである)。

この問題を取り上げたのは読売と朝日であった。28日付読売新聞社説「『密約ない』を撤回してもいい時」では、裁判では西山氏敗訴だが、それで密約がないとした外務省高官の発言にお墨付きが与えられたわけではないと主張する。そして政府に対して密約はなかったとする発言を撤回するように求めている。29日朝日新聞社説「日米密約 真相に目をつぶる判決」も同様の趣旨である。毎日も同じような趣旨の社説を載せてしかるべきなのであるが、何かのタブーがあるのだろうか。
コメント (2)
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