若女将の修行日記

『写真館の若女将・成長記録』のはずが、いつのまにか『若女将のおとぼけな記録』になっていました。

桜をみる自由

2012-04-12 07:17:56 | 日々雑多

早朝、隣に二代目が居ませんでした。パソコンの前にも、スタジオにも、リビングにも、トイレにも居ない(それしか二代目を探す場所はない)。最近、悪夢にうなされてばかりいるようなので、家出したかなっ?と思ったら、桜の写真を撮っていました。「おはよー。」と声をかけた私に、挨拶もしないまま、「綺麗なんだよー。仕事になんないよ。写真撮っちゃうよ。」と嘆いていました。

「花なんて、全然興味ない。」・「春なんて大嫌い。」・「朝日が昇るとうんざりする。」と、日々豪語している人ですが、多分、朝の光と春と花を愛する老人に、将来はなると思われます。

 

 

そんな二代目の隣で、暫く桜を見ていました。静かに、ただ桜を見ているだけのときって、風のやってくる音が聞こえます。で、『あ、くるぞくるぞ』と思っていると、花吹雪が舞い始める。朝日に照らされるばんな寺(大日様)と、お堀の松と、満開の桜と、花吹雪。日本人がこれほど幸せを感じる景色ってあるかな。二度と本土には帰れないであろうと出港した戦艦で、一人が「桜だ!」と言うと、なんとか最期に一目桜を、と若い兵士たちが、一つの双眼鏡を奪い合ったという記録が残っているそうです。日本人の愛する花です。

 

どれほどの時間、二人で桜を眺めていたでしょうか。一台のトラックが申し訳なさそうに私たちの前を横切って行きました。その運転手さんが、アルミホイルにくるまれた巨大なおにぎりを食べていたのを見て、幸せな気持ちでいっぱいになってしまいました。見上げれば、自由に桜が見られる今を、感謝して。

 

 

今朝の写真はやめときます。いつか二代目が作品として発表してくれるのを待とうか、と。