ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

私の漬物が消えた夜

2017-06-05 00:46:14 | 日記
こんなに取り乱したのは、いつ以来だろう。

きのうは夜勤だった。
食堂で出る夕食は、メインが肉じゃが。
嫌いではないが、私には甘い。
できればちょこっと塩味がほしい。
そう思って、漬物を用意した。
ちょっと奮発して水ナスの漬物。
うん、肉じゃがと水ナスの漬物という組み合わせなら
ご飯2杯はいける。
ク~ックックック。
夜勤というヘビーな仕事を控えながらも、心が躍る。

私は美食家でもなければ大食漢でもない。
しかし日々の食生活にモーレツな情熱を注ぐ
究極の食いしん坊である。

きのうの夜も、肉じゃが&水ナスの漬物という献立に
人知れずテンションを高めていたのだった。

ところが、前日から事務所の冷蔵庫に入れておいた水ナスの漬物が
消えていた。

え? 私の水ナス、どこに行ったの?
思わず取り乱す。
誰か、誰か私の水ナスの漬物を知りませんか~!?

上司も同僚も、登録ヘルパーさんもキョトンとしたまなざしを向ける。
中には「本当に入れたんですか?」と
私を物盗られ妄想に取り付かれた認知症老婆扱いするヤツもいる。

ホントよ、ホント。きのうここに入れておいた私の漬物がなくなったのよ。
私の水ナス、返して~~~!!!

ギリギリ堪えたが、涙があふれそうになる。

悲しい思いで肉じゃがとショボイ副菜だけの夕食を食べ、夜勤に突入。
オムツ交換とひっきりなしにかかってくるコールに対応しながらも
私の心は大切な食の楽しむを奪われた悲しみで
シトシトに濡れそぼっていたのだった。

そして一夜明け・・・
話を聞いた同僚A子からメールが届き、そこで犯人を知ることとなる。

犯人は登録ヘルパーのB子。
彼女はA子から「今度私がつくった漬物持ってきてあげるね」と言われ
たまたまきのう、冷蔵庫を開けたらナスの漬物が入っていたので
それをA子が自分に持ってきてくれたものと勘違いして食べてしまったのだという。

A子もB子も、私の食に対する執念をよく知っている。
だから、コトが発覚したとき、ヤバイ!と蒼ざめたらしい。

ま、罪を憎んで人を憎まず。
B子の軽率な行動を怒るつもりはない。
でもでもでも、大切な大切な食の楽しみを奪われた悲しみだけは
情けないことに、今もじくじくと心に残る。

ああ、私はなんと卑しい女か。
ああ、私はなんと食い意地の張ったさもしい女か。

こんな女が認知症を患って施設に入所したら
どれだけ周りに迷惑をかけることだろう。

水ナスの漬物が食べられてしまったことは悲しい。
しかしそれ以上に、己の老後が悲しくなる。






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